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リアクション
第7章 卑劣漢現る!
監督を失って野球軍は浮き足だった。テトラも気を失っているので、新監督の座につけるわけにもいかない。このままではタイタンズの勝利である。
しかし恐るべき犯行声明によって、一気に戦いの趨勢は逆転してしまったのだ!
「タイタンズ諸君に告ぐ、キミたちの大切なパートナーはボクが預からせて頂いたのだよ! 思慮に欠ける行動を取ればどうなるかはわかるね。さあキミたち、試合を続けるんだ」
この恐るべき大犯行の首謀者は桐生 円(きりゅう・まどか)と言う。本人を知るものならば驚きを隠せまい。百合園学園に通う、ごく目立たない少女だ。彼女が何を思ってこの凶行に及んだのかは、当人とパートナーのほかわかるまい。
タイタンズ選手の大半はパートナーを同伴しておらず、試合中は携帯電話をロッカーにしまっていたので、パートナーの安否を確認することができなかった。犯行声明の真偽が確認できないまま、神経の焦げ付くような試合が続く。
タイタンズはろくにバットを振ることもできないまま、あっというまに野球軍の攻撃に移り変わった。ピッチャーのナガン・ウェルロッドは渋々投球し、あっけなく打たれた。打たれた打球に向かって選手たちはとろとろと歩くだけだった。
1回の裏が終わった時点で、得点は3対10となっていた。
第8章 復活
9回の表、気絶していた王大鋸が目を覚ましてみると、点差は3対103だった。
「おいシー・イー、これはどういうことだ」
「ダージュ、おまえが寝ているあいだに恐ろしいことが起きたんダ……」
菫が倒れてから野球軍には監督がいなくなってしまった。だが目を覚ました『監督番長』が『選手兼任監督番長』として復帰したのである!
ピッチャーとなった『選手兼任監督番長』にそれまでの驕りはなかった。安易な魔球に頼ることなく、さまざまな投法を使い分けてタイタンズのバッターを打ち取ってきたのだ。
「なるほど、どうやら俺様もやっと本気を出せるようだな!」
「しかしダージュ、選手のパートナーが人質に取られているんダ。どうすル」
「それなら心配ありません……今しがた人質は解放しました」
なんだか居心地悪そうに立っている渋柿 咲都(しぶがき・さくと)の姿があった。
「犯行声明を聞いて桐生 円さんの声だとわかりました。ちょうど会場の整備をしていましたから、人質を閉じ込めておくならどのテントなのか、候補はいくつかに絞り込めたんです」
一見すると頼りない少年だが、執事として身につけた広範な知識と洞察力が役に立ったのである。
「でも人質を解放しても100点差では……」
そう言いよどむ咲都に王はこう言ってのけた。
「テストの100点に比べたら屁でもねぇ」
9番、桜町 未央。普段からスポーツをたしなんでいる。
「ん〜、皆で力を合わせれば、100点だって取れるよ!」
『選手兼任監督番長』投げる。9回だというのに球威衰えず。未央の得意とする種類の球筋で敢えて挑んできたのだ。つつがなく打ち返す未央。そのまま二塁出塁。
10番ハマティー。乱闘狙いの彼だがここは素直に打ちに行く。ヒット。
11番、狭山 珠樹。『吸精幻夜』で気力を回復させてバッターボックス入り。ここまでの戦いで心身ともに疲弊した選手が多いなか、珠樹はもっとも消耗を避けてきた選手だと言えるだろう。2ストライクののち出塁。
12番ナガン三塁打。13番八神二塁打。14番姫宮ヒット。15番遠野四球。16番マイト三塁打。
「このまま押し切るぜっ!!」
王吠える。
1番王ヒット。2番蒼二塁打。3番国頭デッドボール。4番ラルク四球。5番ガイツ三塁打。6番鎌田二塁打。7番山田三塁打。8番アシュレイホームラン。9番桜町死球。10番ハマティー二塁打。11番狭山ヒット。12番ナガン二塁打。13番八神デッドボール。14番姫宮デッドボール。15番遠野ホームラン。16番マイトヒット。1番王三塁打。2番蒼二塁打。3番国頭三塁打。4番ラルク四球。5番ガイツ四球。6番鎌田ヒット。7番山田三塁打。8番アシュレイ四球。9番桜町三塁打。10番ハマティーヒット。11番狭山三塁打。12番ナガンヒット。13番八神ヒット。14番姫宮三塁打。15番遠野四球。16番マイトヒット。1番王三塁打。2番蒼デッドボール。3番国頭三塁打。4番ラルク二塁打。5番ガイツ二塁打。6番鎌田三塁打。7番山田三塁打。8番アシュレイ三塁打。9番桜町三塁打。10番ハマティー二塁打。11番狭山三塁打。12番ナガン二塁打。13番八神三塁打。14番姫宮ヒット。15番遠野ヒット。16番マイトヒット。1番王ホームラン。2番蒼デッドボール。3番国頭三塁打。4番ラルクホームラン。5番ガイツから代打あーる華野 筐子。三塁打。6番鎌田二塁打。7番山田デッドボール。8番アシュレイホームラン。9番桜町ヒット。10番ハマティー四球。11番狭山ホームラン。12番ナガンヒット。13番八神二塁打。14番姫宮二塁打。15番遠野ヒット。16番マイト三塁打。1番王三塁打。2番蒼ホームラン。3番国頭ヒット。4番ラルク三塁打。5番あーる華野三塁打。6番鎌田ホームラン。7番山田二塁打。8番アシュレイホームラン。9番桜町デッドボール。10番ハマティーホームラン。11番狭山デッドボール。12番ナガン三塁打。13番八神三塁打。14番姫宮三塁打。15番遠野ホームラン。16番マイトヒット。1番王二塁打。2番蒼三塁打。3番国頭ホームラン。4番ラルク二塁打。5番あーる華野デッドボール。6番鎌田ヒット。7番山田二塁打。8番アシュレイ三塁打。9番桜町ヒット。10番ハマティーホームラン。
11番狭山三塁打。12番ナガン二塁打。13番八神二塁打。14番姫宮ヒット。15番遠野ヒット。
ここで逆転、104対103点。タイタンズ満塁。
「ワン君、まさか君のチームがここまでやり抜くとは正直思っていなかったぞ」
「誰がワン君だ! さあ行ってこい、マイト」
16番マイト。ナイトとしてランスをバットの代わりに用いる独特の打法だ。
選手兼任監督番長は意を決し、温存してきた魔球を投げる。ドラゴンアーツによる怪力を用いた『ドラゴン投法』だ。マイトは絶叫しながら槍の柄を地面で固定して構える。竜の化身となったボールがマイトに襲いかかるが、ボールはランスに貫かれた。
その最後の一球で選手兼任監督番長は燃え尽き、どうと倒れた。もはや野球軍にピッチャーを引き継ぐものはなく、投了により試合終了となった。
ついにタイタンズは野球軍を倒したのである。
「これが四天王の力か……」
八神 夕はため息をついた。100点以上取られても黙って投げ続ける根性。一度敗北してもふたたび這い上がる執念。蒼空学園ではめったに見られないものがそこにはあったのだ。
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