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水着デートは刺激的?

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水着デートは刺激的?

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 美羽のところのバイトが終わったホイップ・ノーン(ほいっぷ・のーん)は、今度は藍澤 黎(あいざわ・れい)あい じゃわ(あい・じゃわ)のやっている屋台へとやってきた。
 黎は走って息を切らしたホイップの頭に手を置くと優しくなでた。
「そんなに慌てて走って……滑ってケガしたらどうするんだ!」
「ご、ごめんなさい」
「まあ、無事ならそれで良い。さ、屋台を始めよう」
「うん!」
 屋台の中に入ろうとするホイップの頭の上にじゃわが乗っかった。
「ホイップ殿ー! 久しぶりなのですー! 会えて嬉しいのですー!」
「私もじゃわさんに会えて嬉しい」
 ホイップは頭の上のじゃわを頭から降ろして、抱きしめた。それに応えるようにじゃわはホイップのデコルテに頭をすりつける。しばらく、そうしてからじゃわはホイップから離れた。
「あれ? じゃわさんも屋台やらないの?」
「ちょっと行くところがあるのですよ。すぐ戻るのですー!」
 そう言って、じゃわはまるで転がっているかのように走って行ってしまった。
 じゃわがいなくなると、黎と2人で屋台を始める。
 屋台はバーベキュー風の夏野菜の串焼きを扱っている。新鮮なコーンやししとう、オクラ、そして黎がカナンで開発に携わったというトマト『夜明けのルビー』を一口サイズに切って串に刺し、焼く。タレを作ったり、焼いていくのはホイップ、野菜を切るのは黎と分担し、屋台をまわしていく。
 ホイップの隣で野菜を切りながら、黎がホイップに話しかけた。
「最近、あまり会えなかったが、ちゃんと食べているのか?」
「うん、大丈夫だよ。ちょっと薬草とか取りに行ったりしてたから」
「そうか。それは借金の返済のためか?」
「うん、取ってきてほしいっていう依頼があったから行ってきたのと、自分のため……かな」
「危なくないのか? 危険なら手助けくらいならする」
「ありがとう。もし、危ないところならまたお願いするね」
「ああ。それと、何も言わずに遠くに行かないように。心配する人がいるのだから」
「うん!」
 そうして2人で会話しながら調理をしては、お客さんに料理を渡す。
 しばらくして、ホイップが辺りをきょろきょろと見回した。
「じゃわさん、遅いね。何かあったのかな?」
「そうだな……って、ホイップ殿、その手にしているのは?」
「えっ? 串に刺したコーン……って、ええっ!? いつのまにうなぎ!?」
 なんとホイップが焼こうと手にした串にはさばかれたうなぎが打ってあった。
 2人がちょっと視線を下げるとそこでこそこそと串を打っていたじゃわと目が合う。
「……何をしている?」
 黎に声をかけられ、じゃわは少し視線をそらした。
「じゃわはお野菜よりもこっちの方が好きなのです」
 流れるプールから捕ってきた2匹のうなぎに串を打ち終わると、ホイップの頭の上に避難してしまった。
 そんなじゃわを見て、黎とホイップは笑い出してしまう。しばらく笑ったあと、2人はまた仕事へと戻っていった。


 数時間後。
 バイトが終わり、片付けも済んだ。
「ホイップ殿、これを」
 黎はそう言うと、ホイップの耳にハイビスカスをさしてあげる。
「デート楽しんでくると良い。ただし、門限は19時」
「うん! 行ってきます!」
「じゃわも行くのですー!」
 こうしてホイップは耳にハイビスカス、頭にじゃわを乗せてエルの元へと向かったのだった。


ホイップのここの屋台でのバイト金額
500G