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リアクション
序章
墨を流したような夜空だった。
空京の郊外はネオン煌めく街とは違い、薄闇に包まれている。
目を凝らして見てみよう。
至る所に、錆びついたクレーン車や半壊した土止めが放置されている。
ここは、開発途中になった瓦礫の大地なのだ。
ゴゴォオオオオオオオオオ――ッ。
闇を切り裂き、風が吹きすさび、何ものかが現れる。
丘? いや、空京の観光地として開発予定だったはずの「山」だ。
近年の戦闘ですっかり荒れ果ててしまい、魔物が徘徊する危険地帯と化してしまった。
昼は呪いによって姿を隠され、夜になると出現する、「魔の山」――。
そこに孤児院の子供達と、闇にまぎれて鏖殺寺院の構成員達が。
その後ろから、王 大鋸(わん・だーじゅ)、シー・イー(しー・いー)、パルメーラ・アガスティア(ぱるめーら・あがすてぃあ)といった面々が。
さらには、サポート役の学生達が大勢集結しつつあった。
雲間から、青いパラミタの月が現れる。
細い月明りに照らされて、今、「魔の山」の姿が不気味に浮かび上がる――。
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