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こどもたちのえんそく

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第5章 エピローグ

 神楽崎優子が地球の病院を退院する日には、ゼスタも迎えに地球に訪れた。
「おめでとう、優子チャン」
 病室でゼスタは薔薇の花束を優子に差し出した。
「大げさだな。そこまでめでたいことでもない」
「退院祝いじゃない。少し遅い、お前とアレナへの誕生日プレゼントだ。
 今年は地球の家族に祝ってもらえたか?」
「……いや、私自身も忘れてた。
 ありがとう、今年はまともなプレゼントをもらえて嬉しいよ」
 苦笑しながら、優子は薔薇の花束を受け取った。
「アレナ達は?」
「車椅子借りに行ってる。お前、歩けないだろ? 姫だっこで運んでほしいって言われても、お断りだ」
「そんなふうにキミに運ばれるくらいなら、鞘を杖代わりに歩く」
 言って、優子は自力でベッドから下りた。
 よろめく彼女を、ゼスタが支えようとするが、その手を振り払って優子はゆっくりと歩き出す。
 拳を握りしめ、力の入らない体を必死に動かして前に1歩1歩進んでいく。
 ゼスタは彼女の後姿を見ながら、ぽつりと言った。
「神楽崎おまえ……支えて、抱きしめてくれる人って、いるか?」
「は?」
 壁に手をつき、優子は振り向いた。
「というか、あのいけ好かない女――ラズィーヤ・ヴァイシャリーにはいなそうだよな」
「ラズィーヤさんには、彼女を溺愛している父親がいる。彼女自身は心の底から父に甘えてはいないのだろうが……。
 女王陛下や、民を支え、抱き締める立場の人だ。甘える場など、必要としてはいないだろう」
 優子はラズィーヤの事を思い、深く息をついた。
「何故そんなことを聞く?」
「いや別に。なんとなく俺の手を払って、ふらふら歩くお前を見てたら言いたくなっただけ」
「お前こそ、いないんじゃないのか? 抱きしめてくれる人」
 抱きしめ合う人でも、抱きしめる人でもなく、抱きしめてくれる人――。
 優子の言葉に軽く目を逸らした後、ゼスタは何処か遠くを見ながら言う。
「俺にはいる。……多分」

○     ○     ○


「この際、人間に変身する薬でもいいですわ! ないなら、作ってくださいですわ!」
 モモンガ娘のブリュンヒルデ(ペロ子)は、人間に戻る薬を求めて、リーア・エルレンの家に訪れていた。
「そういう薬の作成も面白そうだとは思うけど、あなたの姿を変えるのは無理ねー。
 いいじゃない、キスで元に戻るんだから」
「よくないですわー! 無理と決めつけないでつくるのですわ!」
「やる気もないから無理。ほら、見てごらんなさい」
 リーアは現像したての写真を、ペロ子に見せた。
「な、なんですの! この人目もはばからずい、いちゃついている人たちは」
「じゃれあってるだけよ〜。面白いでしょ、これこの間の遠足の写真なの」
「え?」
「魔法薬入りの現像液で現像すると〜。なんと! 真の姿が映し出されるのよ!!」
「え、ええ……っ!」
 驚きながら、ペロ子は自分が映っている写真を探す。
 そして見つけた!
 ……今と同じモモンガな自分を。
「あ、あああ、詐欺ですわ……」
「というわけで、あなたの人の姿を変えるのは、私の魔法薬では無理みたい」
 素っ気なく言って、リーアは兎化していた誰かさんの写真を摘まみあげた。
「ふふ、この写真、素晴らしい出来だわ〜♪」
 リーアは満足そうに、写真を眺めていき。
「ううううう……」
 ペロ子は意気消沈して倒れ込むのだった。

担当マスターより

▼担当マスター

川岸満里亜

▼マスターコメント

ご参加ありがとうございました!
子供、および動物の皆様のかわいらしい姿、想像しながら楽しく書かせていただきました!

お見舞いに来てくださった方、大切な人のお見舞いをされた方も、ありがとうございました。
楽しい日常へと続くと良いなと思っております。

貴重なアクション欄を割いての私信等、ありがとうございます。
余力がなくあまりお返事がかけず、大変申し訳ありません。
シナリオや、ボイスドラマの感想、とっても嬉しいです!

それではまた次のシナリオで皆様にお会いしたいです。