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瘴気の霧の向こうから

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瘴気の霧の向こうから

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戦のあと

「今回は本当に、感謝しております」
 ふかぶかと礼をする長老と、二人の少女、そしてその両親がアクリトに言った。アクリトも軽く会釈し、返礼する。闇が散った後、敵の再生力は目に見えて衰え、敵の正体を解明したこともあって掃討戦は難なく終わった。村人と、契約者達の傷を癒したのち、双方の代表者が相見えるという形になったのだ。
「いえ、こちらもいいサンプルが取れました。しかし……」
 アクリトは少し間を置いてから続ける。表情こそ普段通りだが、瞳には貪欲なまでの知識への渇望が見て取れた。
「これほど大規模な変異現象、ナラカの異常だけでは考え辛い。聞かせてはいただけませんか」
 長老は少し逡巡してから、傍らに立つ壮年の男性を見遣った。その男性は短く長老に何か耳打ちすると、長老は頷き、アクリトに向き直った。
「『あわいに住まう者』の名は聴かれましたか?」
「ええ。それと、『石』の事も」
 長老は再び頷くと、静かに話し始めた。
「ご想像の通り、奴めは次元を操る魔。次元に空けた穴から小さな魔力の結晶を送り込み、少しずつ穴を広げて現世への復帰を目論んでおります。ナラカへの大穴が空いたことにより、現世の『あいまいさ』が広がり、奴に付け入る隙を与えてしまったがために、おそらくこのようなことに……」
「それが滅ばぬ限り、また起きかねない、と?」
 アクリトの言葉に再び長老は頷いた。
「ですが、今回ほどの不覚は取らぬつもりです。我らもまた、奴が復活したその日のために修練を積む戦士の村。次代の結界師もまた、無事に帰ってきました」
 言いながら、長老は長髪の少女の頭を撫でる。むずがゆそうに受ける少女を、くすくすと短髪の少女が眺めていた。アクリトはそのやり取りを尻目に、少し顎に手を当てて考え、合点したようにうなずいた。
「日を置いて、また参ります」
「よろしいので?」
 訝る長老にアクリトは再び頷きで返した。研究者として、徹底的に根ほり葉ほり聴かれることを覚悟していたのだろう。少し拍子抜けしたような顔で長老はアクリトを眺めていた。
「今は我々も疲れております。あなた方も同様でしょう。まだ我々が協力できることはあるはず。その時にまた、必要な事はお教えいただけると考えております」
 長老は少し驚いた顔をしてから、にっと笑った。
「聡いお方だ。よろしくお願いする」
「いえ、こちらこそ」
 アクリトと長老は握手し、その場は分かれた。
 アクリトが撤収準備をする生徒たちの中に戻る際、ぼそりと呟く。
「さて、魔とやらの能力、そして結界師の能力、いかなるものか」
 既に目は、研究者のそれであった。


担当マスターより

▼担当マスター

宇賀野美也

▼マスターコメント

 初めまして、今回『瘴気の霧の向こうから』を担当させて頂きました。宇賀野美也、と申します。
 何分初めてのシナリオ担当でしたので、個人的に猛省するところが盛りだくさんではありましたが、非常に楽しくリアクションを書かせて頂けました。楽しすぎたがために猛省しなければならない部分もあるほどです。

 とにかく、シナリオガイドにて「アクリト」が「アリクト」になっていたのは猛省いたします。アクションにてご指摘くださった方、ありがとうございます。精進致します。

 根っからのバトルジャンキーですので、ついついアクションとなると分量が多くなりがちになり、今回も自分で自分の首を絞める結果になりました。とても楽しかったです。
 また、皆様のアクションも「ああ、この話はこういう話だったのか!」と新たな展開を持ち込んでくれるようなアクションも多く、一つ一つ読むのを楽しませて頂きました。ご縁がございましたらまた参加していただければ幸いです。
 少々公開が遅れてお待たせしてしまいましたが、楽しんでいただけましたら幸いです。

 ではまた次のシナリオにて! 皆様の参加をお待ちしております。

▼マスター個別コメント