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【特別シナリオ】全学最強決定戦!

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■予選 薔薇の学舎 2

リアのパートナーである、レムテネル・オービス(れむてねる・おーびす)は、
ルドルフにお茶を淹れる。
ルドルフの警護や、選手の治療も担当していた。
「どう思われますか?」
「皆、腕をあげているね。
契約者同士の戦いでは、力押しだけではどうしようもない時もある。
そして、多人数では、何がどうなるかわからないよ」
ルドルフの言葉からは、感嘆と称賛の響きが感じられた。

ルドルフの発言の直後、
クリストファーの攻撃が、リアの盾によって受け流され、
その衝撃により、クリストファーはリングアウトする。

直後、北都の弓での攻撃が飛んでくる。

体制を整えようとするリアだが、
北都の攻撃により、足元が次々矢で射ぬかれる。

リアは、宮殿用飛行翼で、空中へと脱し、
北都との間合いを詰めようとするが。

「これで終わらせてもらうよ」
北都の、狩猟のたしなみで狙いをつけられた矢による攻撃が、
リアの飛行翼を射ぬく。
翼を破壊され、リアは失速して、競技場外に不時着したのであった。

他方、黒崎 天音(くろさき・あまね)は、
気配を消し、北都のすぐ近くへと回り込んでいた。

軽業の靴で踊るようなステップを踏み、
ブラインドナイブスで攻撃を仕掛ける。
「さぁ、僕と踊ってくれるかい?」

弓の間合いを詰められたら、百獣拳での反撃をするつもりだったが、
北都は天音の攻撃を避けきれず、
真っ赤な血しぶきが上がっていく。
まるで、薔薇の花が咲いたかのように、
闘技場の白い大理石の床が紅く染まっていった。

ダンスのステップのように、
北都は後退を余儀なくされ、そのまま闘技場の外に足を出してしまう。

倒されたものの、北都は、天音が相手なので、納得した様子であった。
手を貸して助け起こす天音に、北都が告げる。
「決勝、頑張ってね」
「ありがとう」
天音は、笑顔でうなずいたのであった。



「おっしゃるとおり、何があるかわからない戦いでしたね」
レムテネルは、ルドルフにうなずき、
怪我人の救護へと向かった。

一方、天音のパートナーである、ブルーズ・アッシュワース(ぶるーず・あっしゅわーす)は。

「これだけ大々的な大会なのに、ちょっと賞品が寂しいよね」

試合開始前に聞いていた、パートナーの言葉にため息をつきつつも、
ルドルフの元へと交渉に向かっていた。

「ルドルフ校長。我としても、何も目に見える評価が全てだとは思わないが、
ヴァイシャリー家の令嬢も褒美を考えているようであるし、
ここは校長も出場者を喜ばせてはどうだろうか?」
ルドルフは、ラズィーヤのお茶目な発言の件に触れられ、ふっと笑みを浮かべた。
「その件については、連絡を受けているよ。
馬場校長が旗を作るというのを聞いて、僕も、同様のことをしたいと考えた。
さすがに、旗を全部作るわけにはいかなかったけれど、
薔薇の学舎の校旗に刺繍を入れさせてもらったよ」

薔薇の学舎の旗の、端の部分には、紅薔薇の刺繍をルドルフが自ら施していた。

「いつのまに……」
ブルーズは舌を巻く。

ルドルフは、旗を持ち、優勝者である天音へと向き合った。

「この旗を持って参加するということは、
薔薇の学舎の名誉をかけるということ。
もちろん、君には、あえて言うまでもなく、わかっていると思うけれど」
「ええ。この薔薇にかけて、戦いましょう」
天音は、ルドルフから、恭しく旗を受け取った。