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本日、春のヒラニプラにて、

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本日、春のヒラニプラにて、

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VIIII 後日
 
 
 その日は非番だったので、イルミンスールへ帰るハルカと光臣翔一朗に、空京への寄り道を誘った。
 オリヴィエ博士への面会だ。
 面会の予約は午後に取ったので、午前中は、観光することもなく、ホテルの一室でのんびり過ごすことにする。
 時間はたっぷりあるからと、樹月 刀真(きづき・とうま)は武器の手入れをすることにし、丁寧に白の剣を磨き、ワイヤークローを分解手入れした。
 背後から、パートナーの剣の花嫁、漆髪 月夜(うるしがみ・つくよ)とハルカの楽しそうな声がする。

「ハルカ、攻撃魔法が使えないんだって?」
「難しいのです」
 月夜の言葉にハルカは頷く。
「でも使えないんなら、無理にやる必要はないよ?
 ハルカの魔法でハルカが守りたい人をしっかり守れるようにしないとね」
 はい、とハルカは頷く。
「はかせも、間違えなければそれでいいそうなのです」
「オリヴィエ博士? 何て?」
「攻撃魔法が使えないから人を殺さなくても済むわけじゃないって、間違えなければいいよ、って」
 例えば誰かと共に冒険に行った時、仲間が敵を屠ったならば、それはその人を剣として、君が敵を屠ったことなのだと、それを忘れなければ、あとは自分のできることを伸ばして行けばいいと思うよ、と、そう言ったのだという。
「……難しいのです。でも、頑張るのです」
「……うん。そうだね」
 月夜は頷く。
「他には? どんな勉強してるの?」
 教材を見せて欲しいと思ったが、旅行先なので持ってきていないという。

「そろそろ休憩したらどうだ?」
 武器の手入れも終わって、刀真がおやつのアイスとコーヒーを用意しながら声をかけた。
「ハルカ達は何を飲む?」
「わあ、刀真ありがとう」
 月夜はバニラのアイスを手に取る。
 一口食べて、「うん、美味しい」とにっこり笑った。
「ハルカにもあげるね。はい」
 スプーンに掬ったアイスを差し出す。
「美味しいのです」
 ぱくりと食べて、ハルカも笑った。
「ハルカのアイスはストロベリー? 私にも頂戴」
 あーんとあけた口に、どうぞなのです、とハルカがアイスを差し出す。
 月夜はそういうの好きだよな、と、それを眺めながら刀真は思った。
 気安い相手には、甘えるように食べさせあう。
 ぼんやり見ている刀真に気付いたのか、ハルカが刀真を見ている。
 くり、と月夜を見て、くり、ともう一度刀真を見た。
「何だ?」
「とーまさんにはあげないのです?」
「刀真、あーん?」
 言われて、月夜もくすくす笑いながらスプーンを向ける。
 人前では流石に恥ずかしいだろうと解っていて、すぐに月夜はそれを自分で食べた。
 そう、時々やらされる。
 本人嬉しそうだし構わないのだが。いや、結構恥ずかしいのだが。

「もう少ししたら、ホテルを出よう。
 どこかで昼食を食べてから、博士のところに行こうか」
 差し入れのお菓子を準備しながら、刀真は言った。
 

担当マスターより

▼担当マスター

九道雷

▼マスターコメント

 
当シナリオにご参加ありがとうございます。

そしてゲームに参加してくださった皆様もありがとうございました。
ゲーム判定はものすごく楽しかったのですが、人数が少なかったこともあり、戦闘自体はあまりなくて残念でした。
演習以外のシーンで沢山描写を使ってしまったので、演習があまり描写できなかったことも反省です。

ですが、全体的にとても楽しく書けました。
演習のダイジェストをマスターページの方に載せますので、よろしかったらご確認ください。

PCの色々な面を見せてくださり、
また各NPCに関わってくださり、
ヒラニプラでの楽しい一日をありがとうございました。