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半透明な少女の願い

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半透明な少女の願い

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   ☆★☆★☆★


 古城に1つの影が動く。

「何か残ってねぇかなー、換金出来そうな物」

 そう呟いたのは、誰よりも早く古城に着いた柊 恭也(ひいらぎ・きょうや)だった。
 光学迷彩とダークビジョンを使い、城の地下を歩いている。
 不明者だの幽霊だの、百合園のお嬢様方が解決してくれるだろ。俺は面白い物が無いか探してみるさ。
 そう思って開けようとした部屋の扉は、動かなかった。

「鍵がかかってんなら、力一杯蹴って……」

 一歩下がった恭也は言葉通り、扉を蹴破った。

「ぶち破ればいいじゃんよ」

 さて、何かねぇかなーと、部屋に踏み入れた筈の足は地に着く事は無く――


「またかあああああああ――!!」


 落ちる穴によって空いた穴に飲み込まれ、壊された扉だけが残った。




 ――少し前。


「返事が無い……ただの枯れ草のようだ」

 遠部 明志(えんぶ・ひろし)は城に向かいながらすれ違いに、枯れた植物を革手袋越しに触れながら言った。
 幽霊の出そうな所って、どこですかねぇ……地下?
 城に入った明志は地下への階段を見つけ、降りながら光条兵器を使った。その直後――


「またかああぁぁぁぁ――」


 と、フェードアウトする声が届いた。明志は急いで声のした場所へと向かったが、其処には壊れた扉があるだけで、誰も居はしなかった。

 ……誰も……?

 気配を感じた方へ視線を向けた明志の目に映ったのは、半透明な少女の姿だった。
 これは想像以上に――

「……エロい」

 明志は思わず呟いた。

「……え?」

 戸惑いを隠さない小さな声は、少女のものか。

「服や体とか体が透けているなんて……全裸よりも艶っぽいですよ!
 もっと良く見せてくれないですか?」
 (下着とか下着とか下着を!) ※心の声

 明志がそう言って少女に近付いた瞬間、その姿は壁に吸い込まれる様にして、消えてしまった――。