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【4周年SP】初夏の一日

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【4周年SP】初夏の一日

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15.デスティニーCのパレード

ザカコ・グーメル(ざかこ・ぐーめる)は、
アーデルハイト・ワルプルギス(あーでるはいと・わるぷるぎす)を誘い、
テーマパーク・デスティニーCへとやってきた。

「パラミタのディスティニーランドには遊びに行ったことがありますが、
ディスティニーCは初めてです。
何でも少し前に再建だか何だかで
色々とリニューアルされているみたいですし、楽しみですね」
「そうじゃのう、私も、せっかくじゃし、
童心に帰ってみるとしようかの」
ザカコの笑みに、アーデルハイトも微笑を返す。

「どれから乗りますか、アーデルさん。
遊園地を一望できる観覧車に、
変わり種のジェットコースターもいろいろあります。
お化け屋敷や、
涅槃イルカに乗るのも楽しそうですね」
「そうじゃな。
せっかくじゃし、初夏ならではということで、
ウォータースライダーなんてどうじゃ?」
「本当だ、涼しそうですね。
でも、びしょぬれになってしまうかもしれませんが……。
アーデルさんの格好なら、水着に近いから大丈夫でしょうか」
「よし、さっそく行くぞ!」
「わ、待ってくださいよ、アーデルさん」
ザカコの手を取って、アーデルハイトが走り出す。
本当に、童心に帰っているようだった。
そんなアーデルハイトのことが、ザカコはとても微笑ましく感じられる。

「うわあああああああああああああ」
「わはははははははははっ!」
ザカコとアーデルハイトの、歓声とともに、ウォータースライダーは着水する。

激しい水しぶきを浴びて、全身、びしょ濡れになった2人だが、
アーデルハイトは笑顔だった。
「ふふふ、なかなか楽しかったのう」
「そうですね、アーデルさん」
ザカコも、笑顔で、アーデルハイトに向き直る。

「夏場ですし、少し濡れるくらいが涼しくて丁度いいですね」
そう言いつつ、ザカコは、タオルを用意する。
「アーデルさんの格好は濡れるとちょっと刺激が強いですけど」
顔を赤らめつつ言うザカコに、アーデルハイトも、頬を紅潮させる。
「な、何を言っておるのじゃ」
「ふふ、早く乾かしましょう。
夏場とはいえ、風邪を引かないようにしないといけませんからね」
ザカコにタオルを渡され、アーデルハイトは、
濡れた服を隠すように、ごしごしと拭いた。

「ふふん。
しかし、私もまだまだ捨てた物ではないじゃろ?
よし、今度は涅槃イルカに乗ろう!」
「あ、待ってくださいアーデルさん」

また、すぐに濡れてしまう乗り物を選ぶ、アーデルハイトだったが、
楽しそうなアーデルハイトを見て、ザカコもうれしく思う。

そして、
デスティニーCの楽しい1日は、あっというまに過ぎて、
夜になった。

「アーデルさん、そろそろパレードが始まりますね、少し早めに行って最前列で楽しみましょう」
「うむ、私も楽しみにしておったのじゃ。早く行こう!」

デスティニーCの名物である、
豪華なパレードが、ネオンと音楽とともに現れる。
「少し前には荒野だったこのニルヴァーナで
これだけのパレードが楽しめるなんて、凄いですよね」
「そうじゃのう。皆ががんばったから、
こうして、私達も今日、楽しい想いができたのじゃな」
「ええ。何もない場所からこうして
夢や希望を与える事が出来るようになるなんて、素晴らしい事だと思います」
「まったく、そのとおりじゃな……」
ザカコの言葉にうなずき、アーデルハイトは、パレードの光を見つめていた。

そっと、隣にいるアーデルハイトの手を取って、ザカコがつぶやく。
「アーデルさんの笑顔はパレードよりも眩しいですよ」
アーデルハイトは、満足げにうなずいた。
「今日は本当に楽しかった。
それはお前のおかげじゃ。
これからもよろしくな」
「ええ、アーデルさん」

こうして、笑顔を交わし、
手をつないだまま、2人はパレードを見つめるのだった。