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秋のシャンバラ文化祭

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屋台再び

 
 
「なんだ、今の音は!?」
 爆発音を聞きつけて、皇彼方や紫月唯斗たちが、あわててコミュニティフェスティバル会場へと駆けつけてきました。
「大丈夫じゃ、ただの自爆じゃ」
「なんだ、自爆でしたか……って、人騒がせだろうが!」
 事実をありのままに述べられて、皇彼方が会場で爆発物の取り扱いは云々とアレーティア・クレイスと笠置生駒相手にくどくどとお説教を始めました。
 
    ★    ★    ★
 
「なんだか、爆発音が?」
 たこ焼き屋の屋台でたこ焼きを買っていた御神楽 陽太(みかぐら・ようた)が、御神楽 環菜(みかぐら・かんな)を振り返って言いました。
 さあと、御神楽環菜が肩をすくめました。パラミタではよくあることです。
「気のせいであろう」
 葛城吹雪のパートナーであるセイレム・ホーネットとイングラハム・カニンガムが、商売には関係ないさとうなずきあいます。
「親父、たこ焼き一つくれんかのう」
 そこへ、笠置生駒のパートナーのジョージ・ピテクス(じょーじ・ぴてくす)が、たこ焼きを買いに来ました。見た目は、完全にチンパンジーです。
「私は、親父じゃないもん」
「我は、マスコットなのだよ」
 セイレム・ホーネットとイングラハム・カニンガムが、親父扱いされてちょっとむくれて言い返します。
「そんなことはいいから、早くたこ焼きをくれんかのう。腹が減っておるのだ。それとも、それを躍り食いかな?」
 お腹の空いているジョージ・ピテクスが、イングラハム・カニンガムをじっと見つめて言いました。
 ちょっと、勘違いから、三人がもめます。
「そこ、何をもめているんですか」
 騒ぎを聞きつけて、紫月唯斗とリーズ・クオルヴェルが駆けつけてきました。
「唯斗、動物園から、チンパンジーが脱走しているわよ」
「何を言う、ワシは人間じゃ!」
 チンパンジー扱いされて、ジョージ・ピテクスが怒ってリーズ・クオルヴェルに言い返しました。
「火星から、タコも脱走してるよ」
「何を言う!」
「すいません、すぐに隠すんだもん」
 やはり怪しすぎたかと、セイレム・ホーネットが、怒っているイングラハム・カニンガムに紙袋を被せて隠そうとしました。
「おお、さっそくつつんでくれたのか。では」
「何をする!」
 ジョージ・ピテクスが、イングラハム・カニンガムを食べるためにお持ち帰りしようとします。
「ああー、もう、わけがわからん。話は、警備本部で聞く。引っ立てなさい!」
「はい。デートを邪魔した罪で逮捕です」
 紫月唯斗に言われて、リーズ・クオルヴェルがジョージ・ピテクスとイングラハム・カニンガムに投げネットを被せました。そのまま文句を言う二人を引きずっていきました。
 
    ★    ★    ★
 
「いったい何の騒ぎなの?」
 出張カフェ・ディオニウスでコーヒーゼリーを食べていた小鳥遊美羽が、遠くから聞こえてくる爆発音や叫び声に、何ごとかと身を乗り出しました。思わず、マイクロミニスカートから覗いた太腿が、肌色の面積を増やします。
「おお、そこの可愛いお嬢さん。よろしかったら、一緒にお茶でもどうですか?」
 小鳥遊美羽の太腿に見とれてしまった柚木桂輔が声をかけてきました。ナンパです。
「もう、お茶しているから結構です」
「なんと準備がいい。じゃあ、一緒に……」
 やんわりと断る小鳥遊美羽に、柚木桂輔が強引に同席しようとしてきました。
「ひゅー、ひゅー、にぃちゃん、ナンパ、頑張りぃなぁ」
 横の方のテーブルに突っ伏していた酔っ払いのシーニー・ポータートルが、口笛をならそうとして息を吹き出しながら二人を冷やかしました。
「ナンパじゃないぜ、これは、女性に対するごく普通の挨拶なんだぜ」
 ちょっとごまかすように柚木桂輔が言いました。
「挨拶ですか。じゃ、私たちにもさせてください。こんにちは!!」
「はうあっ!?」
 柚木桂輔が、いきなり小さな女の子から頭突きを食らって転倒しました。メイちゃんです。
「私も、こんにちは!」
「えっ、あたたっ……」
 苦笑しかけた小鳥遊美羽も、同じようにランちゃんの頭突きを食らってひっくり返りました。
「あはは……、はうっ!」
 笑いかけたシーニー・ポータートルも、コンちゃんにノックアウトされます。
「こらこら、なんだ、この乱闘騒ぎは!?」
 アレーティア・クレイスたちへの説教を終えてきた皇彼方たちが、そこへ駆けつけてきました。
「ちょうどよかった。この人酔っ払いみたいなんで、回収していただけませんか?」
 迷惑していたトレーネ・ディオニウスが、シーニー・ポータートルを指して言いました。
「分かりました。よいしょっと」
 皇彼方が、酔いつぶれたシーニー・ポータートルをひょいと担いで回収していきます。
 逸早く回復した小鳥遊美羽は、柚木桂輔がまだのびている間に、さっさと移動していきました。
「すいませーん。コーヒー四つ、持ち帰りで」
 たこ焼き屋から逃げるようにしてこちらへやってきた御神楽陽太たちが、シーニー・ポータートルが運ばれるのをちょっと引きつりながら見送ってから、パフューム・ディオニウスに言いました。
「はーい、ただいまお作りします。コーヒー四つ、注文です」
 パフューム・ディオニウスが、トレーネ・ディオニウスに告げました。
「やあ、こんな所にいましたか」
 そこへ、大神御嶽と天城紗理華たちが周囲を一周して戻ってきました。メイちゃんたちを見つけて、ほっと安堵の息をつきます。
「勝手に歩き回っちゃダメですよ。それから、いきなり挨拶をするのもダメです」
「はあーい」
 大神御嶽たちに言われて、メイちゃんたちがお行儀よく返事をしました。