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【神劇の旋律】三姉妹怪盗団、参上!

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【神劇の旋律】三姉妹怪盗団、参上!
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第8章 はじまる

 それは、ローデリヒ・エーヴェルブルグの演奏中のことだった。
 富豪の俗物的な態度とは対照的な洗練された本物の品格漂うローデリヒの仕草と、その手が奏でるえもいわれぬ響き。
 聴衆はただただその音色に聞き惚れていた。
 そこに。
 ぱぱぱん、ぱん!
 演奏を遮る無粋な破裂音が聞こえた。
「何事ですかっ!?」
 警戒するローザマリア・クライツァールと志方 綾乃。
 音は入口の方向から次々と聞こえてくる。

「何者っ!」
「くっらえ〜!」
 玄関を守っていた御茶ノ水 千代は、近づいてきた飛空艇に全身の神経を集中して警戒する。
 小型飛空艇に乗っているのは緋柱 透乃(ひばしら・とうの)
 正面玄関に突っ込まんばかりに近づくと、上空から火のついた花火を落とす。
(ホントはミサイルを突っ込みたかったんだけどなぁ)
 透乃は一瞬残念そうな表情を見せる。
 しかしすぐに花火に笑顔が照らされる。
 陽動のため、正面玄関にミサイルをぶち込むという透乃たちの案にトレーネたちは青くなって反対した。
 たしかにストラトス・ティンパニは入手したい。
 しかしそのために大きな犯罪を犯すことはしたくない。
 特に、人が傷つくことや器物破損はなるべく避けて欲しい、と。
(犯罪を犯してまで手に入れたいって心意気が、気に入ったのにな)
 その時の事を思い出して、つまらなさそうに口を尖らせる透乃。
 だが、乗りかかった船だ。
 トレーネの頼みなら仕方ないという霧雨 泰宏(きりさめ・やすひろ)の言葉もあり、透乃たちはなるべく彼女たちの意向通りに動くことにした。
 ぱぱぱん、ぱん!
 ぱぱぱぱぱん!
 花火の音が小気味よく響く。
「うあっちゃあああ!」
「火がっ、火があああ!」
「にゃー!!」
 花火の落下地点にいた変熊 仮面たちはまともに火の粉を被り右往左往する。
「おのれ、賊めっ!」
 千代が壁を走り、飛空艇に攻撃しようとする。
「させませんっ!」
「む!?」
 千代に暗闇が迫る。
 地上で待機していた緋柱 陽子(ひばしら・ようこ)が攻撃を仕掛けてきたのだ。
 身を翻しそれを避ける千代。
 そのまま、陽子に殴り掛かる。
「おっと!」
 二人の間に割って入ったのは、霧雨 泰宏(きりさめ・やすひろ)
「ト……いや、大事な人に頼まれてるからあまり手荒な真似はしないつもりだけどよ……あまり暴れると、どうなるか分からないぜ!」
「御託はいい。大人しく捕縛されろ!」
 千代の影からグロリアーナ・ライザ・ブーリン・テューダーが飛び出した。
 グロリアーナの武器に禍々しいオーラがまとう。
「覚悟!」
 戦闘が始まった。
「うぉおおお!?」
「ほぁあああ!」
「にゃぎゃー!」
 変熊たちはそれに否応なしに巻き込まれていく。