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リアクション
*
(悔しいから自分から言ったりはしないけれど……)
実は昆虫が苦手な九条 乃璃子(くじょう・のりこ)は、小型飛空挺に乗りながらそう思っていた。
彼女が狙うジャイアント・アントは、仲間たちが用意した罠などにはまらず、予定外の進路を取るような個体。
ふらふらと大回りするように町に向かう個体を見つけた乃璃子は、飛空挺を傾けそちらに向かう。
近くで改めて見ると、苦手な昆虫の部位が目に付く。
「や……いやッ! こっち来ないでッ!」
悲鳴にも似た声を上げながらも乃璃子はジャイアント・アントの脚を狙ってエンシャントワンドを振り回した。
予め、草原からエルデの町の間に、爆薬を仕掛けていた閃崎 静麻(せんざき・しずま)は、ジャイアント・アントの行軍開始をパートナーのレイナ・ライトフィード(れいな・らいとふぃーど)と共に、その近くで見ていた。
ジャイアント・アントたちがやって来ると、静麻は高速ダッシュでそれへと近付き、上空から残る爆薬に火をつけて投げつける。
爆発に怯んだところに、レイナがジャイアント・アントの背に乗って、カルスノウトを突き立て、関節部分に傷を負わせた。
静麻が爆薬を投げつける傍らで、地面に仕掛けた爆薬で吹き飛ぶジャイアント・アントも出て来ている。
鋭い牙の覗く顎の攻撃を手にしたカルスノウトで受け流しながら、政敏はパートナーのカチェア・ニムロッド(かちぇあ・にむろっど)との合流を目指していた。
(いつもは怠けているのに、本当は無茶する人だから)
カチェアもそんな風に政敏のことを心配しながら、彼の姿を探していた。
襲い掛かってくるジャイアント・アントの攻撃は受け流しながら、硬い外殻とは違って斬り易い脚の関節を狙って、刃を振るう。
政敏とカチェアが合流すると、ジャイアント・アントの脚を潰した後、頭部のある方に回って、眼を狙う。
動けなくとも視界が働いていればその場から酸を吐くかもしれない。その酸を警戒しながら、ジャイアント・アントを1対ずつ確実に倒していった。
町より少し離れたところで、犬丸 シロウ(いぬまる・しろう)とパートナーのネネ・マーシラ(ねね・まーしら)はジャイアント・アントを待ち構えていた。
予め用意してきた害虫用の誘引剤を巣穴の近くから、この場へ振りまいて来ている。
「……斬っても体液とか飛ばさないでよね」
ネネはシロウにそう告げておいた。
待っているうちに、巣穴のある方から黒い塊がいくつか見え始める。
「来たみたいだよ!」
シロウはリターニングダガーを、ネネは光条兵器を構えた。
やって来たのは3体のジャイアント・アントだ。
リターニングダガーでシロウは関節を狙って、刺す。
一方、ネネは頭部と胴部の間を狙って光条兵器で斬り裂いた。使用者が斬るものを選ぶことの出来るそれで斬られ、ジャイアント・アントの頭部が地面へ転がり落ちる。
一瞬のことで、ジャイアント・アント自体もそれに気付かなかったのだろう。間を置いて、胴部がずん……と沈んでいった。
自警団の小型飛空挺を借りたレン・オズワルド(れん・おずわるど)は、町で調達してきたアルコール度の高い酒に火を点した。それをジャイアント・アントに向かって投げつける。
更にエンシャントワンドの先に、火の玉を作り出し、ジャイアント・アントに向けて放った。
炎に囲まれたジャイアント・アントはそれを振り切ることが出来ず、焦げていく。
予め害虫駆除用の毒餌を買ってきた駒姫 ちあき(こまひめ・ちあき)は、パートナーのカーチェ・シルヴァンティエ(かーちぇ・しるばんてぃえ)と共にそれをテニスボールくらいの大きさに纏めていた。
その毒餌を巣穴の近くまで運ぶと、砂糖水をかけて、ジャイアント・アントが引っかかるのを待つ。
やって来たジャイアント・アント1体に対して、水鉄砲に入れた洗剤を薄めた水を放ってみたちあきであったが、ただ濡れたことを気にするだけで、こちらは効いている様子はない。
用意していた毒餌へと噛り付いたジャイアント・アントは持ち運ぼうと、巣穴に引き返していく途中でそのまま、ばたりと地へ伏せる。
「カチェ、次の毒餌、撒くわよ」
「ええ、ちあき」
ちあきの言葉に、カーチェは頷き、また巣穴の近くに毒餌と少量の砂糖水をかけるのであった。
ビクトリー・北門(びくとりー・きたかど)がパートナーの百二階堂 くだり(ひゃくにかいどう・くだり)から取り出した光条兵器は、良い音の鳴るゴングだ。それをくだりに渡して、対峙しているジャイアント・アントと向き合い直す。
くだりがゴングを鳴らすと試合開始。ドロップキックを繰り出し、ビクトリーチョップで叩き、ビクトリーラリアットを入れた後、力任せにジャイアント・アントを掴むと、地面に向かって投げつける。
ジャイアント・アントが倒れると共に、くだりがカウントを取り始め、まずは1本、ビクトリーが先制した。
起き上がったジャイアント・アントは負けじとビクトリーに噛り付き、そのまま放り出すように投げる。
「立て〜、立つんだ〜〜!!」
ビクトリーが倒れると、くだりはゆっくりとカウントを重ね、ビクトリーが起き上がるのを待った。
そのゆっくり目のカウントの効果もあってか、ビクトリーは途中で立ち上がり、またジャイアント・アントと拳と顎を交える。
3フォール目にはジャイアント・アントはもう立ち上がる気力もなく、そのまま地へ伏した。
「ビクトリーーーーッ!!」
楠見 陽太郎(くすみ・ようたろう)とそのパートナー、イブ・チェンバース(いぶ・ちぇんばーす)と共に町から離れた草原の真っ只中に居た。
「陽太郎のやることだから大丈夫だと思うけど、これって効くのかしら?」
「別に毒が効かなくても、アリを町から引き離せればそれでいいんですよ。致死量だって分かってないんだから、あくまで保険です」
イブの問いかけに陽太郎が答えながら、菓子や期限切れのパン、甘い蜜などを盛り付ける。
「さて、アリに襲われても詰まりません、退避しましょう」
小型飛空挺に乗り、上空へと退避しておく。
一方、甘めの菓子を買っておいた弐識 太郎(にしき・たろう)は、菓子を投げつけてジャイアント・アントをひきつけていた。向かうは陽太郎たちが待つ場所だ。
陽太郎たちが待ち始めてから少し経った頃、太郎の餌に釣られて、ジャイアント・アントたちが3体やって来た。
蜜を吸ったパンを見つけて、ジャイアント・アントは更に嬉々とし、それを巣に持ち帰ろうとする。
けれど、中には太郎が買っておいた害虫駆除剤も混ざっているため、ジャイアント・アントたちは痙攣し始める。
「これ以上戻ることは不可能でしょうね、闘いましょうか」
「闘うのねO.K.」
陽太郎の言葉に、イブは頷き、太郎もデリンジャーを構えた。
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