リアクション
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外はもう、すっかり静かになっていた。
「……ああ、ああ。そうか、わかった。……ご苦労だったと、皆には伝えてくれ」
そして運びこまれた医療器材の音ばかりが、テント内には響いている。
耳元に当てて話していた通信機を切り、涼司はこちらを見守っていた一同のほうへと、振り返った。
「ほぼ、鎮圧と駆除は完了したそうだ。今現在、学園内およびこの森の中での戦闘は終結している」
わっと、集まった医療スタッフや、負傷者たちから歓声が上がる。ほっとしたように、花音が胸をなでおろし一息、吐いている。
「だから」
「──だから?」
「あとはそいつが無事に野生へと戻ってくれれば、すべて終了、だな」
そいつ。それは無論、テントの中央に横たわるドラゴニュートのこと。
「ええ。はやく、よくなってほしいですね」
花音が頷く。そして献身的にドラゴニュートへと寄り添い、声をかけていた加夜の肩を、ぽんとやさしく叩く。
「ねっ、加夜さん」
「は、はいっ」
一瞬びくりと肩を竦めて、花音へと振り向いた加夜はしかし、すぐに表情を微笑へと変え、ドラゴニュートのまぶたの上を、そっとその手で撫でていった。
よかったね。もう大丈夫ですよ。そう、伝えるかのように。
そしてそうやって撫でられる側のドラゴニュートもまた、彼女の心が伝わっているかのように穏やかで、優しい目で。
自身のために力を合わせてくれたテント内の人々のことを静かに、見つめていた。
(了)
はじめてのシナリオを担当させていただきました。ごきげんよう、640です。
なにぶん第一回目、まだまだ初心者マークがびたっと張り付いている状態ですのでいろいろ至らない点も多いかとは思いますが、今回のシナリオ、楽しんでいただけたでしょうか?もしそうであったら、精一杯書かせていただいた身としてはこの上ないことです、はい。
まだまだ不慣れの身ではありますが、気が向いたら次のシナリオでもお付き合いいただけるとうれしく思います。
それでは皆様、またお会いできることを祈って。
640