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地球に帰らせていただきますっ! ~3~

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地球に帰らせていただきますっ! ~3~
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リアクション

 
 
 
 ■ 高円寺一家 ■
 
 
 
「海くん、里帰りするんですか? 私たちも一緒に行ってもいいですか?」
 杜守 柚(ともり・ゆず)が頼んでみると、高円寺 海(こうえんじ・かい)はあっさりと頷いた。
「うちに来るのか? 普通の家だし、兄4人は結構うるさいけどそれで良かったら構わないぜ」
「うちは両親が忙しくて、家に帰っても2人ともいないから、賑やかな方がいいんです。そういうの憧れますよっ」
「ボクも男兄弟って居ないから、5人兄弟って結構羨ましいよ」
 杜守 三月(ともり・みつき)が言うと、そんなもんかなと海は首を捻る。
「ま、そっちが気にしないならいいけど」
「はい、ぜひお願いします」
 日時等の詳しいことはまた後で、と海が去っていくと、柚はほっと胸を押さえた。
「最近、海くんといるとドキドキしてしまいます……」
 一緒にいるだけで嬉しくて笑顔になってしまうのに、心臓は苦しいくらいに鼓動を打つ。どうしてでしょうねと尋ねれば、三月は呆れ顔を向けるだけで何も教えてはくれなかった。
 
 
 柚と三月を連れた海が向かったのは湘南だった。
「ここだ」
 と海が指したのは古びた長屋だった。かけられている表札には、高円寺豊・梅子、とある。隣の家には、高円寺珊瑚・凪沙、とあった。
「お隣も同じ名字なんですね」
 表札を眺めた柚が言うと、いや、と海は笑った。
「どっちもうちが借りてるんだ。大所帯だからな」
 今は長男の漣と湊が家を出て独り暮らしをしているので、2軒だけれど皆が住んでいた頃には3軒分並んで借りていたのだと海は説明した。
「こっちは今、じいちゃんとばあちゃんが住んでるんだ」
 まずはそっちに帰宅の挨拶をと、海はただいまーと声をかけて玄関を開けた。
「おお、海か。おかえり」
 海の祖父が顔を出す。
「夜には漣と湊も顔を出すと言ってたから、今日は全員勢揃いだねぇ」
 その後ろから出てきた祖母も相好を崩した。どちらも70歳ぐらいだろうか。
「はじめまして、海くんの同級生の杜守柚です。宜しくお願いします」
 柚はちょっと緊張しながらも笑顔で挨拶し、手みやげに持ってきた空京たいむちゃん饅頭を手渡した。
「これはこれはご丁寧に。お仏壇に供えさせてもらおうかしらねぇ」
「おやじとおふくろに挨拶するから、俺が供えておくよ」
 饅頭を祖母から受け取り、海は柚と三月に説明する。
「両親は俺が小さい頃に海難事故で死んでるんだ」
 それからは祖父母が海たち兄弟を育ててくれた。海がバスケットボールを始めたのも祖父の影響だ。海だけでなく兄弟全員が学生時代はバスケをやっていたけれど、皆どこかでやめてしまって、続けているのは海のみだ。
 両親にお参りをする海について、柚と三月も仏壇に手を合わせさせてもらう。
 小さな仏壇の中には、よく日に焼けた男性と海に面差しの似たきりっとした雰囲気の女性の写真が飾られていた……。
 
 祖父母への挨拶を終えると、海は兄たちのいる隣へと向かった。
 家はどちらも同じ作りで、玄関を開けるとすぐに台所があり、逆側に水回り、その奥に和室が1つあるだけだ。
「あら海、早かったのね」
 台所に立っていたのは、長い黒髪をきゅっとバンダナで1つにまとめたエプロン美人。味見様の小皿とお玉を持ったまま、顔だけこちらに向けてくる。
「お姉さん……?」
 兄が4人と聞いていたけれど、と首を傾げる柚に、海はその美人を指して紹介した。
「三男の珊瑚」
「うふふ、よろしくね。今日はみんなの為に腕をふるってご飯作るから」
 にっこり笑う珊瑚はどう見ても、兄というよりは綺麗なお姉さん。びっくりしつつも、柚は料理をお手伝いしますと申し出た。家では柚が料理担当で、三月が食器出しと食器洗い担当だから家事には慣れている。
「良かったね、珊瑚兄。手伝ってくれる人が来てくれて」
 奥からふらりと現れたのはどこかアンニュイな雰囲気のある色白美少年。
「海に女の子を連れてくる甲斐性があるとは思わなかったな。僕は凪沙。海の4つ上だよ」
 よろしく、と挨拶する姿もさまになっていて、海とは全く違うタイプだ。
「兄弟だから似てるって訳でもないんだね」
 何だか面白そうだと三月は海と凪沙とお喋りをはじめ、柚は高円寺家の味付けを教わりながら珊瑚を手伝った。
 
 
 夕飯の時までには長男の漣と湊も帰ってきて、賑やかな食卓となった。
 それが終わると三月は持ってきた花火をしないかと皆を誘った。
 柚は持参してきた浴衣に着替え、皆で海岸に行って小さな花火大会をする。
 ねずみ花火に追いかけられた柚は、三月が笑っていて助けてくれないとちょっと拗ねたりしながらも楽しい時間を過ごしたのだった。
 
 
 

担当マスターより

▼担当マスター

桜月うさぎ

▼マスターコメント

 
 ご参加ありがとうございました。
 皆様の里帰りの様子を書くのもこれが3回目。
 お馴染みの風景だったり、新鮮な風景だったり。今回も楽しく書かせていただきました。
 皆様のイメージとずれていないと良いのですけれど〜。
 地球人関係者の設定は、あくまでキャライメージ補完用。なので他のシナリオへの持ち込みは
基本的に出来ないことをご承知おき下さいませ〜。
 
 今回、目次の番号のところにリンクをはってみました。
 これでぴょんっと目的のところに飛んでご覧下さいませ。
 今までは行動の種別で分けていたのですけれど、今回はキャラID順(GAは番号の若い方)にして
みました。新入生NPCの部分は、こちらも番号順に最後にまとめてあります。
 こちらの方が探しやすいかなと思うのですけれど、読む方としてはどうなのでしょう? 種類別の
方が読みやすいでしょうか〜?
 
 
 自分でアクションを書くのはちょっと恥ずかしいけれど、知ってる人のを読むのは楽しいっ、
と思いますので、ぜひお知り合いのところを読んでみて下さいね。
 
 ではでは〜。