リアクション
○ ○ ○ ○ 一対一の戦いで四天王を打ち倒した分校設立班は、農家の人々を集めて再度交渉を行ない、前途多難であることを痛感していた。 河原の説得班はパラ実生達の引き込みに成功をしていた。無論、今後分校が気にいらなければすぐに離れていくと思うが。 喫茶店側については、致命傷であったパラ実生はなんとか一命を取り留めはしたが、パラ実生達との間に大きな溝が出来てしまっており、配下に下ろうとする者はいなかった。 また、喫茶店は大きな損傷が出てしまっており、農家の人々もいい顔はしなかった。 一向はやむなく、ミルミに携帯電話でパートナーの鈴子に連絡をとらせ、優子からの指示を仰ぐことにした。 「んーと、従わないパラ実生達には、きちんと事情を話したあと、開放するように、だって。喫茶店の方は内部で乱闘行為をした人が修理をするようにだって。その後もちゃんと謝罪をして無償で農家の方々を手伝えとのことだよ。勿論乱闘行為をした人が自分で責任をとれないのなら、分校に通う権利もないし、ミルミ達にとっては敵だからね」 交渉側の代表であったミルミの発言が横暴であったのも事実だが、喫茶店に被害を出すことを厭わないのなら、その後の対処や交渉も考えておかなければならなかっただろう。 例えば逆にミルミを扇動して、ルリマーレン家に喫茶店の修繕、もしくは分校に相応しいような建て直しの出資をさせてしまう等、小賢しく立ち回れる者はメンバーにいなかった。 農家の方々とはこれから良い関係を築いていこうということで、とりあえずは代表者となる分校の役員についての話し合いを行なう。 「お、お兄ちゃはぐっ」 真っ先に声を上げたのはパラ実のニニ・トゥーン(にに・とぅーん)。だけれど、鮪にその呼び方はよせと殴られる。 「鮪さんはああ見えて卑劣で下劣で下品ではうっ」 また殴られる。 「イリア分校の校舎オーナーだったりするはくあい主義者なんだよ」 と、殴られつつ、生徒会長に推していく。自分から立候補とは言わないが、本人もやる気はあるようだ。 「他の分校のオーナーという立場だと、問題を誘発してしまう可能性がありますしぃ。最初は様子を見てぇ、会議でも名前が出ているらしい、崩城分校長、羽高生徒会長でいいんじゃないですかぁ?」 「順当ですな」 「同意いたします」 キャラ・宋こと伽羅がそう提案をすると、ミヒャエル、アマーリエ、その他多くの者が頷いた。この2人の名前は多方面から上がっている。 「あたしみたいので本当にいいのかい?」 推薦された羽高 魅世瑠(はだか・みせる)は僅かに不安げだ。 「細けぇこというナ! 魅世瑠ならキットできる!」 ラズが魅世瑠の背をバシッと叩き、 「いーんじゃない? ……まあ体力のある野郎には不自由しなさそうだし」 アルダトはパラ実の男達を見回し、楽しそうな笑みを浮かべた。 「ただ、崩城分校長はこちらにいらしてませんのでぇ、ご本人の意思の確認が取れるまで限定で分校長臨時代理を務めても構いませんけどぉ……教導団本校にバレなければ」 最後の言葉は仲間内にしか聞こえない声でぼそりと言う。 伽羅の申し出は非常に助かる申し出であった。魅世瑠にしろ、ミルミにしろ。そして四天王を倒した人物にしろ、ここに集まったメンバー全てを纏め上げて指揮できはしない。パラ実生視点で言葉で纏めていく生徒会長、力で従わせる番長、そして頭脳で操る分校長の存在は現状必要不可欠だ。 「では、私も繋ぎとしての代理にキャラ・宋を推しましょう」 「お任せいたします」 ミヒャエルとアマーリエが賛意を示す。 しかし、本人も言っているように、教導団員の関与は非常に危険とも言える。 自分の立場は勿論、反感を持つパラ実生も多いだろう。 更に、分校を快く思わない人物に暴露される等、利用される可能性もある。 「分校ができたら、とりあえず焼肉パーティだな! てめぇら肉を鱈腹食おうぜ!」 状況が分かってるのか分かっていないのか、話の流れが分かってるのか分かってないのか、寧ろ気にもせず、竜司がパラ実生を前に声を上げる。 おおー! と細かいことは気にしない一部のパラ実生から歓声が上がった。 ○ ○ ○ ○ 「このまま百合園の女に屈していいのか、パラ実生が? 今、お前達の力を必要としている組織がある。そこで力を蓄え、奴らに復讐してやれ。ああ、もちろん、金も稼がせてやる。農家相手の窃盗よりもな」 キマクの廃墟にて、パラ実のサルヴァトーレ・リッジョ(さるう゛ぁとーれ・りっじょ)は、マルコが、導いたパラ実生達の籠絡を目論む。 「お前達のボスの件は残念だった。だが、彼がヴィトの助言に従っていればこんなにも苦労することはなかったろうにな」 逃走し、マルコの手引きによりこの場を訪れたパラ実生は3名。仲間の血飛沫を見た3名は神楽崎優子に強い恨みを抱いていた。 1人1人の肩に、サルヴァトーレは手を置いていき「お前の力が必要だ」「何時か奴等を倒すことができれば、仲間とも合流できるだろう」と言葉をかけていく。 「行こうか」 サルヴァトーレは最後に手を差し出して、1人1人と握手を交わす。 そして、闇の組織の元へと向かう――。 担当マスターより▼担当マスター 川岸満里亜 ▼マスターコメント
百合園女学院キャンペーン土台作りシナリオにご参加いただき、ありがとうございました。 |
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