リアクション
※ ※ ※ 一方、こちらは校庭の茂み。 影野 陽太(かげの・ようた)は、特技「捜索」を使用して、ウサギのいそうな場所を探していた。 「ウサギのやつ、どこにいるのかなぁ?」 一緒に来ていた酒杜 陽一(さかもり・よういち)は、年長者の経験から、陽太へアドバイスする。 「このあたりは確かにウサギが隠れていそうだな。首狩りウサギは基本、茂みや物陰に潜んでいる。それで、獲物の視界の外から、頸をめがけて飛びかかってくるんだ」 「ええっ、そんな。正直、首を狩られたらトンでもないことになりますよ・・・・・・」 影野 陽太は、内心かなりビクビクしながら、警戒を怠らなかった。 「陽太さん、必要以上に怖がってもしょうがない。ウサギの攻撃パターンを把握するんだ。ヤツが『どこ』から、身体の『どこ』に向かって、『どんな』攻撃が来るか予め判ってれば、迎撃は容易だぜ」 ソラ・ウィンディリア(そら・うぃんでぃりあ)は、パートナーの酒杜 陽一とは少し離れた場所で、周囲の様子を注意深く観察していた。 ウサギを誘い出しやすくする為、陽一とはあえて一緒に行動せず、単独で作戦を敢行していた。 ソラは、コンパクトの鏡を使って化粧を直しつつ、しかし油断せずに、『予兆』を察知しようと務めていたのだ。 「茂みの葉の僅かな動きや音を聞き漏らさないようにせんとな。それに、この鏡があれば、後ろの物陰で動く影なんかも見えるし」 近くにいた霧島 春美(きりしま・はるみ)は、ソラと協力して、視界の悪い茂みでの探索をおこなっていた。 「ソラさん、その鏡いいですね! ウサギは足が速く、狭い所に潜り込んだりと、なかなか見つけにくいですから。あ、それに穴も掘りますしね。その辺りを念頭において探してみましょう。できるだけ、ウサギにケガさせないように捕まえましょうね☆」 「了解〜」 ※ ※ ※ 湯島 茜(ゆしま・あかね)とエミリー・グラフトン(えみりー・ぐらふとん)は、すごい光景を目撃してしまった。 その詳細を語ろう。 ルミーナの全校放送を聞いた変熊 仮面(へんくま・かめん)が、校門から校内へ駆け込もうとすると、そこに1匹のウサギが校外に出ようとしていた。 白い体毛に鋭い前歯、間違いなく、パラミタヴォーパルバニーだ。 その殺人ウサギは、変熊 仮面の姿を認めると、キシャーッ!! っと牙を剥いた。 「おお、これが首狩りウサギか! うん、しかしいくら危険な動物でも、愛情を持って接すればモフらせてくれるはず! うさちゃ〜ん、おいで〜!」 変熊 仮面は、ウサギに近づくと、手を出してしゃがみこんだ。 「危ないからやめなよ!」 湯島 茜(ゆしま・あかね)が叫ぶよりも早く、殺人ウサギは獲物の首めがけて飛びかかった。 「あ、危ないっ!!」 変熊の首筋を、ヴォーパルバニーの牙が掠める。 ブッパァーッ!!!!! 飛び散る鮮血。 「うおっ! このままでは・・・・・・死ぬ!」 変熊 仮面の首から下だけが、光学迷彩で透明になったところ、変熊の意識が途切れた。 変熊 仮面の後ろに着地したパラミタヴォーパルバニーは、相手の視界が外れているとみるや、再び襲ってきた。 今度は本気だ。 キシャーーーーーーッッ!!!!! 鋭利な前歯が陽光にきらめいたかと思うと、スパーーンと丸いものが飛び上がった。 ゴロリ。 「キャーーーーッ!!!」 女子生徒たちの悲鳴とどよめきが、蒼空学園全体をつんざく。 校門に転がる変熊 仮面の生首。 しばらく、誰も、どうしてよいかわからなかった。 この状況の中、エミリー・グラフトン(えみりー・ぐらふとん)だけは冷静だった。 「それがし、首を狩られるシーンを見るのは慣れているであります!」 「はぁ? エミリー、何言ってるのよ」 「以前にも首を切断されたことがありますので・・・・・・ちなみに切断したのは藤原 優梨子(ふじわら・ゆりこ)さんであります!」 エミリーの発言に、生徒たちの視線が一斉に藤原 優梨子(ふじわら・ゆりこ)へと向けられる。 「私が責任を持って、変熊さんの頭を立派な干し首にします!」 自信たっぷりに言い放つ藤原 優梨子に、周囲はどう対応していいのかわからないという困惑が包んでいた。 「う、なにが立派な干し首だって? 勝手に他人の頭を使われちゃ困るな」 首のない胴体がしゃべるのを聞いて、生徒たちは一層どよめいた。 と、変熊 仮面の胴体を覆っているブラックコートから、ニュッと新しい頭が生えてきたのだ。 「ヒャーーーッ」 今度は藤原 優梨子が驚いた。 「はははは、びっくりしたか。さすがの変態も、この変熊 仮面の変態さ加減にはかなわないと見たぞ」 「これ、どういうこと?」 「貴様が持っているのは、ダミーの首さ」 「くっ、だましたわね」 「はははは」 「笑っている場合じゃないわよ、このヘンタイさん。あなたを襲ったウサギ、あっちへ逃げちゃったわよ。よーし、私が捕まえてやるわ」 こういうと、藤原 優梨子(ふじわら・ゆりこ)はウサギの逃げだ方向へと駆け出していった。 |
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