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All I Need Is Kill 【Last】

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All I Need Is Kill 【Last】

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 All We Need Is Hope

 十年後。十三時。空京、とある個室。

 これが空京を巡った一日の顛末だ。俺達はこのことを忘れてはいけない。悪夢のようなこの日の出来事を。
 願うならば、空京を救ってくれた勇士達に感謝を。それだけで、亡くなった者も浮かばれることだろう――。
                                     著者 ダリル・ガイザック


 あとがきを読み終えて、十代後半の凛とした美しい女性は木造の椅子から腰をあげる。
 と、共にコンコンと部屋の扉がノックされ、扉越しに声をかけられた。

「ナタリー、そろそろ時間だ」
「……はい。いま行きます。それと――」

 ナタリーと呼ばれたその女性は扉に近づき、ドアノブに手を回して開ける。
 そこに立っていたのは十年前、この本に綴られた事件を共に経験した一人の契約者だ。

「今の私はナタリーではなく、ホープです」
「……そうだったな。悪い、ホープ」
「いいえ、気にしないでください」

 ホープはそう言うと、目の前の契約者のあとをついて、外に出て行く。
 そこにいたのはあの十年前の事件で大切なものを失い、過去を変えたいと志願してくれた人達が集まっていた。

「皆さん、準備はいいですか?」

 ホープは集まった契約者達に問いかける。
 集まった契約者達が一様に頷くのを見ると、彼女は自分の手に目を落とした。

(あの頃の無力だった私はもういない。今度こそ、私は空京を救ってみせる)

 彼女は十年の時間を過ごして、大きくなった自分の手を握り締める。

(私はあの時出会ったもう一人の自分のように、希望をはき違えたりはしない。絶対、絶対に――)

「……十年の時を経て、私達はもう一度ここにつどいました。
 私達の目的は同じ。大切な人を失ったあの惨劇を、あの化け物を召喚させないために、過去を変えること」

 彼女は硬い声で言葉を紡いでいく。

「もう迷いはしない。だから、今ここに宣言しましょう。私達はこの手で未来を掴むために、戦いを始める」

 一言、一言、区切るようにはっきりと。

「すべきは、忌まわしき惨劇の防止。望むは、平和な未来。果たすは、過去の過ち故に」

 自分と周りの者達に言い聞かせるように。

「動きましょう」

 彼女が腰元の拳銃を引き抜くと共に、周りの契約者も各々の武器を手に持ち始めた。

「そう。その全ては」

 そして決意を込め、天高く振り上げる。

「全てを救うために――!」

担当マスターより

▼担当マスター

小川大流

▼マスターコメント

 最後まで読んで頂きありがとうございます。マスターの小川大流と申します。
 この度は「All I Need Is Kill 【Last】」にご参加頂きありがとうございました。

 今回の物語は如何でしたでしたでしょうか。
 少しでも楽しんで頂けたなら幸いです。

 あと、今回のシナリオのことですが、
・今回のシナリオの位置づけ
 このシナリオはパラレルですが、最後の章のあとNPC達(※ヴィータ・インケルタを除く)はこちらの“正史”に跳び、召喚を未然に防ぎました。
 その際に元のヴィータとウォルターが被害をこうむり、ヴィータはウォルターの身体に憑依して逃げ切りました。
・今回のNPCたちと実際のPCたちの関係などについて
 今回のシナリオのままで構いません。神隠し事件などを通して知り合った、などでも結構です。

 また、今回は時間の都合により、称号をお贈りした方にのみ個別メッセージをお送りしています。申し訳ありません。
 コメントをいただけた方、ありがとうございました。楽しく読ませていただき、また嬉しかったです。
 ご意見をいただけた方、不快な思いをさせて申し訳ありません。今後はそのような思いを皆様がしませんよう精進致します。
 ご感想をいただけた方、ありがとうございました。リアクション作成の際、励みとなり力になりました。

 それでは、また皆様にお会いできる日を楽しみにしております。