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リアクション
■■■ Mythos
会場に入ってきたのはいんすます ぽに夫(いんすます・ぽにお)、トゥトゥ・アンクアメン(とぅとぅ・あんくあめん)、南部 ヒラニィ(なんぶ・ひらにぃ)の三人だった。
ぽに夫の顔はところどころ腫れ上がっており、片足を引きずっている。
数日前のこと。
ぽに夫は図書室で「シャンバラの因習・タシガンでの生贄編」なる本を読んで
「タシガン式血闘は本来生贄を賭けて行う競技だった!」
という結論に至ったのである。
というわけでぽに夫は同士を集め、タシガンと空京で誘拐行為を行おうとしたわけだが、すこしばかり狙った相手が悪かった。
ルドルフ・メンデルスゾーン(るどるふ・めんでるすぞーん)の警護をしていたヴィナ・アーダベルト(びな・あーだべると)に叩きのめされ(ヒラニィはちぎのたくらみで難を逃れた)、ジェイダス・観世院(じぇいだす・かんぜいん)を狙ったときには警護していたエメ・シェンノート(えめ・しぇんのーと)にとっつかまったのである。
「ジェイダス様、この半魚人をどういたしましょうか?
そこの十字架にでもはりつけておきますか」
エメの提案に対し、ジェイダスは不敵な笑みを浮かべる。
「いや、ここは敢えてこのぽに夫とやらの案に乗ろうではないか」
「何をおっしゃるのです、ジェイダス様!?」
「フフ……ラドゥのやつが本気を出すとしたら、それはこの私が危機に陥ったときをおいて他にあるまい」
「ジェイダス様、そういうことなら僕もご一緒します」
ルドルフが申し出るが、ジェイダスは首を横に振った。
「いや、お前とエリオは観客席で私やラドゥを見ているといい。
今のお前にはそのほうが勉強になろうというものだ」
そんなわけで、ジェイダス、フェンリル・ランドール(ふぇんりる・らんどーる)、ウェルチ・ダムデュラック(うぇるち・だむでゅらっく)の三人はわざと生贄になったのである。
空京でもいろいろあったのだが、結果からいうとチエル・イシュ(ちえる・いしゅ)、熾月 瑛菜(しづき・えいな)、そして何故か琳 鳳明(りん・ほうめい)が捕まった。
「ちょっ……これのどこが応援席さ!?」
真奈美の応援に行くとヒラニィに騙された鳳明は、今頃になって異常に気づいた様子。
十字架に磔けられるまで気付いていなかったのか?
「特等席であろう? そこで存分に見物するがよいぞ!」
ヒラニィ、調子に乗っている。
「……というわけでこの試合は我々『闇のレフェリー』が仕切らせていただきますよ」
この状況に、珠代は大変不服そうである。
「ファラオなのに、カードゲームもやらないなんて納得いかないわ!」
トゥトゥ・アンクアメン、通称『ツタンカーメン』についての意見である。
『ファラオはカードゲームが超絶強いに違いない』という、現代日本特有の偏見であった。
真奈美はうんざりした様子だ。
「そんなにファラオにカードゲームやらせたいならダレイオス1世にでもやらせておけよ。たしか『上エジプトと下エジプトの王(ファラオ)』だろ」
それを聞くと珠代はがっかりした様子。
「マナちゃんのせいでファラオへの夢が壊れたわ!」
「知るか!」
*** ルール変更のお知らせ ***
闇のレフェリー登場によりライフシステムが以下のように変更されました。
・ライフの概念が撤廃されます。
・クリーチャーによる攻撃を防ぎきれなかった場合、生贄から一人を選んで、拷問が行われます。
拷問の例:クッションを押し付ける
・生贄は3人いるので、先に拷問が3回行われたプレイヤーの敗北となります。
「いきなりそんな根幹ルールを変えるなよ! ターンエンド!」
22ターン。ラドゥのドロー(手札3枚)。
ライフシステムが撤廃されたため、侘助のライフ回復効果は生じない。
「すまんな、侘助。貴様を生贄としてクリーチャーを召喚させてもらうぞ!
『“絵で人生を変える”師王 アスカ(しおう・あすか)』召喚!」
レベル70 師王アスカ 戦闘力7000
ここまで強力なクリーチャーとなると、場に出ているクリーチャーを生贄にしなければ召喚できないのだ。
ライフ回復効果が意味を失ったため、ラドゥは『久途侘助』を生贄にしてアスカを召喚したのである。
「ごめん真奈美ちゃん! 私……ジェイダス様の味方だから〜」
空大生であるアスカは真奈美を応援するべきではないかと思いながらも、ジェイダスへの想いからラドゥの側についたのだ。
言うなればパートナーによる間接支援である。
ここでラドゥは考える。
彼の手札には『“吸血鬼現る”ソーマ・アルジェント』という強力カードが眠っていたのだが、久途侘助が出ていると場に出すことができなかったのだ。
侘助を生贄にした今、このクリーチャーを場に出すことは可能だが、今の手札は2枚。手札を減らすのは隙を見せることに繋がる。
考慮の結果、ラドゥはソーマを使うのを後回しにした。
「それでは攻撃させてもらおう。相馬 小次郎 でアタックだ」
「……グレッグ・マーセラスでブロック」
レベル34 相馬小次郎 戦闘力3400
レベル42 グレッグ・マーセラス 戦闘力4200
グレッグの勝利だ。
ラドゥ「ここからが本領よ! 特殊効果発動!」
効果:このクリーチャーが攻撃を受けて墓場に送られるとき、このクリーチャーを攻撃したクリーチャーは墓場に送られる。場に他の怨霊のクリーチャーがある場合、さらに怨霊の数だけ攻撃をしたプレイヤーはクリーチャーを選び墓場へと送らないとならない。
ラドゥ「現在、私の場には三大怨霊が揃っている。
これによって貴様は三体のクリーチャーを失うのだ!」
真奈美「しまった!」
墓地に送られるグレッグと如月佑也。
しかしここで効果は停止した。
ラドゥ「何が起きた?」
真奈美「……佑也の特殊能力だ! 最後にみんなを守ってくれたんだ!」
如月佑也の特殊能力:
如月佑也が自分の場に居る限り、自分の場に居る如月佑也以外のクリーチャーは相手のカード効果を受け付けない
相手の場に巫女さんのクリーチャーが存在する場合、このクリーチャーの戦闘力は半減する
『皆のお父さん』、その呼び名に恥じない如月佑也の活躍であった。
ラドゥ「だが怨霊はまだいるぞ。
崇徳院顕仁と菅原道真で続けてアタックだ!」
この2体をブロックすると、合計で3体のクリーチャーを失うことになる。
真奈美は甘んじて2回攻撃を受けることに。
それを見て、トゥトゥ・アンクアメンと南部ヒラニィは歓声を上げた。
「よし、さっそく拷問だな!」
ヒラニィはチエルににじりよる。
「聞いたところによると、チエル、昔は教導団におったそうだな。
ある晩、腹を空かせてレーションを盗み食いし、食い過ぎて腹を壊して……」
「その話はしないでくださいー!」
チエル、リタイア。
「ファラオの呪いを受けるがよい!」
ツタンカーメンは羽ぼうきのようなものを持ちだして(本人曰く王笏)、熾月 瑛菜の体をくすぐりだした。
「ばか、やめろ! やめろってばっ、げほっ! ちょっ! あはは! やめろーっ!! 助けて先輩ぃー!」
数分後、瑛菜リタイア。
真奈美の残り生贄は1体(琳鳳明)だけになってしまった。
ラドゥ「いいだろう、マジック発動。『図書館引きこもり』だ。
このマジックによって私は次のターンを1回失うが、4枚のカードをドローできる」
ラドゥ、手札は5枚に。ここでターン終了。
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