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リアクション
■ 午後の風景〜御神楽夫妻とハルカとエリシア〜 ■
その頃、エリシア・ボック(えりしあ・ぼっく)は、ハルカとの待ち合わせの場所でハラハラ心配していた。
「ハルカ……迷子になってやしませんかしら」
やはり迎えに行くべきだったか。
ハルカはパートナーのオリヴィエ博士の所へ行ってからこちらに来ると言っていたが、それに付き合ってもよかったかもしれない、とエリシアは心配する。
現在、エリシア達は本拠とするツァンダではなく、一時的に空京に居を構えている。
正しくは、エリシアにとっては、空京に仮住まいしている陽太、環菜夫妻につきあっている、という形ではあったが。
今日は、ハルカが陽太達の仮住まいに遊びに来ると約束していた日で、午前中は親子水入らずのバレンタインだが、午後は来客を迎えて陽菜を披露する、という予定なのだ。
ハルカと陽太は以前の冒険で知り合っているが、会うのは久しぶりである。
「ブルプルさん!」
ハルカの声に、エリシアは安堵と共に振り返る。
ヨシュアに伴われ、透明な袋でラッピングされた、大きなぬいぐるみを抱えたハルカが手を振っていた。
待ち合わせ場所でヨシュアからハルカを受け取り、空京での仮宿へと案内する。
訪れたハルカを、陽太と環菜は歓迎した。
近況を話し合ったり、雑談したりもしたが、勿論主役は、陽菜だ。
「こんにちは、ひなちゃん」
陽菜の小さな手に、人差し指を握らせる。
陽菜はきゃっきゃとはしゃぎながら、ハルカの指を振り回した。
「可愛いのです……!」
興奮気味なハルカに、「抱っこしてみます?」と、陽太が抱き上げて渡す。
「わぁ」
恐る恐るで抱きながら、ハルカは生後二週間の小さな赤ん坊を、感激の眼差しで見た。
「お茶を淹れましたわ。
お茶請けは、ハルカの手作りのガトーショコラですけれど、二人とも、食べられまして?」
二人は午前中にもチョコを食べたはずである。
「勿論、いただくわ」
環菜に続いて、陽太も、
「わざわざありがとう。嬉しいです。いただきます」
とハルカに礼を言う。
環菜に陽菜を返したハルカは、母親の手で陽菜がベビーベッドに寝かされる様子を、幸せそうに見つめていた。
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