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地球に帰らせていただきますっ! ~3~

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地球に帰らせていただきますっ! ~3~
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リアクション

 
 
 
 ■ パラミタへの帰還 ■
 
 
 
 ――ただいま。
 
 そんな風にふらっと日比谷 皐月(ひびや・さつき)は地球の実家に帰省した。
 普通の顔で。
 片腕で。
 
 お帰りなさいといった母さんの顔がみるみる泣き顔になる。
 ただオレの名前を呼んで、エプロンの裾に顔を埋めた。
 
 母さんの視線を辿った兄貴の顔がみるみる真っ赤になる。
 無くなったのはオレの腕なのに、兄貴の腕を無くしたかのように怒られた。
 
 父さんはゆっくりと近づいてきて……。
 何も言わずにただ頭を撫でるだけだった。
 そんな歳じゃねーってのに、な。
 いや……親にとってはオレはいつまでたっても子供、なんだろう。
 幾つになっても、ずっと。
 
 オレが腕を失う遠因となった雨宮 七日(あめみや・なのか)にだけは、若干風当たりが強かったが。
 それもオレを思ってのことだ。
 ……悪いな、七日。ちょっとだけ我慢してくれ。
 
 
 ダチにも会った。一緒に遊んだ。
 対戦ゲームやろうって誘った瞬間はっと気づいて、どうしても観たい映画があるんだとぐんぐん歩き出した。
 みんなが大笑いしてるコメディ映画で、鼻すすんなよ。
 こっちが申し訳なくなるくらい、上っ面取り繕いやがって。
 ……楽しかった。
 
 ……先生には会えねー。会ったら多分殺される。
 それに、まだオレは餓鬼のままで。
 次に会う時は、あの人と対等でって決めてるから、さ。
 今はまだ会うわけにはいかねーんだ。
 
 ……オレは、恵まれてる。
 心の底からそう思う。
 だから、なんだろう。
 やっぱり、苦しんでる人が居るなら助けたいと思う。
 世界はこんなに素晴らしいんだって、想いに満ち満ちてるんだって、言ってやりたい。
 ……だから帰ろう。パラミタへ。
「やれることがあるなら、オレはそれをやろうと思う」
 
 多分、だけど。二度とこの地を踏まないような、そんな気がする。
 パラミタでやる事は山積みだ。それに……。
「居るだけで辛いだろ、オレみたいな不肖の息子は。気だって遣わせる」
 泣かせて、怒らせて、悲しませて。
「忘れた方が為になる事も、この世にはきっとあるんだ」
 それが真実なのかどうかは分からない。
 けれど今のオレはそう思う。
 それが正解か間違いかなんて、進んだ先でしか見つけられないものだから。
 
「何がどうあろうと、私は皐月の傍に居ますよ」
 パートナーですし、と言って七日は笑う。
 いつもの毒舌は何処行ったんだよ、おまえ。
 
 ありがとう。
 
 だから。
 温かい地球を出て、オレはパラミタに帰る。

「さよなら、だ」
 
 オレは何時だって前を向いて進む。
 振り返る暇なんて、今のオレにはありゃしないんだから――。