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新入生とパートナーには友達が少ない?

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新入生とパートナーには友達が少ない?

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「次は、グルーガ達の話を聞かせてもらおうか」
 アキレウスに指名され、ルファンは居住まいを正す。
「まず、わしかのぅ。まずここに入学した理由じゃが、この地の謎や文明、未知を求めて来た……というのが大きな理由かのぅ。儂は元々は軍人を継ぐ家系に生まれたのじゃが、この容姿、性格を含めて少々問題があってのぅ。ギャドルとの契約がまた拍車をかけたらしく家族と大喧嘩して家から……といった具合かのぅ。いやはや、まさかあそこまで大事になるとは思わなかったがな」
「まあ、その拍車をかけた俺様との契約についてだがな。俺はルファンと契約すりゃあ、もっとつえぇ奴と戦えるからそうしたわけだ。実際、今でもその点にゃあ不満はねぇしな。なんたって俺様は昔、戦いに明け暮れていたドラゴニュートだ。戦いがなくちゃ、やってらんねぇってわけ……」
「とまあ、ギャザオの話はおいといてー」
 ギャドルの話し途中に、イリアが割り込む。
 うずうずと抑えきれないという感じで、イリア話し出す。
「イリアがダーリンと出会ったのはね、図書館なの! ある日、ダーリンが本を読もうと探していた時に表紙が少しボロボロになった古い本を見つけたんだって。それがイリアとの運命の出会いなの! ほら、魔道書って本だけど、こうやって姿を具現化出来るでしょう? その時、具現化してイリアもダーリンの姿を見てもう、一目惚れ! 素敵でー物腰も落ち着いてーそれでいて優しくてーもうイリアの相手はこの人だっ! って思ったんだ」
「んだよ、途中から惚気話にしてんじゃねぇよ。今はそういう話をするとこじゃねーだろ」
 不機嫌そうに口を挟むギャドル。
 イリアはキッとギャドルを睨み付けた。
「何なのもー! せっかく気分良く話してたのに!」
「てめぇも同じことしただろうが!」
「二人とも、そこまでじゃ。二人の喧嘩で茶会を台無しにするでない」
 雰囲気の悪くなる二人に、ルファンが一喝する。
 二人はグッと喉を詰まらせたように、口を閉じた。
「さて、後はウォーレンとの出会いじゃが……」
「そこは俺が話すぜ。俺の場合は……まあ、ギャドルと意気投合してな。契約者とかイコンとか色んな話聞いてたけど、実際初めて見るからよ。面白そうだからルファンに『契約しね?』って言ってその流れで契約した訳よ」
「改めて聞いてみても、よくそんな軽い気持ちで契約しようと思えたのか不思議なものじゃ」
 思い返し、呆れたように呟くルファン。
「そうか? こういう契約の仕方をした奴も結構いると思うぜ。な?」
 茶会席を見渡すウォーレン。
「まぁ、応じたわしもわしじゃがな」
 苦笑しつつ、ルファンも肩を竦めた。

「じゃあ……次は、想詠だな」
 順当に回り、今度は夢悠の番に。
「じゃあ、ワタシから話すわ。夢悠、良い?」
「あ、うん」
 夢悠に許可を得ると、瑠兎子は語り出した。
「ワタシね、一年くらい前までは地球で幽霊になっていたの。きっと古代のパラミタと地球が繋がっていた時に死んだのね。長い間、眠ったり起きたりを繰り返して、気付いたら現代の日本だったわ。適当に彷徨って家に入り込んだら、ワタシの姿が見えるお婆ちゃんと出会ったの。何だか嬉しくて一緒に話をしていたんだけど、突然! 部屋に男の子が飛び込んできて、お守りを握りしめた手をワタシへ突きだしてきたわ! でもその手は幽霊だったワタシの体を突きぬけちゃってね。二人の顔がくっ付く寸前まで急接近したら、その子は目を丸くして後ろに卒倒しちゃった! その子が夢悠だったわけ♪ 夢悠もワタシが見えたんだけど、お婆ちゃんを迎えにきた死神だと勘違いしたんだって。失神するくらい怖いのに、家族を守るため必死になってねぇ……危なっかしくてさ! ワタシが守ってやろうかなって思って契約したの! ワタシも家族欲しかったし! 幽霊も結構寂しいからね。今では夢悠の義理の姉で、お爺ちゃんお婆ちゃんの立派な孫よ。義理の両親は、出会う前に亡くなってたけど……天国で喜んでくれてるわね」
 最後は夢悠に向けられた瑠兎子の言葉。
「え、ああ……そう、だね」
 聞いている内に恥ずかしくなったのか、夢悠は顔を背けながらも小さく頷いた。


「やっぱり、みんな色々な出会いをしているんだね。あ、次は順番に回ってルカ達かな?」
 ルカルカの問いに、アキレウスが頷く。
「その前に、この菓子を配っても良いか?」
「そうですわね。お願いしますわ」
 アルセーネの言葉に、ルカルカ達は菓子を配り回る。
「このお菓子ねー、ダリルが作ったから美味しいよ」
「ルカは料理が壊滅的だしな」
「ルカが作ったものでないというだけで、存分に安心して食える」
「なっ……」
 自慢気なルカルカに、カルキノスと淵は言葉の矢を突き刺していく。
 それでも穏やかな雰囲気を感じるそこに、周囲は微笑ましさを感じて笑みを溢していった。

「まずは淵からかな」
 席に落ち着いたルカルカ達は、出会いの日を回想していく。
「教導は関羽さんがいるし軍だからか三国志に縁が深いし、三国志時代の英霊とも大勢の教導団団員が契約しているの。それで、ある日契約の泉の近くをぶらついてた時に落ちてた英霊珠を踏んだの。拾ったら輝き始めたから、慌てて思いついた英雄の名前を呼んでイメージしたら、淵が現世に再構築されたんだよね」
「まず踏むなという話だがな。まあ、再構築で子どもの姿になってしまったのは仕方ないとしてもな、女にならなかっただけでも、今はマシだと思うておるぞ」
 淵は苦笑しつつ、ダリルの菓子を口に含む。
「その件に関しては、ごめんなさい」
「別に良い。ただ、英霊の外見は変らぬらしいが、でかくなる方法見つけたら踏んでやるわ」
 ちょっと申し訳なさそうに縮こまるルカルカを、淵は豪快に笑い飛ばす。
「次はダリルとのことかな」
 気を取り直し、ルカルカはダリルについて思い返す。
「パラミタに来て間がない頃、小型結界装置を持ってアトラスの傷跡辺りをぶらついていたら遺跡を見つけたの。中に入って奥に進んだら、狭い玄室内に魔法陣を見つけた。壁に手をついたら一部がせり上がってきて、驚いたはずみにその下にあった機械装置の一部を踏んじゃった。そこから棺みたいなのが更に出てきて、中にダリルがいたの。閉じ込められてると思ったから開けようとしたら、権利がないって装置に言われた。だから、どうしたら権利は貰えるか聞いたの。封印執行者とか製造元の委任状とか色々言われたけど無理。でも契約者も可能だと示されたから、即座に私が彼の新しい契約者よと答えて、それで契約をして起こしたのよ」
「踏んでばかりだな、ルカは」
 苦笑しつつ、ダリルはルカルカの頭をぽんぽんと撫でる。
「まぁ、解放して貰えたのは理解したけど、最初は本意じゃない契約でルカとは喧嘩ばかりだったな。俺を部品にしたのもシャンバラ人だから、人を憎んでいたし。今じゃ……過去のことだがな」
 何かを含むようにして、ダリルは語尾を濁らせた。
「それじゃ、後はカルキについてかな。カルキはえーっと、蒼学の外れにあった草むらをぶらついてたら尻尾を踏んだのよね。それで、話しているうちに気が合ったから契約したの」
「つまりはみんな、ルカに踏まれて契約したってわけだ。ルカの足は、契約の足だな」
 茶化すように笑いながら、カルキノスはルカのジーンズを突く。
 和やかな笑いが広がった。

「それじゃあ、次は杜守か」
 アキレウスに指名され、柚は立ち上がる。
「あ、その前に私が焼いたクッキーを配っても良いですか?」
「それなら、私も手伝いますわ」
 アルセーネに手伝われ、皿に盛ったクッキーを置いていく。
 席に着くと、柚は悩みながらも話し出した。
「私はですね……三月ちゃんから契約をしようって言ってくれて、それで契約したんですよね。あの時は驚きましたが、私の居場所が見つかるかも、って思ったら『行きますっ!』って即答してました」
 一瞬表情が曇るも、すぐに笑顔を取り戻す柚。
 それに目敏く気付いたのか、三月は柚の頭を優しく撫でる。
「僕が柚と契約した理由はね。柚に会った第一印象は『悲しそうに笑う女の子』だったんだ。今の柚しか知らない人は驚くと思うけど。よく泣いてたし、色んなモノを我慢してたし。知らなくていいモノも見てきたし……。そんな姿を見てたら、救いたいって思った。だから僕から契約してシャンバラに住もうって誘ったんだ」
 くすぐったそうに首を竦める柚。
 三月はそんな柚を、優しく見つめる。
「今では普通に笑えるようになって、僕も嬉しいよ」