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溜池キャンパスの困った先生達~洞窟探索編~

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溜池キャンパスの困った先生達~洞窟探索編~

リアクション

「魔法では数で勝負というわけにはいきませんから、一発の威力重視でいきますよ」
 球状の石のついた杖を掲げ、御凪真人が集まったグレムリン達を睨む。その視線がぴったりと合った。
「てやっ!」
 掛け声と共にリターニングダガーが飛んできて、グレムリンの足を払う。密接していたグレムリン達がドミノ式に倒れた。
「にしし、こういうのを油断大敵って言うんだろ」
 悪戯っぽく微笑むトーマ・サイオン。
 倒れたグレムリン達に向けて駆けだしたセルファ・オルドリンは【ツインスラッシュ】を繰り出した。
 ドミノの上にいたグレムリンは、すぐ起き上がって反撃。【スウェー】で見切って受け流す。
 できた隙に御凪真人が【アシッドミスト】を放つ。倒れたグレムリン共々、酸の霧に巻き込んだ。
 流砂の中心にいたアントライオンにも降りかかる。濃度の高い酸は外殻を溶かしていく。
「真人、溶かし方が甘いわよ!」
「あなたの攻撃力なら、これくらいで大丈夫ですよ」
「それならいいけど」
 御凪真人に背を向けたセルファ・オルドリンは【ソニックブレード】を発動。
 音速を超えた強力な一撃が、柔らかくなった外殻ごとアントリオンを両断する。それを確認して頷く御凪真人の耳に、声が届く。
「もう一回、行くよ!」
 ごく近くで一度【火術】を放っていたミレイユ・グリシャムが、再び詠唱を始めた。
「援護します」
 御凪真人は合わせて詠唱。【ファイアストーム】を放つ。
「逃げるなよっ!」
 効果範囲から抜け出そうなグレムリンに、トーマ・サイオンがリターニングダガーを投げつけ、逃げを許さない。
 同時に炎の嵐が起こる。二つの炎の嵐は勢いを増して、広がる。

 やや遅れてやってきたウィルネスト・アーカイヴス(うぃるねすと・あーかいう゛す)は、マイクを手ににやりと笑った。
「俺の歌を聞けぇー! ACT.1『悲しみの歌』ッ!」
 大音量で歌い始める歌は……原曲が分からないほど音の外れた【悲しみの歌】。
 グレムリン達の戦闘意欲が失せる。共闘メンバーの心も悲しくなった。
「どうだ、シビれただろ!」
 得意げにマイクで叫んだウィルネスト・アーカイヴスは、咳払いした。続けようとマイクを持ち直す。
「アンコールに応えるぜ! ACT.2……」
「洞窟の最奥に眠る機晶姫……か。なんとか見てみたいものだが……」
 歌に耳を塞ぎ最奥に視線を遣りつつ、遅れてやってきた虎鶫 涼(とらつぐみ・りょう)がぼんやり呟いた。
「あんたが行くならあたしも行くわよ。一人じゃ無理そうだし」
 カルスノウトを振り上げ、リリィ・ブレイブ(りりぃ・ぶれいぶ)が告げる。
「まあその前に、目の前の魔物を倒さなきゃ駄目だけどね」
 赤色のショート髪を振り【ツインスラッシュ】を繰り出す。グレムリン二体に剣圧をまとった斬撃がぶつかる。
「そうだな」
 頷いて攻撃の構えをとる虎鶫涼。すると傍から詠唱する声。
「僕も加勢しましょう」
 御凪真人が詠唱。頷いて駆け出した虎鶫涼が掲げた剣先から、爆炎が飛び出した。【爆炎波】による攻撃が炸裂。
 同時に御凪真人の【ファイアストーム】がグレムリンを巻き込む。
「オイラにかかればこんなヤツ!」
 トーマ・サイオンの攻撃がグレムリンの細い足元に炸裂。グレムリンが倒れ込む。
「私も一緒に攻撃するよ!」
「あたしの一撃は重いわよ!」
 セルファ・オルドリンに頷いてみせ、リリィ・ブレイブが駆けだす。
 共に走りグレムリンに向け【ツインスラッシュ】を二人で繰り出した。
「ギィイイイイイィイイ!」
 鋭い断末魔を上げ、グレムリンが倒れる。
「次、行くわよ!」
「うんっ!」
「もう一度、頼んだぜ」
「わかりました」
「オレもっ!」
 五人は集まったグレムリンを掃討するため、駆け出した。