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【マスター合同シナリオ】百合園女学院合同学園祭!

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【マスター合同シナリオ】百合園女学院合同学園祭!
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リアクション


○     ○     ○


「何しているの……円」
 パッフェル・シャウラ(ぱっふぇる・しゃうら)が入口の扉に近づいて、首をかしげる。
 扉からは、恋人である桐生 円(きりゅう・まどか)が、頭だけ出して部屋の中を覗き込んでいたのだ。
「順番待ち。まだ予約の時間まで少しあるし。仕事の様子が気になっちゃって。邪魔してごめんね」
 円の言葉に、パッフェルは首を左右に振った。
「邪魔なんてこと、ない。私はティセラ達を手伝ってるだけ……だから」
 客からの指名は、百合子やティセラが多く、パッフェルは主に裏方の仕事を手伝っており。
 料理を提供しているわけでもないので、彼女はあまり忙しくはなかった。
「そっか、えっとボクの指名、受けてくれる?」
 円の問いに、パッフェルはこくりと首を縦に振った。
「どこマッサージ、する?」
「ええと、まずは問診からいいかな」
 円は部屋に入って、パッフェルと向かい合って腰かける。
「円、どうかした? いつもと少し違う」
 パッフェルが心配そうに、円に問いかける。
 少し様子が変だと感じていた。
「先生、悩みを聞いてもらってもいいでしょうか?」
「聞かせて」
 頷いて、円は自分の胸に手を当てて話し始める。
「パッフェル先生、先生の事を考えると胸がキューッて痛くなるんです」
「!?」
 パッフェルの目が軽く見開かられる。
「病気? それとも、胸……怪我しているの?」
 パッフェルが円の胸に手を伸ばしてきた。
「うわっ。け、怪我してないよ」
 そっと触れられて、円は真っ赤になる。
「それじゃ、病気?」
 心配そうなパッフェルに、円は首を横に振った。
「ふふ、恋の病ね。治療魔法でも、名医でも、草津の湯でも治せない病」
 近くで作業をしていた百合子がそう言い、円はちょっと俯いた。
「円……辛いの?」
「ううん、そんなことはないんだ。キュンとするのは本当だけど。ごめん、冗談」
 言って、円は顔を上げて微笑んだ。
「あっ、マッサージだけど、ボクがしてあげる。お仕事だったし、疲れたでしょ?」
 円は立ち上がって腕をまくる。
「でもやり方解らないから、教えてー。頑張ってみるから」
 パッフェルは少し迷った後で、頷いて立ち上がった。
 そして、衝立の後ろに設けられたベッドの上に横になって、円にマッサージをしてもらうことに。
「カウンセリングとか、マッサージとか何処で習ったのー? 今日の為に覚えたとか?」
 パッフェルの指示を受けて、円はオイルを手につけながら尋ねてみる。
「数日前から、練習してた。前から、知ってはいたけれど。円、疲れないように、体重利用してね」
「うん」
 円は指示通りに、パッフェルの体をさすって、温めて。
 それから、手の平全体を使って肩を圧していく。
「痛くない?」
「気持ちいい」
 パッフェルは目を閉じて、円に身を任せていた。
 円はパッフェルの固くなっている筋肉を、ゆっくりとほぐしていく。
「もうすぐ休憩でしょ? 午前中に校内回ってみたけど、パッフェルが好きそうな場所は結構あったよ。休憩時間に回ってみようか」
 円はパッフェルが仕事をしていた間に、学園祭を見て回って、彼女が好きそうな食べ物の店や、休憩が出来そうな、可愛らしい店をピックアップしてあった。
「うん、円と一緒に回りたい」
 ふっと息をつき、目を閉じたままパッフェルは言った。
 声がどことなく甘く感じ、表情はうっとりとしていた。
(マッサージ、上手くいってるみたい。パッフェル気持ちよさそう)
 円はドキドキしながら、マッサージを続けて。
 最後にパッフェルの首筋にキスをした。
「お疲れさまでしたー」
 と、声をかけると、パッフェルは夢から覚めた少女のような目を、円に向けてきた。
「ありがとう」
 軽く微笑んだパッフェルに、笑顔で頷いて。
「じゃぁ、外で待ってるから休憩時間になったら、遊びに行こうか」
 服を整えながら、パッフェルは首を縦に振った。
 円は先に衝立の外へ出て、合宿所から出ようとした……時。
「……っ」
 入ってきた一人の男性が目に留まった。
 ミケーレ・ヴァイシャリーだ。
 思わず、円はパッフェルの後ろに隠れる。
「円?」
「ごめん、何故かボク……あの人、苦手なんだ」
 苦手、というより、嫌いだ。
 嫌悪感が心の中にあふれてくる。
 だけれど、何故こんなに嫌いなのか。
 円自身もわからなかった。
「でも別に何かあったってわけじゃないから」
 息をついて、円は思いを振り払う。
「パッフェルさん、休憩に入ってください。お疲れ様です」
 百合子が声をかけてきた。
「行こう、円。円の、お勧めの場所、連れて行って……」
 パッフェルが円の手を引いて、部屋から連れ出す。
「……うん。売切れる前に、連れて行きたいところが沢山あるんだ」
 円はパッフェルと手をつないで微笑み合うと、賑やかな会場へと向っていった。