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ニルヴァーナ学園祭、はじめるよ!

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6章 笑顔の広がる学園祭

「ロゼさんのいる医学部教室は……どこでしょうね……」
「主様、あっちじゃないかの?」
知り合いのいる医学部教室を目指しているのは鬼龍 貴仁(きりゅう・たかひと)医心方 房内(いしんぼう・ぼうない)の二名である。
「あっちみたいですね。あっ、わたあめの出店ですね。買っていきますか」
「わらわも欲しいぞ。ほれ、木村持っておれ」
そうこうしている内に二人は医学部教室にたどり着いたようだ。
「失礼します。ロゼさんいますか?」
「んっ? 誰かと思ったら貴仁じゃないか」
医学部教室には貴仁の知り合いである{SFM0030420#九条 ジュライザ・ローズ}が今も気分の悪くなった人を治療している所であった。
「どうやら忙しいときに来てしまったみたいですね」
「ここはいつ来ても忙しいよ」
「ローズもいそがしそうじゃの。ほれ、木村。下ろしても良いぞ」
そういうと救世主木村太郎は肩車していた房内をそっと下ろした。
「なっ、ななななな!」
すると先ほどローズから治療を受けていたアレックス・マッケンジー(あれっくす・まっけんじー)は木村を見て肩を震わせていた。
「イ、 イケメン……!? ……しかも子供にやさしいだと!?」
「どうかしたの? アレックス?」
「ん? アレックスとやら、木村を見てどうしたんじゃ?」
そう聞かれるとアレックスは唐突に
「その木村とやらとけっこ……じゃなくて契約させてくれ!!」
などと言い出した。
「えぇぇぇぇぇぇえ!」
「なんじゃと!」
貴仁と房内は驚いた声を上げていた。
「なんか楽しいことになってるね。とりあえず私は治療が忙しいからこれで……」
「少し話があるのでまってもらえませんか?」
「わっ、わかったよ……うん」
そういってその場を去ろうとしたローズを怖い笑顔で捕まえた貴仁。
「えーと……アレックスさんですよね? どうして急に……」
「貴公に運命を感じたからだ!」
アレックスはまっすぐな瞳で木村を見ていた。
「木村はわらわの救世主じゃぞ。なので契約は無理じゃ」
そう房内が告げるとアレックスはガックリと肩を落とした。
「そんな……。なら貴公の主はだれなのだ?」
「わらわの主は主様じゃぞ」
房内は貴仁を指差した。
「まぁ、俺ですけど……」
そう言うとアレックスは少しあきらめたかのようにある提案をしていた。
「なら貴公で我慢するとしよう。よろしく頼むぞ」
「えっ? 契約するんですか?」
「仕方ないんでな」
「仕方ないんですね……ははは……」
苦笑いする貴仁の肩を叩いてローズは
「こういう時は怒ってもいいんだよ。きっと」
なんてことを呟いていたのは内緒である。


「いらっしゃいませですー♪」
「い、いらっしゃいませなのです……」
こちらは出店でスイーツを売っている広瀬 ファイリア(ひろせ・ふぁいりあ)ウィルヘルミーナ・アイヴァンホー(うぃるへるみーな・あいばんほー)
「うぅ……なんでボクのメイド服、ミニスカートなんですか……恥ずかしいですよ……」
「あははー……間違えて持ってきちゃったです……」
「うぅー……」
二人はメイド服をきて接客をしているがウィルヘルミーナのほうが大胆なメイド服になっている。
「そっ、そんなことよりお兄ちゃんたち来るの遅いねー!」
「ジェイドさんに今の姿見られたら……はわわ……」
するとファイリアの兄である広瀬 鉄樹(ひろせ・てつき)とそのパートナーであるジェイド ウォルフ(じぇいど・うぉるふ)が店に遊びに来たようだ。
「いらっしゃいま……って、お兄ちゃんです! 来てくれたんだねっ!」
「せっかく妹が出店しているんだ、来るさ。それにしても結構繁盛しているな」
「でしょでしょ! それとこの恰好どうかなっ?」
「二人ともメイド服ってやつか。よく似合っているよ」
「お兄ちゃん、ありがとですっ! 」
「鉄樹さん、ありがとうございます……!」
仲良く3人で会話しているのを不機嫌な様子でジェイドは眺めていた。
「ジェイド、どうした?」
「ウィルヘルミーナは、どうやらここ数年の間でずいぶんと腑抜けになったものだな」
「うっ、うぅ……今の恰好だと何も言い返せないです……」
どうやらジェイドは今のウィルヘルミーナの格好が気に入らないようだ。
そんなジェイドの発言にファイリアはご立腹のようで、ジェイドに反論していた。
「む!ジェイドさん、ウィルちゃんはとっても可愛いのです!腑抜けたんじゃないのです!」
「こら、二人とも喧嘩すんなって。とりあえずパンプキンパイを2つ頼むぜ」
鉄樹は二人の喧嘩を仲裁しつつ妹のファイリアに注文を頼んでむりやり客席にジェイドを引っ張っていった。
「ウィルちゃんはカワイイんです! むー!」
「ファイリアさん、ありがとですよ……」
「ううん、気にしないんです! それよりお兄ちゃんたちにとびっきりおいしいスイーツ出してあげてびっくりさせてあげるです!」
そういって二人は厨房で一生懸命スイーツを作った。
「お待たせしましたです!」
「おぉ、おいしそうだな」
「ふん……これがスイーツというものか、くだらない」
「ほら、ジェイドもとりあえずは食べてみろって。じゃあいただきます」
そう言って二人はファイリアとウィルエルミーナお手製のパンプキンパイをほおばった。
「……ん。母さん直伝の味の特徴をとらえているな。それだけじゃなくて味に深みが出ている」
「ほんとです!?」
「あぁ、いい仕事してるな。さすが俺の妹だ」
そういいながらファイリアの頭をなでてあげる鉄樹。
「えへへ……うれしいですっ!」
「ほら、ジェイド。なかなか旨いだ……ろ……?」
「もぐもぐ……」
そこにはとてつもなく幸せそうにスイーツをほおばるジェイドの姿があった。
「ジェイドさん、すごい幸せそうな顔していますです!」
「ほんとですね……よかった……」
「もしかしたら俺と契約して一番の笑顔かもしれないな……」
「……ごくんっ。て、鉄樹! お前の妹のよしみだ。もう1個食べてもいいぞ?」
「はいはい。気に入ったんだな」
「気に入ったんじゃ……!」
「じゃあもういらないか?」
「うっ……それはその……」
「嘘だよ。ファイリア、もう1個頼むよ」
「はいですっ!」
その後、ファイリア達の店には終日幸せそうにスイーツをほおばる客がいたそうだ。


「んー! このたこ焼きおいしいー!」
たくさんの食べ物を抱えて幸せそうにほおばっているのはルカルカ・ルー(るかるか・るー)
「ふふんっ♪ これで全出店制覇したんだからね! ……あれっ、たいむちゃんだ! やっほー!」
「んー? あっ、やっほー!」
そこには学園祭を回っていたたいむちゃんの姿があった。
「たいむちゃん、今なにしてるの?」
「うろうろしてただけだよ!」
「そっか……なら一緒にたいむちゃんカフェって所があるんだけど、行こうよ!」
「私のカフェなんてあるんだ……。行きたいな!」
「いこいこっ♪」
そういうとエース達がやっているたいむちゃんカフェに向かうのであった。
「いらっしゃいませ……って、リリアとダリルじゃないか」
「お店の調子はどうかしら? エース」
「ここがエースの出店か。ずいぶんと派手だな」
エースの出店に来たのはリリア・オーランソート(りりあ・おーらんそーと)ダリル・ガイザック(だりる・がいざっく)
「エース、遊びにきたよー!」
どうやらルカルカ達も店についたようだ。
「いらっしゃい、ルカルカ。……おや、これはたいむちゃんも。ようこそ、たいむちゃんカフェへ」
そういうとエースはミニブーケをプレゼントしていた。
「ありがと! それにしてもすごい恰好だね!」
「なんたってここはたいむちゃんカフェだからね」
「ねねっ、たいむちゃん! みんなで記念撮影しようよ!」
そういうとルカルカもたいむちゃん風のコスプレをしてエースとたいむちゃん、そしてルカルカの3人で記念撮影をしていた。
「へへーん♪ あっ、エース人形焼きちょーだーい!」
「わかったよ。エオリア人形焼を……」
「あっ、エース。私達にも人形焼きを……ダリルは甘い物苦手だったかしら?」
「そうだな。今は遠慮しておこうかな」
「わかったわ。なら人形焼き1つとコーヒ2つお願いできる?」
「了解したよ。エオリア、人形焼きを2個お願いするね」
「了解しました。……気合いれて作らないとですね」
エオリアは少し緊張した声で返答していた。
「エオリアの料理、久しぶりだな」
「あら、そうなの? ……ところでダリルはどこの展示が楽しかったのかしら?」
「展示……かはわからないが、機晶石の声を聞く実験をしていたのは興味深かったな」
「そんなものもあったのね。後で時間あったらギフトふれあいパークに行きましょ」
「俺で良ければどこへなりとも」
どうやらリリアとダリルはいい雰囲気で会話している様子である。
「おいふぃー! ……ごくんっ。あれあれ? なんかいい雰囲気だねっ!」
そう言いながらルカルカは上手くたいむちゃんやエースを誘導してリリアとダリルを二人っきりにしようとしていた。
「そうだ。ねね、たいむちゃんはどんな人がタイプなの?」
唐突にたいむちゃんに質問を投げていた。
「うーん……やっぱりいつも笑顔でいてくれる人かなっ!」
「ふむふむ……たいむちゃんはそういう人が好きなんだっ!」
たいむちゃんカフェはどうやら恋色に包まれているようである。