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【カナン再生記】 砂蝕の大地に挑む勇者たち (第2回/全3回)

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【カナン再生記】 砂蝕の大地に挑む勇者たち (第2回/全3回)

リアクション

 神聖都キシュ。漆黒の神殿の奥深く。
 暗闇の中。僅かに、また唯一光を放つ黒水晶を前にネルガルは祈りを捧げていた。
 掌を広げ水晶にかざし、また両手を合わせて精神を沈める。
 それらを何度も繰り返し、そうして最後に強く押し合わせると、天に掲げて大きく開いた。
 黒水晶が光輝き、光の柱が天へ昇っていった。
「フフフフフ。ハァーハッハッハァー」
 雲が蠢き、稲妻が走る。稲光がネルガルの歪んだ紫顔を照らし出した。
「忠実なる砂よ、強大なる砂よ。民が抱きし脆く愚かな希望の光りを、再びその身で生き埋めるのだ」
 高笑う声、そして「埋めろ」「全てを」「叩き折るのだ」という言葉が何度も何度も神殿内に、こだました。
 西カナンの各地を降砂が襲うのは、この直後のことであった。








「マルドゥーク! マルドゥークっ!!」
 ルミナスヴァルキリーの甲板上、ラルク・クローディス(らるく・くろーでぃす)マルドゥークに駆け寄った。
「大変だ! 各地の村や集落に大量の砂が降ってるみてぇなんだ!」
「何だと!!」
 降砂から避難してきた者、また通信によってそれを伝える者など、それらの手段は多岐に渡るが、共通していたのは突然に空から大量の砂が降り始めたこと、そしてその量は、これまでの降砂とは比べものにならない程に多いという事だった。
 また、それらの報告を合わせれば、大量降砂の場所は何処もマルドゥークが大地の再生の為に再び民を送り出した土地ばかりだった。
「なぜ…… なぜこのタイミングで!」
 民は生まれ育った土地に戻り、再びその地を耕し整備し、ようやく再生が形となって現れ始めた所だたというのに……
「だからだ」
「何?」
「狙ってたんだ、待ってたんだよ、この時を。自分たちの手で自分たちの土地を元通りに出来る、目の前でそれが実感できるようになるまで待ってやがったんだ。もう一度、一気にドン底に突き落とす為にな」
 人々が再び希望を抱かせる為に、それらをわざと放置し、軌道に乗った頃を見計らって刈り取ったという事か。
「くそっ!!」
 この拠点の周辺には降砂は起こっていない、あくまで狙いは民、それも再開拓を始めた土地ばかりをピンポイントで。
 一体どうやって調べたというのか。 内通者がいる? そうでもなければ人海戦術でもしない限りここまで正確な場所は分からないはず―――
「まさか……」
「あぁ。やられたな」
 各地の女神像の破壊。やけにあっさり撤退したという報告もあったが。なるほど、そういうわけだったか。
「とにかく、今一度、民を受け入れる。速やかに避難と誘導を行ってくれ」
 マルドゥークの声に兵も生徒たちも動き出した。再び各地へと飛び向かう。
 各地に降る砂、大量の砂。希望を生き埋める砂は、飽きることなくしばらくと降り続き、人々をあざ笑い続けたのだった。

担当マスターより

▼担当マスター

古戝 正規

▼マスターコメント

 
 ゲームマスターの古戝正規です。

 みなさま、ご無事でしょうか。 
 まだまだ混乱が続くと思いますが、どうか冷静に、いまできる事を精一杯にやりましょう。
 生きましょう。笑みましょう。




 「【カナン再生記】 砂蝕の大地に挑む勇者たち」の第2回目です。如何だったでしょうか。
 この度はリアクション執筆が遅れましたこと、大変申し訳ありませんでした。
 シリーズも佳境に入っております。最後まで楽しんで頂けたなら幸いです。

 さて、第2回目は各地各場所での戦いに焦点を当てるという、正にそういった回になりました。
 ジバルラは新たな相棒に出会うことが出来ましたし、女神像は幾らか守れど、結果的には
 ネルガルにしてやられたと言った所でしょうか。
 民の落胆ぶりを思うと…… 私も思わず床に伏し、そのままぐっすり眠り込んでしまいました。

 第3回のシナリオガイドは近日公開予定です。
 次回は定員50名でやらせていただく予定です。
(公開日が決定次第「マスターページ」にて告知させて頂きます)
 
 次の機会にもお会いできることを心より祈っております。