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2024年ジューンブライド

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2024年ジューンブライド
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リアクション

「話がある」
 高円寺 海(こうえんじ・かい)杜守 柚(ともり・ゆず)を呼び出したのは、ジューンブライドの時期。
「……柚と一緒に過ごしてきて、これからもずっと一緒にいてほしいと思ってる」
「私も、同じ気持ちです」
 海は、潤んだ柚の瞳を見つめた。
「これからは、恋人としてじゃなくて……奥さんとしてオレと一緒にいてくれないか」
「えっ……?」
「だから、その……オレと結婚してほしい」
 そう言って海が差し出したのは、美しい装飾の施された婚約指輪だった。
「受け取って……くれるか?」
「もちろんです。……っ」
 ずっと、柚は結婚式に憧れていた。教会で、真っ白なウェディングドレスを着て、バージンロードを歩きたいと。
 柚も、海と結婚したいと思っていた。海の奥さんになれたらと、思っていた。
 だからこそ……今、このタイミングで海が同じ気持ちでいてくれたことが、本当に嬉しかった。
「……ありがとう」
 海は柚の指に、そっと婚約指輪を嵌めた。


 柚と海の結婚式は、見晴らしの良い丘の綺麗なチャペルで行われた。
 純白のウェディングドレスは本当に柚に似合っていて、そんな柚を大切そうに海は見つめる。
 緊張と幸せの入り交じった表情で、柚は海に腕を絡ませた。
「海さん、あなたはこの女性を健康な時も病の時も富める時も貧しい時も良い時も悪い時も愛し合い敬いなぐさめ助けて変わることなく愛することを誓いますか」
「はい、誓います」
 海の声に、柚の心臓が高鳴る。
「柚さん、あなたはこの男性を健康な時も病の時も富める時も貧しい時も良い時も悪い時も愛し合い敬いなぐさめ助けて変わることなく愛することを誓いますか」
 柚は神父の言葉を聞きながら、軽く深呼吸をした。
「はい、誓います」
 誓約を終え、柚と海は指輪を交換する。
 これで、海と結婚できたのだ。そう思うと、柚は本当に幸せだという気持ちを改めて感じる。
 式は、全て終わった。後は、二人で式場を後にするだけだ。
「わっ……」
 海が柚を軽くお姫様抱っこすると、そのままチャペルの外へと向かう。
 式場を出れば、ライスシャワーが柚と海を祝福するように降り注いだ。
(もう少しダイエットしておくんだった……)
 柚の恥ずかしそうな表情を見て、海は少し不思議そうに首を捻る。
「……背中、痛くないか?」
「ううん。……ありがとう」
 海は重さなど気にしていないようで、柚は少し安心するような、恥ずかしいような気持ちになった。
 けれど、やっぱり一番強いのは幸福な気持ちで。
 幸せを噛みしめながら、柚は満面の笑顔を海に向けた。