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リアクション
シャンバラ宮殿の防衛 3
佐々木 弥十郎(ささき・やじゅうろう)は、
宮殿内の地図を記憶術で覚えて、警備を行っていた。
すると、廊下をきょろきょろと見回している人物がいる。
「そこの人、もしかして、迷子?
避難所なら……」
弥十郎が声をかけたとたん、その人物は身をひるがえし、
銃を手に、迫ってきた。
「女王のいる場所を教えろ!」
「うわっ!」
弥十郎は、銃撃をかわして、つぶやく。
「あぶないねえ。もう少しスマートなやり方だってあると思うけど?」
「黙れ、早く、教えろ、さもないと……」
「女の子を傷つけようとしてるやつに容赦はいらないよねぇ。
まあ、そんなことする気、最初からないんだけど」
闇黒死球が、グランツ教信者の身体を包み込む。
「うわああああっ!?」
「残念だが、君たちを進ませるつもりはないんだ。
準備はいいかい?」
佐々木 八雲(ささき・やくも)が、
他にも数人、潜入していたグランツ教信者を追い詰め、
ミスリルバットを振りかぶる。
「弥十郎の暗黒死球をホームランしますかねぇ。当たるのは君達だけど」
羅刹解刀で巨大化したミスリルバットに、闇黒死球がヒットし、
グランツ教信者は、全員まとめて窓の外に吹っ飛ばされた。
「よーし、場外だー!」
八雲がバットを持ってポーズを決める。
一方、そのころ。
セフィー・グローリィア(せふぃー・ぐろーりぃあ)も、
オルフィナ・ランディ(おるふぃな・らんでぃ)とともに、
グランツ教信者たちを見つけ、
一気に攻撃する。
「赤ちゃんが寝ています! お静かに!!
怖い悪夢は全て白狼が噛み殺すから、安心してお休みなさい……」
セフィーがつぶやき、
無力化したグランツ教信者たちを、
窓から落として捨てる。
「何かあったんですか?」
「何が?」
避難してきた一般市民が心配そうに聞くのを、
オルフィナは何事もなかったかのように返す。
その態度があまりにも平然としていたので、
本当だと思ったらしく、一般市民は戻っていった。
セフィーとオルフィナは、
そのまま、誰にも気づかれることなく、
侵入した敵を排除していったのであった。
一方、避難所の近くでは。
千返 かつみ(ちがえ・かつみ)が、
パートナーのエドゥアルト・ヒルデブラント(えどぅあると・ひるでぶらんと)とともに、
警戒を行っていた。
(市民を装って紛れ込んでいる不審人物がいるかもしれないからな)
すると、周囲をきょろきょろと見渡している者がいる。
「どうかしましたか? 避難所は向こうですよ」
エドゥアルトが声をかけると、その人物は走っていってしまった。
「エドゥ、向こうの廊下から行く!
このまま挟みうちだ!」
かつみが言い、不審人物を追っていく。
「さあ、追い詰めたよ」
エドゥアルトの炎の聖霊で、グランツ教信者は倒された。
すると、避難所の近くから悲鳴が聞こえる。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおっ!」
避難している人たちを勇気づけようと、
プロレスの興行をしていた、桜庭 愛(さくらば・まな)が、
グランツ教信者と戦っていた。
「不安に思うことはないよ。私たちは負けない。
プロレスラーは絶対に、悪には負けない。
みんなの応援があれば……」
「愛ちゃん!」
西澤 アカネ(にしざわ・あかね)が、サイコキネシスで、
相手を転ばせる。
「うおりゃあああああああっ!」
愛が関節技をかけて、グランツ教信者の動きを阻害する。
「こっちにもいたのか!
加勢するぞ!」
かつみが言い、エドゥアルトとともに、
グランツ教信者の拘束をする。
「どうもありがとう!
ほら、私たちは悪には負けないよ!」
愛は、怪我をしていたが、気丈に言って、ポーズを決める。
避難してきた市民たちから拍手が巻き起こる。
「本当にバカね。愛ちゃんはさ。でも、ステキよ。そういう馬鹿。
人のために自分を犠牲にするのをなんとも思わない。
そういう馬鹿だからこそ、
私は惚れたんだと思うわ」
アカネは、パートナーを見つめ、そっとつぶやいた。