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蒼空学園遠泳大会!

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●第2章 パートナーと仲良く泳ぐぞコース開幕!

『1人で泳ぐぞコースの選手たちがが終盤に差し掛かって来ました。勝敗の行方が気になりますね、解説の仙童さん!』
『そうですね……先頭集団は、優勝をかけて、トップが入れ替わり立ち代りしております。けれど、パートナーと仲良く泳ぐぞコースの選手の皆さん、勝敗を知るのは後回しです。こちらも間もなくスタートしますよ』
 運営スタッフの実況の学生と、志貴の掛け合いの後、参加者がスタート地点へと集まっていく。

 参加者がスタート地点に集まるのを確認した運営スタッフは声を上げた。
『それでは、位置について、よおおおおおい……』

――ピィィィィィッ!!

 ホイッスルと共に、初めに泳ぐ学生たちが一斉に海へと駆けていく。
 選手たちが沖に出て泳ぎ始める頃に、併走するパートナーたちがそれぞれの飛行艇に乗って、追いかけ始めた。


「一度、マラソンの白バイ先導役をやってみたかったのよね」
 パートナーコースの先導役を引き受けたのは、風森 望(かぜもり・のぞみ)であった。
 小型飛空挺のカラーリングを白バイっぽく変更して、やる気満々である。
「ここで私がコースを間違えると、皆さん間違った方向に……いえいえ、さすがに実行はしませんよ?」
 ぽつと呟くと、救護班の一員として飛空挺を併走させていた弥隼 愛(みはや・めぐみ)が「それはどうなんだよ」というような視線を投げかけてきたため、すぐさま先の言葉を実行しない旨を告げる。
 望の言葉を聞いてから、愛は後方を泳いでいる選手たちを見た。
(美少年美少女美男子美女、可愛い素敵な獲物……げふんげふん、救助対象を手厚く介抱したげないと)
 ふふ、と笑みを浮かべながら、選手たちを確認すると先頭集団の1人に見知った顔を見つけた。
「あ、マナも参加してる。おーいマッナー★ がーんばれー」
 小谷愛美が泳いでいるのを見つけた愛は、大きく手を振り声援を送る。
 愛美もそれに応え、泳ぎながら手を振った。

「いくぜ! 華麗なるバタフライで優勝してやるぜ!」
 顔を真っ赤にしながら全力で膨らませたビニール人形でパートナーと一緒であることを証明したベアは意気込んでいた。
 けれど、数分と持たずして、限界はやって来た。
「あかん……お花畑見えてきた……溺れてしまう!」
 ビニール人形を膨らませるのに、体力を使った所為だろう。
 視界が揺らぐのを感じて、併走する飛空挺へと手を伸ばした。けれど、無人の飛空挺はバランスを保つことが出来ず、ぐらりと傾き、掴んだ手がすべる。
 そのまま沈んで溺れてしまうだろうとベアが覚悟した瞬間、縛り付けていたはずのビニール人形が飛空挺から落ちてきた。
 空かさずそれに縋りつき、沈んでいくのを防ぐ。
 しかし、それ以上、行動を起こす体力は残っておらず、ベアはそのまま救助を待った。

「まったく、由香はイベント好きだよなー。しょーがねーから、オレも参加してやるぜ」
「だって、ずっと一人で泳ぐのってちょっと寂しいじゃない! 一緒に挑戦したほうがきっとずっと楽しいよ」
 可愛い系の水着を纏った倉田 由香(くらた・ゆか)とパートナー、ルーク・クライド(るーく・くらいど)はそのようなやり取りの末、大会に参加していた。
 泳ぐからには上位を目指したいと由香はドラゴンアーツを使用してスピードを出そうとしてみる。けれど、ドラゴンアーツといえば一撃で壁や大岩を破壊することが出来るような、攻撃力を上げるスキルである。
 スピードを出すことは出来そうになく、十数分泳いだところで、一度交代することにした。
 併走する飛空挺を止めて、それに由香が上がってきてからルークが入れ替わりで海へと入る。
 海に入ることで濡れて素肌に水着が張り付いた……そんな姿の由香を見て、頬が高潮するのが分かり、ルークは海に入ると早々に泳ぎだした。
 その後もルークに無理させまいと、適度に交代し由香自身が距離を稼ぐなどして、ゴールを目指した。

「泳ぎに自信はないけれど、バルバラと一緒なら頑張れるから」
 東重城 亜矢子(ひがしじゅうじょう・あやこ)の言葉に、バルバラ・ハワード(ばるばら・はわーど)は頷き、今回2人で参加することを決めた。
 バルバラの方が体力がある、ということから距離を稼ぐのは彼女だ。
 スタートからある程度の距離を泳いだところで、泳者をバルバラから亜矢子に交代する。
「そう、ゆっくりと……息継ぎのときは、水を飲まないように顔を上げてください。少々型が崩れても、私がついていますから……」
 亜矢子の泳ぎが下手というわけではないけれど、ぎこちない泳ぎ方にバルバラがアドバイスをする。
 亜矢子はそのアドバイスを元に、思い切って泳いでみた。
 ぎこちなさがなくなれば、泳ぐのが楽しく思えてきて、どんどん距離を稼いでいく。
 けれど、適度なところでバルバラがストップをかけ、交代した。