リアクション
ゴール 『各選手、ほとんど横並びです。 ローゼンクライネ、その華麗な走りで駆け抜けるか。 そとれも、猫まっしぐら、クトゥグァ・イタクァが逆転優勝か。 他の追従は許さない。むしろ、他のペットは食べる勢いのミニキメラがこのレースを制するのか。 三者、ほとんど差がありません。 さあ、ゴールは目の前です。 おおっと、ローゼンクライネ、スカートをたくし上げてラストスパート! わずかに抜け出したか。 ゴール! ほとんど胸の差で、ローゼンクライネ優勝です。 続いて、クトゥグァ・イタクァとミニキメラが、同時にラインを割ります。両者、堂々の二位です。 さあ、やや遅れて、前回の覇者、フォルテシモが堂々とゴールします。 それでは、優勝したコハク・ソーロッドさんにインタビューを……。えっ、ローゼンクライネさんの最後の走りの生足を見て倒れている? ええっと、では、二位の方々にお聞きしましょう』 「いやあ、よくやった、よくやった」 「頑張ったよね」 『クトゥグァちゃんとイタクァちゃんですが、飼い主のフォン・ユンツト著『無銘祭祀書』さんと秋月葵さんにもふもふにされています。 では、ローグ・キャストさん、御自慢のペットの走りはいかがだったでしょうか』 『出来る子だと思っていました』 『はい。堂々の2位です。 では、続いて、4位のエリシア・ボックさんに……、あれ、エリシアさん?』 「ほら、おねえちゃん、呼んでるよ」 ノーン・クリスタリアが、ちょっとふてくされているようなエリシア・ボックをつつきました。 『えっ、何かありまして? まあ、その……。仕方ありませんわね。初心に戻って、一から出直しですわ』 『今後にむけての、エリシア・ボックさんの力強いお言葉でした。 おおっと、今、小ババ様がゴールしたようです。さっそく見に行ってみましょう。 お疲れ様でした、小ババ様。レースはいかがでしたか?』 『こっ、こ、こばー。こばー、こばばばば。こばば、こば、こばー』 『ええっと、楽しまれたようです。 さて、残るははんぺんだけですが……。 おおっと、いました。今、ゆっくりとヴァルベリト・オブシディアンさんに近づいていきます。感動の再会です』 「よくやったぞ、はんぺん。まだ半分も走れてないが、頑張れ。さあ、オレがなでて力を分けてやる」 コース上に倒れたままのヴァルベリト・オブシディアンが、愛犬のはんぺんに手をさしのべました。 ぷいっ。 『おおっと、はんぺん、飼い主を無視です。飼い主よりも、レースを取りました。よちよちした足取りながら、淡々とゴールを目指します』 「は、はんぺ〜ん」 悲痛なヴァルベリト・オブシディアンの叫び声が夕日をバックに響き渡りましたが、はんぺんは振り返りませんでした。 その後も、マイペースではんぺんが走り続けます。 『はんぺん、今ゴール。残念ながら規定時間をわずかにオーバーしてしまいましたが、無事ゴールまで辿り着くことが出来ました』 「ああん、もう、なんでみんなこの山積みのパンプキンパイを無視できるのですか。まったくもうですわ」 全部のペットに無視されて、いったい何がいけなかったんだろうと、イコナ・ユア・クックブックが後ろを振り返りました。 「えっ。もぐもぐもぐ……」 「何をしているのですかあ!!」 レガートと一緒にもぐもぐとパンプキンパイを頬ばっているティー・ティーを見て、イコナ・ユア・クックブックが叫びました。周囲には、あれだけたくさんあったパンプキンパイが食い散らかされて、食べかすが飛び散っています。ティー・ティーとレガートも、口の周りがパイ屑だらけです。 「まったく、鉄心からも、何か言ってやってほしいですわ……鉄心!?」 「んっ? どうした?」 口の周りにパイ屑をつけた源鉄心が振り返りました。 閉会 『様々なイベントが行われた文化祭も、そろそろお開きです。観客の皆様は、お忘れ物なきようにお帰りください。なお、出展者の方々は、この後校庭で展示物のお焚き上げがありますので御参加ください。ただし、ペットのお焚き上げは禁止いたします。皆様、お疲れ様でしたー』 担当マスターより▼担当マスター 篠崎砂美 ▼マスターコメント
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