リアクション
いつもの昼休み
ウサギ小屋の前では、ホッとした表情のルミーナ・レバレッジ(るみーな・ればれっじ)が、生徒たちを出迎えた。
「みんなありがとう。おかげで危険なパラミタヴォーパルバニーを、10匹全部捕まえることができたわ」
アリア・セレスティ(ありあ・せれすてぃ)は、さきほど捕らえたウサギの手当てをしていた。
「ウサちゃん、さっきはごめんね。ほら、涼しくしてあげるから」
うちわで扇がれたウサギは、気持ちよさそうに目を細めた。
もう体調は万全だ。
クラーク 波音(くらーく・はのん)も、抱いてきたウサギを小屋に戻した。
「ふう、これで大丈夫ね。このウサギさん、ごはんをもらう前だったから、きっとお腹すいてたんだろうね。扉も開いてたし、餌探しに逃げちゃったんだよっ・・・・・・学校で飼ってるウサギさんだし、ご飯食べて落ち着けば、仲良くなれるんじゃないかなっ♪」
これを聞くと、ソラ・ウィンディリア(そら・うぃんでぃりあ)はニッコリと微笑んでクラークに賛同した。
「きっとそうやね。でも、あたしはこのウサちゃんを、武術部や空手部の組み手相手としてスカウトしたいくらいやわ!」
「それはちょっとムリじゃない?」
「そうかあ、まあそうだよね・・・・・・ショボーン」
がっかりするソラをみて、ピクシコラ・ドロセラ(ぴくしこら・どろせら)が言葉をかけた。
「まあまあ、そうがっかりしないで、ソラ・ウィンディリア。ワタシが今から、このお騒がせなパラミタヴォーパルバニーを使って手品をやるから見てて。それっ」
そう掛け声をかけると、ピクシコラのシルクハットからパラミタヴォーパルバニーがぴょーんと飛び出してきた。
「わあ、すごい!」
「はい、ファンタスティック☆」
ピクシコラのエンターテインメントに、ソラは拍手を送っていた。
一方、小鳥遊 美羽(たかなし・みわ)は、マリエルに協力しようと思っていた。
「マリエル、私も生き物係に立候補するね。一緒にヴォーパルバニーの世話をしよう。なんだかかわいくなってきちゃったからさ」
「うん、ありがとう。10匹のうさぎさんたちも喜ぶと思うよ・・・・・・て、あれ? 9匹しかいないよ」
マリエルが小屋の中のヴォーパルバニーを数えると、9匹しかいなかった。
「実は、もう1匹はこの中にいるの」
そう言ったのは葛葉 明(くずのは・めい)だった。
明の服の中には、すっかり大人しくなったヴォーパルバニーがいた。
「ねえルミーナ。あたし、この子を近くの森に放してあげたいの。とてもおとなしい子だから、人を襲ったりしないはずよ」
「そうね、それならいいわ」
「やったぁ、ありがとう。うさちゃん、よかったね。元気で暮らすのよ」
そういうと、葛葉 明はウサギを野に放した。
※ ※ ※
芦原 郁乃(あはら・いくの)は、大きく伸びをすると、ほっとした表情でつぶやいた。
「さあて、ウサギも捕まったし、一件落着。マリエルとも久しぶりにおしゃべりもできたから、よかったよ!」
スレヴィ・ユシライネン(すれう゛ぃ・ゆしらいねん)は、郁乃たちをカフェに誘った。
「それじゃあ、お茶でもしようか。俺とアレフティナはカフェに行くけど、芦原とマリエルも一緒に来ない?」
「わあ、行く行く!」
「じゃあ、カフェでゆっくりのんびり休もうか」
昼下がりの蒼空学園に、平和な日常が戻った。
おわり
こんにちは。マスターのヴァイオリン弾きです。
今回は動物のお話でしたが、私も以前、ネコを飼っていました。
ノラネコだったのですが、全く人を怖がらず、逆にすりよって来るという愛らしいキャラのネコでした。
ある冬の寒い日、ネコが自動車の下でうずくまっているのを見てかわいそうに思い、部屋に連れ帰って暖かい布団の中に入れてやりました。
ねこはうれしそうに喉を鳴らし、それ以来、家に居つくようになったのです。
今回はウサギの話でしたが、みなさんのアクションを読んでいると、実際にウサギを飼っている方もいらしたようです。
やはり、動物が好きな方は、アクションでの接し方にすら好意が現れていましたね。
また、事件が解決した後、まったりした時間を楽しむ方々を描写するのも好きです。
同じキャラクターを何回も書いていると、なんだか感情移入もしてきますね。
次回も、みなさまにお会いできますことを楽しみにしております。