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この中に多分一人はリア充がいる!

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この中に多分一人はリア充がいる!

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「しかし、いつまでたっても犯人が出て来ねぇなぁ……」
『汚物置場』の屍の山を見てキロスが呟く。そりゃこの中にいないのだから出て来ようがないというもんだ。
「まあまあ、ちょっと落ち着いて考えてみようよキロスさん。よかったらおやつの余りだけど、チョコマシュマロ食べる?」
 そう言って鳥居 くるみ(とりい・くるみ)がキロスにマシュマロを差し出す。
 余裕そうに見えるくるみであるが、その手は『お前が落ち着けよ』と言わんばかりにガタガタと震えていた。下手して気に障って爆破されないか、という緊張の現れである。
「いやお前が落ち着けよ……で、考えてみようってお前はリア充じゃねぇのかよ?」
「生まれてこの方彼氏なんていたことないよ私は……何で間違えられたんだか……まあ、とりあえず状況整理みたいなもんで、まずリア充について考えてみようよ」
 一瞬マジでへこんだ表情を見せたくるみであったが、気を取り直したように表情を変えて話し出す。
「まずリア充について考えてみようか、キロスさん。リア充というものは自分達の世界を重視するはずだから、わざわざ無関係の人に手を出すような事はしないんじゃないかな? 彼氏なんて無かった私が言ってもあんまり信憑性は無いとは思うけどさ……泣いてないよ花粉のせいだよ……」
 くるみが涙を流しながら壊れたような笑みを浮かべる。自分でダメージを受けてどうする。
「そう言うがな、俺は誰かに殴られたのは事実だぞ」
 そう言ってキロスが腕を組む。確かにそれは事実だが、それが何故リア充が悪いに発展したかは未だに謎だ。考えた奴誰だ。
「そこそこ。話を聞けば誰かに襲われたのは間違いないよね。ナンパしていた所、って考えるとまるでモテた事が無く行動力も無い男性に腹いせにやられた可能性があるけど……今ここに居る契約者にそんな感じの人は……見当たらないかな?」
「それじゃ誰だっていうんだ?」
「これはあくまで私の推理だけどさ、犯人はキロスさんの身近に居る女性じゃないかな? ナンパしてる所を見られたのならば腹を立てるには十分過ぎる理由だよ。責任とってその人の気持ちに応えるべきじゃない?」
「はあ? そんな奴いるわけ――」
「いやー居ると思うよ、キロス君? 少なくとも一人は心当たり有るけど〜?」
 布袋 佳奈子(ほてい・かなこ)がニヤニヤと笑みを浮かべながら口を挟んでくる。
「心当たりだぁ? 誰の事だよ?」
「それは言えないな〜。そこまで私は無粋じゃないもん」
 佳奈子がそう言うと、少し苛立ったようにキロスが眉間にしわを寄せる。
「でも身近にいると思うんだけどな〜、エレノアもそう思うでしょ?」
「ええ、身近にいると思うわね」
 エレノア・グランクルス(えれのあ・ぐらんくるす)が同意するように頷く。
「うんうん。絶対キロス君の近くにいるハズだからこんなところでイタズラに時間を費やしてしまうより、カノジョさん探しをする方がいいと思うよ?」
「そうね。佳奈子の言う通り、リア充探しなんてするよりよっぽどいいと思うわ。早く香菜を探した方がいいわね
「ってエレノア〜、香菜って名前出しちゃってるよ〜?」
「あら、ついうっかり」
 わざとらしくエレノアがしまったというように口を押える。それを見てから、佳奈子がキロスをニヤニヤと見てくる。
 佳奈子とエレノアは気づいていない。この瞬間、キロスのコメカミに青筋が走ったことに。
「うっかりじゃ仕方ないかな〜? というわけで、早くキロス君は香菜を探して責任取らなきゃ――」
「てめぇらおちょくってんのかぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
 キロスが叫ぶと同時に、佳奈子達の視界に爆弾が映り――そして、破裂する。

「「ひきゃああああああ!」」
「なんで私までぇぇぇぇぇぇぇ!」


 爆風に包みこまれた佳奈子とエレノア、そしてくるみの悲鳴が響く。
 ちなみにくるみまで爆破されたのは単純に巻き込まれたからである。巻き込まれた理由に関しては色々あるが、正論を言えば何とかなる? まずはその幻想をぶち殺す。

「ったく、何でそこで香菜の名前が出てくるんだ。あいつは関係ねぇだろ!」
 爆風の被害者3人にキロスがそう言う。
 キロスは被害者を見ていた。だから気付かなかった。背後の人物に。

「私が、何だって?」

「え――がぁッ!?」
 次の瞬間、キロスの後頭部に衝撃が走った。

 後頭部に一撃を受けたキロスが崩れ落ちるように倒れる。そしてその後ろには人影が一つ。

「全く、さっきから変な音がするから来てみたら、まーた迷惑かけてるんだから!」

 その人影は、鞄を構えた夏來 香菜(なつき・かな)であった。恐らく鞄でキロスの後頭部をどついたのであろう。
「さっきも言ったでしょ! 人に迷惑はかけないって! いっくら言ってもわからないんだから!」
 そう言うと香菜はキロスの首根っこを捕まえる。その間、キロスはピクリとも動かない。
「これはもうお説教ね! 今日はとことんわかるまでお説教よ!」
 そう言って香菜はぷりぷりと怒りながら、キロスを引き摺って去っていった。その間、やはりキロスは動いていなかった。

――この光景を見て、この場にいた者達は二つの事を理解した。

 まず一つ。この事件の真相である。これに関しては詳細を述べる必要はないだろう。『香菜がキロスを殺った』という一言で十分である。
 そしてもう一つ。あのキロスを一撃でノックアウトさせた香菜を見て、一同は思った。

――もしかして、キロス以上に恐ろしいのは香菜なのではないか、と。

担当マスターより

▼担当マスター

高久 高久

▼マスターコメント

 へんじがない ただのしかばねのようだ

 皆様お疲れ様でした。今回シナリオを担当しました現在進行形でしかばね中の高久高久でございます。
 この度は御参加頂きありがとうございました。そして遅くなり申し訳ありませんでした。
 本来ならばここで色々と戯言を垂れ流すのですが、諸事情(しかばね中)により感想などは後程マスターページにてまとめて公開したいと思います。

 毎回アクションを読ませていただき、楽しく読ませていただいてます。
 毎回勉強させられる事も多く、自らの未熟さを痛感させられています。

 それではまた次の機会、皆様と御一緒できる事を楽しみにしております。
 

▼マスター個別コメント