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リアクション
●●● プロローグ The Passion of...
荒涼たる荒野でその男は目を覚ます。
私は。
私は刑死したのではなかったか。
全身に痛みが残り、記憶は混乱している。
だが彼は死を超越した。
彼は永遠となり、この荒野に送られたのだ。
彼は立ち上がると、再び歩き出す。
●●● 24日の金曜日
2021年12月24日は金曜日であった。
(それにつけてもムカつく。
ユールの日は魔女にとって重要な祭日なのに、なんであのリア充どもは空気を読まずにイチャイチャしているんだ!
これはもう黙示録だな、終末だ)
瓜生 コウ(うりゅう・こう)はそう決意した。
淫蕩の気を求めるベイバロン・バビロニア(べいばろん・ばびろにあ)を引き連れて、コウは空京へと旅立った。
●●● 英雄の条件
近藤 勇(こんどう・いさみ)、大石 鍬次郎(おおいし・くわじろう)、原田 左之助(はらだ・さのすけ)の三名は、各々パートナーであるマイト・レストレイド(まいと・れすとれいど)、斎藤 ハツネ(さいとう・はつね)、椎名 真(しいな・まこと)と共に昼食をとっていた。
「おう、あそこに清正公がおられるな」
加藤 清正(かとう・きよまさ)に気づいた近藤勇は興奮気味だ。
清正公は口に拳を入れることができたという。歴史上の英傑に憧れる近藤勇は、これにあやかってこの一風変わった特技を習得していた。
(ああ……だから近藤さん口が大きいんだ……)
マイトは心のなかでそう思った。
「隊長、興奮するのはわかるが、清正公は今回の殺し合いには関わらんとのことですよ」
鍬次郎が箸で魚をつつきながら言う。
「おうおう、あちらには判官殿がおいでだぞ」
今度は源義経であった九條 静佳(くじょう・しずか)を見つける近藤。
義経もまた、近藤の尊敬した英雄である。
(ああ……だから近藤さん判官(ジャスティシア)贔屓なんだ……)
マイトは心のなかでそう思った。
「近藤さん、興奮するのはわかりますが、落ち着いて飯を食いましょうよ」
左之助が箸で芋をつつきながら言う。
「うむすまねえ、しかし今回はあの関羽殿も来ているというしな。
おちおち飯も食っちゃいられねえや」
日本や中国の歴史物語全般に親しんだ近藤が、殊に好んだのは関羽・雲長(かんう・うんちょう)であった。
(ああ……近藤さんどんだけ歴史上の武人武将が好きなんだよ……)
マイトは心のなかでそう思ったが、やっぱり何も言わないでおいた。
このままだと「歴史上の人物見たさにやってきた近藤勇と愉快な仲間たち」
になってしまうのだが(あながち間違ってもいないが)、そこは武名でならした新選組のこと、もちろん試合に参加する腹づもりであった。
「それで近藤さんはどうするんです、お髭の大将にでも挑みますかい?」
「いや、張 飛(ちょう・ひ)殿や馬 超(ば・ちょう)殿に囲まれていて、いまは近寄れる様子じゃなかったからな。
関羽、張飛、馬超といやあ、蜀の五虎将軍だ。
五虎将軍に匹敵する英霊に、まずは勝負を挑んでみようと思う」
近藤勇が目をつけたのは教導団の夏侯 淵(かこう・えん)であった。
夏侯淵は魏の将軍として活躍した人であり、特に弓に秀でていることで知られる。
そういうことで話がまとまり、近藤勇は愛刀虎徹を手にして立った。
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