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リアクション
【3】燃えよマナミン!……2
「ああもう、まったく馬鹿正直に正面から挑むから……!」
屍類類(死んでないけどネ!)転がる様に、茅野 菫(ちの・すみれ)は苦虫を噛み潰して唇を噛んだ。
どう考えても今のマリエルは強い。それはもう空京でも五本の指に入るんじゃねぇかってなぐらいに。
そんな化け物と真っ向勝負は愚の骨頂、ここは搦め手で攻めるのが吉と菫は考えていた。
「……と言うわけで、ラフレシアン師匠、お願いします」
菫に促され、五大人ラフレシアンが道場に入ってきた。
第一回で散髪&ひげ剃りを食らってしまったため、なんだか今の彼はただの大柄な人って感じ。
黒楼館の門弟達も一瞬誰なのか気付かなかったほどだ。
「……え、も、もしかしてラフレシアン様?」
「う、嘘だろ。あんな糞汚かっ……ああいや、ワイルドだったラフレシアン様が、小奇麗な人になってる!?」
「ど、どうしちまったんですか!」
「オデは見た目と一緒に変わっただ。こんなオデを必要としてくれる人もいる、だからもう悪さからは足を洗っただ」
門弟達は目を輝かせる彼を唖然として見ていた。
「……それはともかく、おめぇ。弟子になるとか言ってからちっとも顔出してねぇじゃねぇが」
「違うの。修行をサボったわけじゃないのよ。50だった所為なの、これが75だったら修行出来たはずなのよっ」
「……大人の事情って奴だべな」
「ま、それはともかく手伝って。少しの間でいいのマリエルが話を聞いてくれるような香りを薫気功でお願い」
「あ、曖昧すぎるべ、その注文!」
と言いつつも、しぶしぶラフレシアンはアロマでお馴染みサンダルウッド(白檀)の香りを放った。
果たしてその香りにどこまで効果があったのかは不明だが、マリエルは匂いでこちらに気付いた。
「マリエル、体重を量ってみましょ!」
「はぁ?」
菫の脈絡のない一言に、覇王も首を傾げる。
「思い出して、あなたはダイエット中だったはずよ」
「ああ、そんな設定も我にあったような……」
「覇王がやりかけた事を投げ出しちゃダメよ。修行したんだからきっと体重も減ってるはず、一度量ったほうがいいわ」
「む」
「体脂肪も測れる体重計を持って来たわ」
パビェーダ・フィヴラーリ(ぱびぇーだ・ふぃぶらーり)はそう言うと、床に体重計を置いた。
「貴様の言うことも一理ある。覇王がどれほど絞ったか見せてくれよう」
マリエルはふんすーと鼻息荒く体重計に乗った。
「……体重は○○kg、43kgから○○kgも増えてるわ」
パビェーダは言った。
そして、彼女のプライバシーに考慮して、体重は伏せた。
「なんだと?」
「でも見て、体脂肪率は減ってる。つまり修行し過ぎたのよ。贅肉が重い筋肉に変わったの」
とその瞬間、菫が目で合図を送った。
パビェーダはすかさずワイヤークローを放ち、マリエルを拘束すべく仕掛ける。
「体重にショックを受けてる今がチャンスよっ!」
ところが、ぱしっとマリエルはワイヤーを掴んだ。
「覇王が体重の増減に心を乱すと思ったか。このマリエルに必要なのは力だ、ダイエットなど覇王には不要だ」
「わわっ」
ワイヤーをぐっと引っぱり、パビェーダを菫に叩き付ける。
「きゃああっ!!」
「天も震える覇王の拳! ナラカの土産に持っていくがいい!!」
拳を振り上げたその時、朝野 未沙(あさの・みさ)の放ったロープが覇王の身体を捕らえた。
「そのまま縛り上げて!」
「ぬぅ!」
式神となったロープはぐるぐると巻き付き自由を奪う。
そこに間髪入れず、未沙はタックルをかまし、マリエルを床に押し倒した。
「覇王ひざを突いたら立場がなくなると言うのに……おのれ、よくも!」
「大人しくして、マリエルさん!」
「ふぬうううううっ!!」
全身に気合いを込めると、ロープがみちみちと悲鳴を上げた。幾ばくも余裕はない。
しかし、秘孔を突くためにはもっと弱らせなければ……。
とここで、未沙はおもむろに機晶回転盾こと機晶ローターを取り出した。
「!?」
「この威力、その身を持ってとくと感じなさい!」
ヴヴヴヴヴヴと鳴くローターをマリエルの胸に当てる。
「さぁどう、それ、ほらここは。どうなの。どんな感じなの」
「バ……バカな……、我が……、 このマリエルが震えて……(ローターの振動で」
「まだ満足出来な……じゃなくてピンピンしてるようね。ならもう容赦はしないわ、今度はお股を攻め立ててあげる」
「き……効かぬ……効かぬのだ!!」
だんだんと未沙の鼻息も荒くなってきた。
「こら、あんまり暴れると変なところに挿入っちゃうわよ!」
しかしむしろ挿入たそうである。
「ぬおおおおおおっ!!」
マリエルは気合いの叫びと共に、縛る荒縄をぶちぶち断ち切った。
次の瞬間、覇王の剛拳が未沙の顔面に叩き込まれる。
「ぶっ!?」
調子に乗り過ぎた報いだろうか、彼女はゴムマリの如く床をバウンドして吹っ飛んでいった。
しかし彼女の執拗な攻めが功を奏したのか、立ち上がったマリエルはガクガクと振動の余韻に震えていた。
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