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秋のシャンバラ文化祭

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秋のシャンバラ文化祭

リアクション

 

第5ターン

 
 
『さあ、そろそろレースも中盤を超えつつあります。
 トップを走るローゼンクライネ、コハク・ソーロッドさんの無事を感じとったのか、再び走りだしました。
 だが、その後にミニキメラが迫ります。じょじょに差は詰まってきているか。
 その後ろは、なんと小ババ様だ。ここに来て、地味な強さを見せ始めています小ババ様。
 フォルテシモ、やや遅れたか。
 クトゥグァ・イタクァ、やや息切れしたか、ちょっとペースダウンです。
 その後ろに、はんぺんがマイペースで進んで行きます。おおっと、はんぺん、転んだ。大丈夫か?』
「おのれ、三味線が怖くないと見える……」
 またもやペースダウンしたクトゥグァ・イタクァに、フォン・ユンツト著『無銘祭祀書』が怖い顔をしました。
「だから、そういうこと言っちゃダメなの」
 秋月葵が、フォン・ユンツト著『無銘祭祀書』をちょっと叱ります。
「はんぺーん、立ちあがってー。早くこっちへー」
 コース上に転がされているヴァルベリト・オブシディアンが、転んだはんぺんを見て、必死に呼びかけました。
 
 
第6ターン

 
 
『さあ、早くも、レースは終盤に近づいています。まさか、こんな波乱の展開が待ち受けているとは、誰が思ったでしょうか。
 ミニキメラ、ついに、ついにトップに立ちました。またもやペースダウンしたローゼンクライネをぶっちぎって、単独のトップです。
 ローゼンクライネ、どうしたのか。何か気になる物でもあるのか!?』
「よし、やっぱりお前は出来る子だと思っていたぞ。このまま優勝だ!」
 ローグ・キャストが、一気に盛りあがります。
『その後ろは……。なんと、クトゥグァ・イタクァ、奇跡の復活です。もの凄いスピードで、一気に追い上げてきました。フォルテシモとならびます。同率3位です。やはり、三味線は嫌なのでしょうか。
 小ババ様は、小ババ様は? ああ、なんと、転けています!』
「よし、お前たちはやれば出来る子じゃ!」
「ついに、本気を出してきたんだね」
 フォン・ユンツト著『無銘祭祀書』と秋月葵も、応援に熱が入ります。
「フォルテシモ、頑張っているなあ」
「うんうん」
「何を言うか。覇者がこんな位置でどうする。行けー、追い抜けー!」
 落ち着いて感心する御神楽陽太とノーン・クリスタリアをよそに、エリシア・ボックが声を限りに叫びました。
『小ババ様がなんとか立ちあがる後ろで、はんぺんもやっと立ちあがって走りだしました』
「はんぺん、頑張ってー」
 南天葛が、観客席からはんぺんを励まします。
「ああ、もうやだ。あの犬、とろくてかわいー」
 なんだか、仁科姫月は、はんぺんの頼りない姿にキュンキュンしてしまったようです。
「まあ、ゲルバッキーに関係してるなら、どっか抜けてるんだろ」
 淡々と成田樹彦が言いました。やはり、しょせんは子犬です。
 
 
第7ターン

 
 
『おおっと、ここで各選手ラストスパート。
 凄い、なんと、ローゼンクライネ、トップに返り咲きました。わずかに、ミニキメラの先を進みます。
 それを追うのはフォルテシモ、ほとんど変わらぬ位置で、クトゥグァ・イタクァがそれを追います。
 泥だらけになりながらも立ちあがった小ババ様、やや遅れてはいるものの、果敢に追い上げてきました。
 はんぺんは……マイペースです』
「なんだとー、抜き返せー」
「ようし、よくやった。ボクは大丈夫だから、心配しないで走れー!」
「三味線が嫌だったら、走り抜け!」
「クトゥグァたち凄いよー」
「もしかして、フォルテシモ、いける?」
「うん、そうだね。頑張れー」
「そこじゃ、そこでトップに躍り出るのじゃ!」
「はんぺん、早くここまで来てくれー」
『観客席も、騒然となってまいりました。果たして、レースの行方はどうなるのでしょう』