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【マスター合同シナリオ】百合園女学院合同学園祭!

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『猫&うさぎガーデン』

 庭園に設けられたベンチの側に、猫、うさぎ達が集まっている。
 可愛らしい動物達に囲まれて、ほのぼの一緒にひなたぼっこをしながら、訪れた人々は談笑していた。
「瑠奈ちゃんって考え方は旧体制寄りの子だったと思うんだけど、それがなんで共学化なのかしらね、気になる男でもできたの?」
 寄ってきた猫を膝の上に乗せて撫でながら、崩城 亜璃珠(くずしろ・ありす)が、隣に座る女性――神楽崎 優子(かぐらざき・ゆうこ)に尋ねた。
「気になる異性くらいいてもおかしくはないけど、風見は本質は女の子らしい女の子だから、男手が必要と感じることもあるのかもな」
「ふーん。悪戯してやろっかなーと思ってた時期もあっただけに、感慨深いわ」
「悪戯って……何をする気だったんだ」
 優子が苦笑いをする。
 意味ありげな笑みを返した後、亜璃珠は膝の上の猫を見て、それから再び優子に目を向けた。
「なーんか……優子さん、犬っぽいわよね、ずっと思ってたんだけど」
「は?」
「あとアレナはうさぎっぽい、ゼスタは……オオカミと蝙蝠どっちがいいかしら」
「アレナがうさぎっぽいっていうのは、言われみれば、まあ確かに」
 優子は、うさぎの世話をしているアレナ・ミセファヌス(あれな・みせふぁぬす)に目を向けた。
 お昼までは友人達と学園祭を回っていたアレナだが、昼食後から最後までは、この『猫&うさぎガーデン』で動物の世話をしたり、接客を手伝うらしい。
 近くには、優子のもう一人のパートナー、ゼスタ・レイラン(ぜすた・れいらん)の姿もある。優子は彼に少し複雑そうな目を向けていた。
「……で、なんで私が犬っぽいんだ?」
「性格がね。それでまあ、それがいいか悪いかという事はないの」
「うん」
「優子さんが時々自分を大事にしない人間なら、その分私が大事にしてやろう、そう決めてあるから」
「……」
「でもね、たまには違うタイプの人間の気持ちも感じてみるべきだと思うの。別に上に立つ者としてこう有れかしとは言わないけれど、でも自分の性格で負い目やストレスを生み出してる部分だってあるでしょう? 正当防衛でも納得できない事があったりとか、ね」
「何が言いたいんだ」
 優子はふて腐れ気味の表情になっていく。
「ご注文の品、お持ちいたしました」
 手伝いをしているアユナ・リルミナルが、カップを持って訪れた。
「ありがとう。作り主によろしくね」
 そう言って、亜璃珠は受け取ったカップ――猫の気持ちになれるスープを優子に手渡した。
「これは優子さんに。私は別の飲み物を注文しているから」
「どうも」
 優子はカップを受け取ると、スープをゆっくり飲んでいく。
 ……。

 そして。
 全て飲み干した時に、彼女の姿はシャム猫の子猫の姿に変わっていた。
「さて」
 状況がつかめず、自分の体やあたりを見回している優子猫に亜璃珠は手を伸ばして、抱き上げた。
(どうしよう……可愛すぎる!)
「にゃ……にゃにゃん!」
 途端、暴れだす子猫を亜璃珠はぎゅっと抱きしめて、頭を撫でる。
「別に変なこと考えてないから。……もふもふにゃんにゃんしてやらかしたいとかそういうわけではないから!」
 亜璃珠は心の中で葛藤しながら、大切に抱き抱えた子猫を、うさぎの世話をしているアレナのところに連れて行った。
「この子がアレナと遊びたいみたいなの。一緒に可愛がってあげましょう」
 アレナに子猫を差し出すと、子猫はその隙に亜璃珠の腕から飛び降りて、うさぎ達の中をうろうろ走り回り始める。
「落ち着きのない子猫ちゃんだな」
「にゃーご」
 ゼスタが子猫の首をひょいっと掴んで、持ち上げた。
「お、美形な子猫ちゃんだ。いい子にしてなきゃダメだぞ〜」
 などと言い、ゼスタがチューをしようと、子猫に顔を近づける。
「ふぎゃーっ!」
 彼の唇が触れるより早く、子猫がゼスタの顔に爪を立てた。
「あてっ」
 彼の力が緩んだ隙に、子猫は彼の手から逃れて、ジャンプ。
「ダメですよ。人を傷つけたらだめですっ」
 子猫の前に飛び出たアレナが、子猫を胸で受け止めた。
「いいこにしててくださいね。お友達も沢山いますし、美味しいミルクもあるんですよ」
 爪はしまってというかのように、アレナは子猫の手を撫でて、それから背を優しく撫でていく。
「警戒しないの。素直なあなたでいてくれたら、何もしないわよ?」
 そう言いながら、亜璃珠は子猫――優子猫の頭を両手で撫でる。
 内心イロイロしてしまいたくて、うずうずしながら。
「ふ……にゃん……」
 暴れていた子猫は観念したかのように、大人しくなった。
「よーし、これならどうだ」
 ゼスタが猫じゃらしを子猫に近づけてきた。
「毬もありますよ。ころころ楽しいですよっ」
 アレナは猫用の小さな毬をポケットから取り出す。
「にゃん、にゃあんっ」
 ……猫の本能には逆らえないらしく、子猫は猫じゃらしやボールに強い興味を示した。
 そうして、優子猫はしばらくの間、亜璃珠とパートナー達と楽しく(?)遊んだ。