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リアクション
第4章 「あいつら、わたくしより悪役っぽいじゃないの! 許せないわ!!」
■□■1■□■「キミもお嬢様の仲間入りをして、ボクの下僕になるしゃり!」
「し、死ぬかと思った……。
体勢を立て直すんだ!」
つぁんだが、まだ味方してくれているとても律儀な、
もしくは、つぁんだに相当あくどい感じで弱みを握られている地祇たちに向かって言う。
そこに、カレン・クレスティア(かれん・くれすてぃあ)と、
パートナーの機晶姫ジュレール・リーヴェンディ(じゅれーる・りーべんでぃ)が現れる。
「シャンバラ6大都市の長を名乗るのは、このボク、『ヴぁいしゃりぃ』と
こっちの『たしがん』を倒してからにするしゃり」
「まぁ、こうなるとは予想していたが。
さっさと我々に倒されるがん」
フリルひらひら純白ドレスのガチガチお嬢様ルックのカレンと、
男装の麗人の少年バージョン、
幼い少女の外見には全然似合わない白のタキシードを着て、
宝塚風に登場するジュレールであった。
「な、なんなんだ、君たちは?
ヴぁいしゃりーとたしがんって、
まさか、分霊なのか!?」
「そういえば、地祇も分霊があったしゃり。
でも、ボクは転生したのしゃり。
キミもお嬢様の仲間入りをして、ボクの下僕になるしゃり!」
カレンがつぁんだの顔面に白粉をぬりたくる。
「ぎゃあああ、やめるんだああああ」
「我がこのバカバカしい格好から解放されるためがん。
悪く思うながん」
ジュレールがつぁんだを羽交い絞めにする。
「いいかげんにするんだ!」
「ぎゃあああしゃり!」
「うわああああ……がん」
つぁんだの右ストレートで、律儀に語尾を守りつつ、カレンとジュレールはお星様になった。
「両方のトップを倒せば、争いはおさまるしゃり!
ざんすか、キミもお嬢様になるしゃり!」
「ヴぁいしゃりぃが聞かないので、さっさと倒されるがん」
「ユーたちはどうみてもカレンとジュレざんす!
『すかーる』に引き続いて、なんのつもりざんす!!」
ジュレールは、以前、ザンスカールの森の精「すかーる」を名乗ったことがあるのである。
「ぎゃああやっぱりラリアットされてしまったしゃり!」
「こうなることも予想していたがん……」
ざんすかによって、カレンとジュレールは再びお星様になった。
「つぁんだ、争いはやめるしゃり!」
「早く解放されたいのだ、おとなしくするがん」
「しつこいぞ!」
かくして、カレンとジュレールは、つぁんだとざんすか両陣営をいったりきたりした。
「あっ、彗星だよ!
名付けて『るる彗星』だよ!!
しかも、2つも!
やったあ、これで、るるも立派な天文学者として認められるよ!」
「……どう考えても何回もぶっ飛ばされてる人たちでしょ。
でも、スゴイなあ。よく体力続くなあ……」
立川 るる(たちかわ・るる)が「彗星発見」にはしゃぐも、
ラピス・ラズリ(らぴす・らずり)がツッコミを入れる。
一方そのころ、つぁんだ軍上空を、
和原 樹(なぎはら・いつき)と
パートナーの吸血鬼フォルクス・カーネリア(ふぉるくす・かーねりあ)、
同じくパートナーのアリスショコラッテ・ブラウニー(しょこらって・ぶらうにー)、
同じくパートナーの魔道書セーフェル・ラジエール(せーふぇる・らじえーる)が飛んでいた。
樹とショコラッテは、それぞれの小型飛空挺の間に巨大な鍋を吊るして運ぶ。
フォルクスとセーフェルは、火術で、鍋のチョコを温めていた。
(ざんすかさんが乱暴なのは確かだけど、
さすがに集団リンチで身体まで失わせたって聞くとなぁ。
要するに一度殺してるわけだろ?
んで、今もう一度殺そうとしてるわけだろ。
さすがに止めさせたいよな、そういうのは。
……で、ざんすかさんの味方しようと思ったんだけど……。
それじゃ結局今までと同じ状況な訳で、何も変わらない気がしてさー。
いっそ、じゃたさんが一人勝ちしちゃえばいいんじゃないか?
暴走した時の実力は確かだし、普段は争い事を嫌ってるから、
じゃたさんが地祇のトップに立てば変な争いもなくなる気がする。
うん、それでいこう)
樹はそんな思惑から、じゃた一人勝ちの構図を作ろうとしているのであった。
「さすがにずっと火術を使っているからな。
消耗が激しい。アリスキッスを使ってもらうぞ、樹」
「え、それはショコラちゃんが……」
「フォル兄には、樹兄さんがしてあげて」
フォルクスの申し出に、樹がためらうが、ショコラッテが言う。
「マスター、私にもアリスキッスをお願いします」
フォルクスと一緒に、空飛ぶ箒で飛びながら鍋を暖め続けているセーフェルも言う。
「……うん、わかった」
樹は、フォルクスには吸血鬼のように首に噛み付く感じでアリスキッスを使用するが、
セーフェルには普通に手の甲にキスする。
「別に、唇にしてくれてもいいのだぞ?」
「あんたはなんでいっつもそーいうこと言うんだっ!」
樹が赤面してフォルクスをグーで殴る。
「セーフェルには普通にしているのに、何故……」
(吸血っぽくすればいいと思って、わざわざ意識しないように工夫してるのにっ)
二人の気持ちは微妙にすれ違うのであった。
そのころ、樹の考えた作戦と似たことを実行しようとしている者たちがいた。
椎堂 紗月(しどう・さつき)と
パートナーの精霊ラスティ・フィリクス(らすてぃ・ふぃりくす)であった。
とはいえ、紗月はざんすかの味方をしようという意図であったのだが。
「じゃたがまだカカオ依存症なんだろ?
暴走したじゃたなら敵が多くてもなんとかなるんじゃね?」
「なぁ紗月、チョコ撒くのはいいがこれが何になるんだ?
チョコを撒く意味は特にないと思うのだが……」
「じゃたの嗅覚はすごいんだよ、きっと。
お、いたな。
ラスティ、もうチョコ撒いちゃっていいぜー。
あと、ツァンダ商人風の服の奴にはアレ射っちまってくれ」
「了解した。
つぁんだ、悪くは思わないでくれよ?」
紗月が、小型飛空挺の上からつぁんだ軍めがけてチョコを撒く。
ラスティは、チョコ付の矢を、つぁんだめがけて放つ。
「わー、チョコがふってきたー」
「ん? なんだ?
がふっ!?」
つぁんだ軍の地祇が、一口サイズのチョコに驚き、
つぁんだは、革の帽子をチョコ付きの矢で射抜かれる。
「じゃたーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!」
「ぎゃあああああああああああ!?」
つぁんだ軍は、じゃたに襲われた。
「あ、もうはじまっちゃってる。
みんな、チョコフォンデュになっちゃえばいいんだー!
って、わあああああああ!?」
「じゃたーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!」
樹たちの運ぶ鍋に、じゃたが飛びついてきた。
「さすが暴走じゃたさん。脅威の跳躍力……」
「お鍋をとられちゃった。
皆をチョコフォンデュにするのは無理ね」
樹が嘆息し、ショコラッテが言う。
「よっ、ざんすか! つぁんだたちにじゃたけしかけてきたぜ!
一人を大勢でリンチするような奴らなんて懲らしめて……ってあれ?
ざんすかいなくね? って……あ」
紗月は、小型飛空挺でざんすかを轢いて着地していた。
「またユーかざんす!!」
「ぐはあああああああ!?」
「ほう……なるほど、あんなのがいたのか。世の中には本当に愉快な奴が大勢いるのだな」
紗月がラリアットで「るる13号」になるのを見物しつつ、ラスティが関心したように言う。
「おのれ、ざんすか!
バレンタインに引き続いて、一度ならず二度までも!!」
「って、こないだとまったく同じシチュエーションざんす!?」
鬼崎 朔(きざき・さく)は、両陣営の仲裁にやってきていたのだが、
恋人の紗月がぶっ飛ばされたのを見て激昂する。
朔のパートナーの地祇エリヌース・ティーシポネー(えりぬーす・てぃーしぽねー)と、
同じくパートナーの魔道書アンドラス・アルス・ゴエティア(あんどらす・あるすごえてぃあ)が、煽り立てる。
「ざんすかは、きっと紗月に横恋慕しているのだよ。
だけど、素直になれなくて、ラリアットしていやがるのですよ。
おお、同じ地祇としてあたしは悲しいのだよ」
「くくく……。
今回ばかりはエリヌースの言うとおりなのだよ。
おそらく、ざんすかは、このままでは、紗月を力づくでものにしてしまうであろう」
普段は仲の悪いエリヌースとアンドラスであったが、
状況を面白がって火に油を注ぐ。
「なにいいいいいい!?
このままではざんすかが紗月に無理やりあんなことやこんなことを!?」
「そうそう、このままでは、
ざんすかが紗月にあんなことやこんなことをしてしまうのに違いないよ。にはは!」
「そのとおりだ、ざんすかが紗月にあんなことやこんなことをしてしまうであろう」
朔が顔を赤らめ、エリヌースとアンドラスが言う。
「どんなことざんす!? 何嘘八百並べてるざんすー!!」
「それ以前に今ぶっ飛ばしたことが許せん!!
……紗月の仇だ、灰塵となって消えろォ!」
朔は、妖刀村雨丸を振りかぶって、ざんすかに攻撃する。
「ぎゃああああああああ、何しやがるざんす!!」
「ツブす!!!」
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