リアクション
第10ターン 『さあ、レースもついに後半戦に突入します。第10ターンです。 未だトップは南鮪選手がキープしています。これは、このままゴールしてしまう結末か!? 2番手は混沌としてきました。一気に躍り出たベアトリーチェ・アイブリンガー選手、フォン・ユンツト著『無名祭祀書』選手が加わり、ジャジラッド・ボゴル選手、イコナ・ユア・クックブック選手と激戦を繰り広げています。 6番手は、トップグループから脱落した秋月葵選手に、雪国ベア選手が追いつきました。 8番手の緋桜ケイ選手も、すばらしい追いあげを見せています。 9番手のノーン・クリスタリア選手、無理な加速でさすがにドラゴンが疲れたか、一気に順位を落としました。 10番手のソア・ウェンボリス選手、クリストファー・モーガン選手、ペルセポネ・エレウシス選手、一斉に機晶爆弾エリアに突入します。 おおっと、爆発です。 ソア・ウェンボリス選手、機晶爆弾に触れてしまいました』 「きゃあぁぁ……」 「ちょっ、御主人、やっちまったか!?」 後ろで起こった爆発に、雪国ベアがあわてて振り返った。 「わーん、またですかー。ベアー、おいてかないでー」 雪国ベアの視界の中を、ソア・ウェンボリスが墜落していく。 「安らかに眠れ、御主人。その意志は俺様が継いで優勝する!」 流れない涙を拭うポーズをとると、雪国ベアがしっかりと前をむいて走り続けた。 「ええい、近づくな!」 風の鎧で機晶爆弾を弾き飛ばしながら、クリストファー・モーガンが強行突破していく。 「フォースフィールド展開、障害を排除します」 ペルセポネ・エレウシスが防御障壁を展開した。機晶爆弾の爆発をものともせずに進んで行く。 『ソア・ウェンボリス選手、リタイアです。クリストファー・モーガン選手とペルセポネ・エレウシス選手は無事に障害物を突破していきました。 12番手、天城一輝選手。おおっとどうしたのか、止まってしまった。マシントラブルか、電装系か!?』 「エンジンストールだと。じゃじゃ馬め」 急いで、天城一輝が機晶エンジンを再起動させる。 『ラスト、御神楽舞花選手、写真エリアに突入した。おおっと、なんだかかなり焦って写真を回収している。ああ、流れる写真を追って、コースアウトだ。ここでリタイアとなります。それにしても、いったいどうしたのでしょう』 『あれこそわあ! 伝説のアイテム、環菜の生写真!』 『ちょ、ちょっとなんです!?』 『実況と解説の綾原さゆみです。きっと、御神楽舞花選手は、その写真に引かれて、誘蛾灯に集まるカブトムシのように。はたまた、LEDランプに群がるするめいかのように、引き寄せられていったに違いありません!』 突如放送席に乱入した綾原さゆみが、シャレード・ムーンのマイクを奪って叫んだ。 「はーい、分かりましたから、少しクールダウンしてくださーい。保護者の方ー!」 「はい、すいません、すいません」 シャレード・ムーンに言われて、アデリーヌ・シャントルイユがあわてて綾原さゆみを回収に来る。 ★ ★ ★ 「まだ出回ってたのか、あの写真」 「まだあったの、あの写真……」 テレビを見ていた御神楽夫妻が絶句した。これは、御神楽舞花が全て回収してくれることを祈る限りではある。 ★ ★ ★ 『はい、放送を再開させていただきます。 激しいデッドヒートが繰り広げられつつある第10ターン。 それでは、現在の順位です。』 1番手 南鮪 2 ベアトリーチェ・アイブリンガー フォン・ユンツト著『無名祭祀書』 ジャジラッド・ボゴル イコナ・ユア・クックブック 6 雪国ベア 秋月葵 8 緋桜ケイ 9 ノーン・クリスタリア 10 クリストファー・モーガン ペルセポネ・エレウシス&ヘスティア・ウルカヌス 12 天城一輝 リタイア ソア・ウェンボリス 御神楽舞花 |
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