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こどもたちのハロウィン

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こどもたちのハロウィン
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リアクション

「メイリンおーねちゃん! あの子みんなでつれてきたよ!」
 戻ってきたかおるくんは、狼の尻尾を振っているかのような笑顔で、梅琳を見上げた。
「はーい、ご褒美。かおるくん、いつもより更に可愛いわね、ふふ」
 微笑みながら撫でて、梅琳はかおるくんにプチケーキを差し出す。
「えっと、ぎゅっは?」
 にこにこ、かおるくんは梅琳の大きな胸を見ながら言う。
「してもいいけど、他の子からもせがまれちゃうかもよ? みんなにしてもいいのかなー?」
「それはだめっ、ぜったいだめ! よぉし、それじゃ、ケーキもらったら、みんなあそぶぞー!」
 かおるくんは、皆の分もケーキを受け取ると配りだす。
「……ありがと」
 舐め終えたぺろぺろキャンディーの棒を捨てて、ほくとくんも、ケーキを受け取った。
「あそぼー!」
「……」
 他の子はケーキを配っているかおるくんについていき、一緒に遊び始めるけれど、ほくとくんはみんなのところにはいかず、少し離れて皆が遊んでいる姿を見ていた。
 人見知りで皆の輪に入れない……のとは違って。
 ほくとくんは、ほくとくんらしく楽しんでいた。
 ケーキは美味しくて嬉しいし。
 皆が笑っているのを座ってみているのも楽しい。だからそれでいいのだ。
「そろそろはなせ! もういいだろー」
 らどぅくんが騒いでいる。
 ようちゃんがまた、らどぅくんの髪を弄り始めたのだ。
 らどぅくんは騒いではいるが、ようちゃんをさっきのように振りほどこうとはしない。
「リボンほどけちゃう。むすびなおしてあげるね」
 よるちゃんが、らどぅくんのピンクの髪を結んでいるリボンをきっと結び直してあげる。
「はい、ようちゃん」
 そして、よるちゃんがかおるくんからもらったケーキをようちゃんに差し出すと、ぱああっとようちゃんは顔を輝かせて、ケーキを受け取った。
 自分から主張はしなかったけれど、ようちゃんはケーキが大好きなのだ。
「ふん」
 ようやく解放されたらどぅくんが、自分の頭を撫でる。
「よし、それではおかしをくれないおとなにいたずらを」
 ぶるーずくんは、バスケットの中から、パートナーが持たせてくれたビッグバンスーツやパチパチキャンディーを取り出した。
 きょろきょろあたりを見回してターゲットを探していたところ。
「うっ!?」
 自分のマントを踏んづけて、転んでしまった。
「ぶるーずだいじょうぶ?」
 よるちゃんが手を差し伸べて、ぶるーずくんを起こしてあげようとする。
「だ、だいじょうぶだ。いたくない。なんともない! なんともない……っ」
 言いながら立ち上がったぶるーずくんだが、目からぽろぽろ涙が落ちていた。
「よしよし。ちょっとマントがながいんだね。しばってあげるよ」
 よるちゃんはぶるーずくんのマントをひきずらないようにむすびなおしてあげた。
 そして「かんせい」といいながら、ぶるーずくんの頭を撫でる。
「うむ、これでこころおきなくいたずらができるな。てをはなすなよ」
 ぶるーずくんは、ヨルちゃんが迷子にならないようにとヨルちゃんとまた手を繋ぐが。
 面倒を見てもらっているのは、むしろぶるーずくんの方だったかもしれない。
「ラドゥも一緒に行こう、ね!」
 よるちゃんはもう片方の手をらどぅくんに差し出す。
「まあ、いいだろう。かしにきょうみはないが、くれるっていうのならもらいにいってもいい」
 そうして、ちょっと危ないお菓子や、悪戯道具を持って、いたずらできそうな大人を探して、楽しく遊ぶのだった。

「アレナ、まだふくきてないの?」
 黒猫の服を纏った5歳のつくよちゃん(漆髪 月夜(うるしがみ・つくよ))が衣裳部屋に戻ってきた。
 もうすぐパーティが始まるのに、衣裳部屋には、あれなちゃんとお友達が残っていた。
「アレナがえらんでくれたふくきて、にゃ〜♪ にゃ〜♪ っておかしもらってきたんだよ」
 つくよちゃんはもらってきたお菓子を、取り出して見せた。
「アレナもきがえてもらいにいこ!」
「ひらひらのふく、だめみたいなんだよなー」
 やすゆきくんは、どんなふくならあれなちゃん着てくれるのだろうと悩んでいた。
「みんな、あそんできてください。ここからみてるから」
 あれなちゃんがそう言うと、つくよちゃんは口をちょっと尖がらせた。
「アレナはふくきるのいや? わたしはアレナがふくきないのいやなの! いっしょにきるの!」
「えっと……えっと……」
 あれなちゃんはもじもじしている。
 どうしても嫌というわけではないらしい。
「じゃあ、わたしがきがえさせてがえる!」
「あっ」
 つくよちゃんが強引にあれなちゃんを引っ張った。
「アレナはしろねこさんがにあうとおもうの」
「あ、それいいな!」
 つくよちゃんが言うと、やすゆきくんが白猫の衣装を持ってきてくれた。
「……かわいい、です」
 白猫の衣装を見て、あれなちゃんはほんわりと笑みを見せました。
「それじゃ、きせちゃおう!」
「そうだね、かわいくへんしんだよ♪」
 ずっとあれなちゃんの傍にいた、あおいちゃんも手伝って。
 あれなちゃんに、白猫の衣装を着せた。
「にゃ〜♪」
 つくよちゃんがあれなちゃんに可愛らしくそう言うと。
「にゃー……ふふ」
 あれなちゃんも猫の鳴きまねをして、恥ずかしげな笑みを浮かべた。
 そんなあれなちゃんの髪に、ゆぅちゃんが手を伸ばす。
「かわいい」
 にっこり微笑んで、ゆぅちゃんは、あれなちゃんの髪にピンクのお花を挿した。
「あそぼ」
 それからあれなちゃんの手を取って歩き出す。
「それじゃ、いこう♪」
 あおいちゃんは片手であれなちゃんの背を押して、もう一方の手で、なーちゃんの手を掴んで「いっしょにいこ〜」と微笑みかける。
「はいです」
 なーちゃんはあおいちゃんの腕にぎゅっと掴まってきた。

 外に出るとこうちゃんが、子供達に囲まれてるファビオ・ヴィベルディ(ふぁびお・う゛ぃべるでぃ)を見ていた。
「しんちょうがちがいすぎますね……」
 ぼそっと言って、お姫様姿のこうちゃんは恥ずかしそうに赤くなっている。
 王子さまっぽい人と踊ってみたい……と思っていたけれど、自分からは言いだせずにいた。
「おっ、あれなやっときたか! かわいいかっこうじゃないか、ふたりともー。よぉし、あそぼーぜ!」
 クマの着ぐるみを着た5歳のぜすたくん(ゼスタ・レイラン(ぜすた・れいらん)が近づいてきて、つくよちゃんとあれなちゃんの頭を撫でた。
「……ん?」
 ぜすたくんは背後に気配を感じて振り向いた。
「……くまさん」
 ゆぅちゃんが着ぐるみのクマの尻尾を掴んでいる。
「もりのくまさん……」
 そして、こうちゃんも、ぜすたくんをじっと見詰めている。
「もりのくまさんは、おどるんですよね」
 そして、もじもじこうちゃんはそう尋ねた。
「ん? そうなのか。こんなふうに?」
 ぜすたくんは、赤くなっているこうちゃんの手をとって、くるくるっと回して一緒に踊る。
「くまさんと、おひめさま」
「かわいいです」
 あれなちゃんとなーちゃんは皆と手を繋いだまま、にこにこ踊る2人を見ている。
「くまさん、ねこさん……っ」
 ゆぅちゃんはデジカメを取り出すと、シャッターボタンを押した。
「おしゃしん……」
 でもデジカメはゆぅちゃんには大きすぎて、使い方もよくわからなくて、上手く録れなかった。
「おてつだい、します。ゆぅちゃんのおようふく、ふわっとしてきれい」
 あれなちゃんが手を伸ばして、ゆぅちゃんと一緒にデジカメを、こうちゃん、ぜすたくんに向けて、シャッターボタンを押した。
 クマさんと、ゆぅちゃんが選んだドレスで踊るこうちゃんの可愛い姿が、綺麗に写真に収めらていく。
「みんなの分、おかしもらってきたの!」
 その間に、つくよちゃんがお菓子を貰ってきてくれた。
「……アレナ、おとなしいけどなにかあったの?」
 お菓子を配って、食べながらつくよちゃんはあれなちゃんに尋ねてみた。
「なにもないです。みてるのがすき、なんです」
「んー、もしかしてはずかりがりやさん?」
 あおいちゃんがあれなちゃんの顔を覗き込むと、あれなちゃんはちょっと赤くなった。
「じゃぁ、もうへいきだね。まほーしょうじょのあおいちゃんにおまかちぇ……おまかせなの!」
 そして、あおいちゃんはあれなちゃんの手を引っ張った。
「だいじょうぶなまほーかけてあげる♪」
 カボチャが先についたステッキをひゅんひゅんっと振って、あおいちゃんはあれなちゃんに魔法をかけた。
「よぉし、たのしもうぜ、あれな! おれは、た……たたきあげ仮面のうた、うたうぞ! とおっ!」
 やすゆきくんは、あれなちゃんに満面の笑みを見せた後、ジャンプをしてみせる。
 それから、皆一緒に、踊るぜすたくんたちの方へと走って。
 一緒に歌ったり、踊ったりするのだった。