校長室
動物になって仁義なき勝負?
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植物から情報を手に入れたエースは飛行を『空飛ぶ魔法↑↑』で補正し、『ゴッドスピード』で速度を上げて『ホークアイ』で見落とさないよう注意を払って目的の場所に向かい、到着した。『方向感覚』を持つので右も左も同じ景色であって迷う事は無かった。 エースが発見したのは今にも眠ってしまいそうな様子の蛙に変身した少女ホルカ。 「……どうしよう、先生もみんなも……あたしが薬使おうって言ったから」 話しぶりからして迷子になったのだろう。そして、ロズフェル兄弟に薬を使う事をねだった事に責任を感じている様子だった。 「……おやすみ」 エースは小さく言葉を投げかけてホルカの背後から『ヒプノシス』を使って眠らせた。 「……起きたらみんなの所だ。もう少しだけ我慢をしてくれ」 エースは静かにホルカを掴み、飛んだ。 途中、 「エース」 園児の救出を終えたエオリアがエースと合流しようと来た。ちなみにヒスミを震え上がらせた後でもある。 「エオリア、救出は無事出来たんだね」 エースは、エオリアの様子から救出が上手く行った事を知る。 「えぇ、出来ました」 エオリアはうなずき、報告する。 その時、エースが捜索のために放った使い魔:カラスが戻って来た。 「近くに子供がいるみたいだ」 エースは使い魔が発見した園児の元へと急いだ。 「行きましょう」 エオリアも続いた。 移動先には、疲れたように地面に座っている大型犬になった少女がいた。 「……お腹空いたよぉ」 少女は、涙目で空腹を訴えていた。 「……いましたね」 発見するなりエオリアは『子守歌』で少女を眠らせた。 「俺達で運ぶのは無理だな。人を連れて来るから見張りをしていてくれ」 自分達で傷付けずに運ぶのは無理だと判断した。エースは協力とホルカを運ぶため飛んだ。 「分かりました。なるべく早くお願いします」 エオリアはエースが戻って来るのを待ちながら静かに見張りをした。 「いたら返事するにゃ〜」 白銀の背中に乗っている北都が必死に呼びかけるが、返事は返って来ない。 「……どこに行ったんだ。ん?」 白銀が草をかき分ける音を耳にし、立ち止まった。 そして、 「あーー、いたーー」 明るい少年の声が飛び込んできた。 「いたってなぁ」 「怪我はにゃいねぇ」 泣いているかと思っていただけに元気な様子に拍子抜けする白銀と北都。 「無いよ! ねぇ、帰ろう! ずっと、道が分かんなくて探してたんだ〜」 子供は北都に元気に答えながらも少しだけ心細さを見せた。 その背後に黒い影。 「危にゃい」 蛇になった少年の背後に熊が現れた。少年が背後を確認するよりも速く、身軽な体を使い、攻撃に転じる。 「さいどにゃいだーにゃ」 と『サイドワインダー』を使って両手爪で熊の顔面を引っ掻く。 「那斗、オレに乗れ、逃げるぞ!」 「わかった!!」 白銀は北都が気を引いている間に那斗を背中に乗せ、安全圏へ逃げる。 あまりの痛さに熊は両手で顔を覆いながら逃げて行った。 「なめんにゃよ」 北都はそう言って逃げて行く熊を見送った。 「怖かった〜」 那斗は白銀の背中の上でほっと胸を撫で下ろした。ちなみにロズフェルに薬を混ぜるように言った子供だ。 そして、森の出口へと急ぐ。 「……とても楽しんだみたいだにゃ」 白銀の横を歩く北都が声をかけた。 「うん。いろんなものに巻き付いたりしたよ。高い所にも登ったし、何か歩くのがおかしい感じで手で触ったり出来ないが不思議。蛇ってただ抜け殻になるだけじゃないんだね」 蛇になった少年は楽しそうに話す。 「毒を持っている種類もいるにゃ。次はどんな動物がいいにゃ?」 北都も話に付き合う。 「うん。次はね、猫になる。そんで、引っ掻く」 少年はうなずくなり、変身したい動物を口にした。どうやら北都の戦いが心のお気に入りに登録されたようだ。 「引っ掻くか、そりゃ、強いな」 白銀は笑った。 「うん」 少年はうなずきながら眠ってしまった。 「……眠ったみたいにゃ」 「疲れてたんだな」 北都は眠った事を確認し、白銀は起こさないように注意を払いながら歩いた。 そんな時、横から猛禽類に変身したエースが現れた。 「お、エース」 白銀が真っ先に声をかけた。 「あぁ、君達も救助か。ちょうど、良かった。この先に大型犬になった園児がいるんだ。連れて行ってくれないか。怖がらせないように眠らせてエオリアに見張らせているから」 エースはこれは幸いと事情を話し始めた。 「……分かったにゃ」 「すごい光景だな」 北都はすぐに手助けを決め、白銀は掴んでいる蛙のホルカと大型猛禽類のエースを見比べながら言葉を洩らした。 「これは決して狩りとかではなくてね。とにかく、頼むよ」 エースは少し苦笑い気味に言ってナコの元に急いだ。 「とりあえず、行くか」 「そうするにゃ」 白銀と北都は向かった。 「……話を聞いて来たぞ」 到着するなり白銀がエオリアに声をかけた。 「こちらです。僕とエースでは運ぶ事が出来ませんのでお願いします」 エオリアが案内。 「気持ち良さそうに眠っているにゃ」 北都は、気持ち良さそうに眠っている大型犬になった園児を見た。 「はい。もう少しすれば、起きると思いますのでお願いします。背中で眠っている子は連れて行きましょうか」 エオリアは北都と白銀に改めて救助を頼んだ。そして、白銀の背中に乗っている那斗にも気付き、運ぶ事を申し出た。 「頼むぜ」 白銀は那斗をエオリアに引き受けて貰う事にした。このままだと起こしてしまう恐れや戦闘に出会い、もしもの事があるかもしれないから。 「では、お願いします」 那斗を掴み、エオリアは飛び立った。 この後もエースとエオリアは救出を続けた。 眠らせて救出が上手く行かない時は、エオリアの『光術』で目をくらませ驚かせ、手早く掴んで上空へ行き、猛スピードでナコの元に連れて行った。トラウマになるかもしれないと運ぶエースは少し思いながら。 「んー、お腹空いた」 目を覚ました大型犬になった少女の第一声は空腹を訴えるものだった。 「お、起きたか、ルルサ」 「早く帰ってお弁当食べるにゃ」 白銀と北都はそれぞれルルサに言葉をかけた。 「うん」 ルルサは起き上がって二人と共に森を出る事にした。 北都と白銀はルルサと別れた後も園児救出を続けた。 「……ここを通ったようだ。それから考えると行き先は」 グラキエスは『サイコメトリ』で地面から戻り薬の情報を得て『行動予測』で移動先を予測し、先に進む。 進む間中、人の姿に反応して土塊達が様々な形でグラキエスを襲う。 それだけではなく、森に潜む獣まで現れる。ロアの『殺気看破』によって不意を突かれる事は無かった。 「……魔法を」 グラキエスは襲い来る獣をことごとく『ブリザード』や『グレイシャルハザード』で倒していく。 グラキエスの訓練だが、ロアも戦う。主に土塊を相手にする。その際、『羅刹の武術』で攻撃力を『神速』で速さを補正した『鳳凰の拳』を繰り出して倒していく。見た目は完全に猫パンチだが、威力は可愛くない。 何度目かの戦闘後、 「グラキエス、少し休まないか」 グラキエスの顔色がますます悪くなったのを見たロアは前を歩くグラキエスに言った。 「……早く薬を取り戻さないと」 グラキエスは早く魔法を上手く使えるようになって薬も取り戻したい。ロアを失望させないために。 「俺が疲れたんだ。猫の姿は思ったより疲れるんだ。小さいし」 ロアはあくまで自分が休みたいからと言い、立ち止まって休み始めた。本当はグラキエスのためだが、それを言えばきっと負担を掛けたく無いと言って休もうとしないから。 「……分かった」 グラキエスはうなずき、休む事にした。 そうやってロアは、時々、変身した姿を理由に休憩を取って衰弱した体のグラキエスが倒れないようにしようとする。辛い事からグラキエスを守ろうとしていた。