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リアクション
「ふ、ふん。装置なんて、壊せば、どうにでもなるさね!」
「あら、そんなこと言って。本当はそのまま声が失われたらどうしよう、って思ってるんじゃないの?」
次に現れたのは蓮見 朱里(はすみ・しゅり)、傍らにはアイン・ブラウ(あいん・ぶらう)もいた。
「ななななななに言ってるんだい! そそそんなわけ、あるわけないわけあるよ!」
「わかりやすいのだな」
まったく隠し切れないホーティの態度に、思わず笑ってしまうアイン。
「こ、これは武者震いだよ!」
「へぇ、ピィチーちゃんを守るための?」
「なっ!?」
朱里の思わぬ発言に更に驚くホーティ。
「あなた、ずっとピィチーの側から離れないじゃない。それって、守ろうとしてるんじゃないの?」
「いや別にこれはそのなんだい? ただ、チャンス、そう! チャンスを窺ってるだけさ!」
「あらそう。でも、私が見た限りでは何度もチャンスはあったと思うけど」
朱里がどんどんホーティの内面を暴いていく。
「ワタシも、そう思います」
どんどんホーティの周りに人が集まってくる。
次に現れたのはレジーヌ・ベルナディス(れじーぬ・べるなでぃす)。美女コンテストの際、ホーティと踊った仲である。
「あ、あんたまで……!」
「一緒に踊って気付いたんです。ホーティさんは不器用で、素直じゃないだけだって」
「い、いやだから!」
「本当は、ピィチーさんをこの島に送り届けたかった、そうなのでは?」
「ぐ、ぐううう……!」
矢継ぎ早の問答に、ホーティの顔が朱色に染まる。
「い、いや、姐さんはただ装置が欲しくて―――」
「空気」
「読め」
「あふんっ!」
起き上がってきたバルクを、ルニとタマーラが阿吽の呼吸でどついてまた眠らせた。
「結局、悪人になりきれないんだよ。ルニちゃんを連れてるのも、そういう理由だったりするんじゃない」
「成る程。まるで母のようだな」
これまた阿吽の呼吸でホーティに笑顔で問いかける朱里とアイン。
「ホーティさんが母親……素敵ですね」
「ええ、ここぞというときはやる肝っ玉母ちゃん、と言ったところでしょうか」
同調するかのようにレジーヌと牡丹が口を開く。
「……あーもう! くだらな恥ずかしいこと言ってんじゃないよ! いいよ、協力すればいいんだろう!」
遂に羞恥の限界に達したホーティが折れた。
「最初から素直になればいいのに。あ、私は朱里よ。よろしくね」
「アインだ。よろしく頼む」
「レジーヌと申します」
「牡丹です。よろしくお願いします」
自己紹介を終えたところで、朱里が本題に移る。
「さてと、前線は見ての通りで他の人たちがどうにかしてくれてる。でも、守りに入っている部下たちはなかなか動かない」
現在の状況を的確に捉え、皆に伝える朱里。
「つまり、それを動かす必要がある」
「でも、一体どうやって……」
牡丹の答えに、当然の疑問を投げかけるレジーヌ。
「そのキーとなるのが……」
そう言いながらアインが見たものは。
「わ、わたしですか?」
ピィチーだった。
「フフフ……人魚の声は我らが取り戻す。そして『我』こそが、ブルニスの救世主に……フフフフフフフフ」
水中に、招き猫。(マネキ・ング(まねき・んぐ))
「魔女に声を奪われた人魚姫……愛の戦士であるボクがお助けいたします!」
水中に、愛の戦士?(マイキー・ウォーリー(まいきー・うぉーりー))
「お前ら……少しは真面目に戦え」
水中に、赤毛の苦労人。(セリス・ファーランド(せりす・ふぁーらんど))
どういうパーティ編成なのか少し疑問なのは伏せておく。
彼らもまた人魚の声を奪還するために戦っているのだから。
「フフフ……貴様ら天上人とやらにはもったいない機晶石。我が没収してやろう!」
「この愛の戦士は水中でも愛でいっぱいなのさ! 愛の力よ、ボクに力を! たくさんわけておくれ!」
水中だろうが我が道しか行かぬマネキとマイキー。
そんな彼ら二人に、珍しくセリスが声を大きくして戦うように催促する。
「お前ら! 言ってるだけじゃなく戦え! 連中、存外に手強いぞ!」
言いながら、【融合機晶石【フリージングブルー】】で威力を底上げした『アルティマ・トゥーレ』を敵に叩きつけるセリス。
水中でもその太刀筋に濁りはなく、水ごと一閃する。
「さすがセリス。美しき太刀筋、素晴らしい働きだな。その働きに我も報いようぞ」
いやもうそれ倒れてるので大丈夫です、という状態の敵に追い討ちをかけるマネキ。
「さあ、いくよ!」
『シャイニングラブ』を使い、(主に自分への異常)愛を魔力に変え、マイキーの周りには言葉では言い表せない異様なオーラが漂っていた。
「……本当に、他の契約者たちがいてくれて助かったよ」
最後まで自分のペースを崩さないパートナー二人を見ながら、
苦労人セリスはため息を一つつきながら確実に敵を倒していくのだった。
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