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オークの森・遭遇戦

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オークの森・遭遇戦
オークの森・遭遇戦 オークの森・遭遇戦

リアクション


エピローグ

 施設へは、怪我を負ったネイトを連れ宇都宮、セリエが遅れて到着。
 これで新入生は無事、戦死者なく、皆が施設へ帰還することができたのだった。
 宇都宮は、森奥で受けとった短剣を騎凛に見せた。確かに、ナドセ部隊長のものだと言った。それは宇都宮に、持っておくようにと。
 短い弔いの儀と、その間に負傷兵は治療を行い、その後は演習の打ち上げ及びに戦勝の宴となった。





 施設を預かる大佐が前の壇上で話している。
「ヒラニプラ各地にある、他の分校と違ってここはあまり大きくないが……。その分、規律もあまり厳しくなかったりするぞ(これは言ってはいかんが。)
 今は存分にくつろぎ、飲み食いするがいい。随分、長い演習になったな。皆、ご苦労であった。
 それから、人数が、増えたな? 戦の匂いに魅かれてやってきた者がいるのだな」
 そうなのかも知れない。――ふと迷い込んできたように見える者、探索の帰りにふと立ち寄った者、でもそういった者が幾人もこの場に集まったのだ。幼い頃から戦場にいた者や代々戦士の家系の者も多いわけである。
 黒炎の横に腰かけている、薬草摘みに来ていたガーデァ。彼は少し複雑な心境でもあったが。
「私は本来は医の道を志しているんだ。親族とのこともあり、ここの衛生科に所属することになったが、戦地で学べることも多い」
 同じテーブルに就く、クレアが彼に語りかけた。


「個人の武功では、第一がネイト・フェザー(保健室にいるので欠席)。
 第二がヴィンセント・ラングレイブ。蒼学所属。
 第三は……あーる華野、と言いたいところだが、皆が真似して「ワルキューレの騎行」を踊らぬように。
 それから一色、デゼル、月島、キングを正面で止めた村雨、クロードか。
 ただキングと戦った者は、直接あたらぬよう注意されていた筈なので……無論、救護のため、やむないことであった、のだな」
「……仲間を助けるため、仕方なかった……」
「キングを止めなければ、勝利はありませんでした!」
「まあ多少律に背いても武勲を立てれば……という暗黙は……ごほん。わしもわからないではないがな」

 中央付近の席では、退路確保にあたった者達が、ロンデハイネ部隊長と集まっていた。
「クレーメック殿がとったこの進路はさすがだ。あとは禁猟区の展開の仕方を、これをこのように」
 軍議のようであった。
「ところで人工生命体のイレブン殿。飲食の方法や消化の仕組は我々と同じなのかな……?」

 殿で戦った者は、騎凛、アンテロウムと席を共にしている。
 皆の無事を、今回の勝利を、素直に喜ぶのは、犬神 疾風。が、少し酔っている気も。彼はまだ中学生だ。
「師匠〜……お酒は絶対に駄目ですからね(……普通に出してあるけど)」
 騎凛に付いていこうとする士。更に、何をか学ぶのか。
「……私はこれから着がえてきます」
「わしもだ。これから着がえてくる」とアンテロウム。

 もうお祭り騒ぎのような、ベオウルフ隊のテーブルの向かい側は獅子小隊の面々。何か、密やかに話し中である。
「さて。どうだったかな」
「12、でございます」「にこ。13なのじゃっ!」「フッ。7だ。って、ちょっと待て。絶対、数え方間違えてる!」「悪あがきであろう。ふふふ、イライザどうだった? 9? ……ちょっと、待て。おそらく、根本的に何かが」「間違っていないな。……私は、13。並んだぞ」「……」「ん? 数え忘れか??」「くーっ俺は11。でもルースとレーゼマンには買ったぞ」「……うぐぐぐ。だから俺はな」「私じゃないぞ。イライザだ。ちっ、とにかくこれで、ファルチェ、月島が並んだ」「くっくっく、17、だな」「……本当??」「何を。こればかりは、天が見ていたのだ。間違いようがない」「さあ、あとは前田 風次郎!」「…………!! ……15、15だっ。だけど俺はな、あのホヒィがいなければおそらく」
 レーヂエがやって来た。
「よう。何か、善からぬ話か? 楽しそうだな」
「まあちょっとした悪ふざけを。オークを討った数の競い合いなぞ」
「……本当に悪い遊びですよ。言い出した当人が結局勝つなど、これは目の前の酒も美味しくありませんぜ」
「ふふふ。はっはっは。俺は5匹斬ったぞ」
「……勝った」
「ん? どうした。それよりもっと楽しいことをやらんか。レーヂエ隊の先鋒だ。獅子の切り込み隊。真っ先に、トロルの群れに突撃させてやるぞ。楽しいぞ」
「まったく、それはさぞ楽しいでしょうな」
 タオルがわりのバンダナに剣道着。戦場と同じ格好で黙々と食する風次郎。
 隣に座ってがつがつと貪るレーヂエ。
「風次郎だったな。これからもっと上手い飯が食えそうではないか」

 会場を出たところで、遠くにまだかすかに燃えている森の方を眺めているのは朝霧 垂。
 着がえてきた騎凛とすれ違った。
「教官……出過ぎた真似をしてすまなかったな」
「朝霧さん。いいのよ。これからも一緒に戦いましょう。それに、今夜はご一緒に、飲みましょうね」
 ドレスを着ている騎凛だったが、ナギナタはそのままだった。
「……??」

 話を続ける大佐。
「我々のところは、重兵器の持ち込めない地域や、辺境に接し、魔物や賊の討伐にあたることが多い。
 新入生の諸君は、本校に戻り、また他の色々な分校での任務に就くだろうが、我々の隊への、貴官らの積極的な参加を期待している。まあ中央にいるより、個々の戦果は多く望めるぞ、と言っておこうかな。剣を振るいたい奴も歓迎だ。まあ、俺自身が大軍を率いてやってるよりは、自分で突っ込む方が好きな性質ということもあるが」
 アンテロウムは、ベオウルフ隊のテーブル(いちばん派手に騒いでいる)に腰を下ろした。
「おぬしらみくびっておったわ。最近の若い者はわからんが、とにかくわしの盃も受けてくれ」
 騎凛が、代わって壇上に着いた。
「また、現在臨戦体制にあるヒラニプラ北部等に、兵団や兵器が集中しているため、私たちの地域は兵力が不足しています。ですので、教導団以外の学校の方や、他種族も、積極的に受け入れているというのが、現状です。皆さん、今後もよろしくお願いします。
 では……大佐?」
「おう。今から、新入生諸君への、入団歓迎会に移る。他校生も含めてだぞ」
「あの、それは最初の軍事演習のときに……」
「いや。あれは違うぞ。軍隊式の歓迎会というのをおまえ達に教えてやらんと」
「うふふ」

 ケンリュウガーとシャンバランは、そそくさと会場を出ようとした。が、封鎖されている。

「昴氏どうする。やばいぞ。逃げるかな……?」
 いちばん後ろの席ではしゃいでいた、青 野武。
「青氏。いやな予感……でも僕はちょっと楽しみでありますぞ」
「えー、名簿でいちばん上の……青、いるか? ちょっと来い」
「……!!!!」
「うん。初陣での勝ち戦。撤退戦、死守すべき目標。そして記念すべき(?)歓迎会。……これで僕の『初体験』は完璧さ」


 ――その頃。国頭 武尊は、今回の褒章を頂くとさっさとヒラニプラを後にし、もうパラミタの大荒野を流浪っているのだった。(了)

担当マスターより

▼担当マスター

今唯ケンタロウ

▼マスターコメント

 実戦演習、お疲れ様でした。そして参加してくださった皆様、ありがとう御座いました。
 改めまして。シャンバラ教導団のイマユイです。
 今回私にとって初めてのシナリオであり手探りもありましたが、皆様のアクションと様々に反応し合いリアクションを導けたのではと思います。如何でしたでしょうか。
 また今回、物語全体の流れにおいてもまだ初期的な戦いということもありますし、難易度はかなり低めに設定し、アクションは積極的に採用させて頂きました。セリフやかけ合い等も楽しませて頂き、それらがとくに用意されていない方も含め、わりと踏み込んだ描写をさせて頂いたつもりでいます。文量もかなり多めとなっています。もし誤表記他、描写の不適切等が有りましたら、どうぞお知らせください。
 成否や登場回数の多さでなく、アクションがシナリオのなかにあった幾つかのきっかけと作用し合って物語が生まれる感触。そこでキャラクター達が実際に動き出す感覚。それをもっと求めていけたらなと思います。(案外、行為としては失敗だったり、カッコ良くなかったりするものが、生き生きとしていたり。)


 それでは、今回このシナリオでの判定に関わる部分や、ポイントだった点等を以下に記しておこうと思います。
・ まずオーク・キングなのですが、これについてのみは判定は厳しめで、MC・LC含め、最低10人の攻撃があり、連携が上手くとれていることが、打倒の基本的な条件となっていました。勿論、例外的なアクション(予想も付かず且つ的確な)が来た場合、何らかの成功はあり得ると思います。
・ オーク・キングといる新手のオーク団は、「豪壮な装備を身に纏った一団」とあるように、森のオークよりレベルの高い者達で、キングの側近にあたる特に手練れの数匹も想定していました。ここに目を向けてアクションを書いてくださった方もいらっしゃいました。
・ それから、「軍用バイク」「小型飛空艇」を使ったアクションを書いてくださった方も何名かいらしたのですが、森のなかでの乱戦になるので、基本的に今回は登場させないものとしました。(もちろん、アクション自体は採用し、軍用バイク・飛空艇を使用しない形でそのアクションを描写する方向で書いています。)確かにアイテムとして所有している以上、使える筈では、との意見もあると思うのですが、たとえばセイバーでも剣が効かない相手ならそういう場合のアクションの取り方があるでしょうし、今回のような場合は、移動用アイテムを所持しているがそれの使用し難い場所でのアクションの取り方、ということになるかと思います。が、シナリオ段階でその判断基準となる描写が不足していたと考えると、シナリオの反省点だとも言えます。
・ リアクションに彩りや趣向を与える余興を上手く盛り込むのは、是非歓迎したいです。今回、そういったPCのアクションに対し、このゲームの能力値とTRPG的手法とを組み合わせた判定をしてみた箇所がリアクション中に有るので、探してみてください。
 その他
・ キャラ的に、死にキャラに十分なり得たNPC・レーヂエとの掛け合いを描いてくださった数名の方。意外でした、面白かったです。
・ 初回のボーナスぽく、称号を付与させて頂きました。今回は各グループで活躍した証しのようなものですので(前回教導団シナリオで称号を得ている部隊に関しては今回はそのまま)、今後、固有の称号を獲得できるよう更に活躍を目指してください。今回も、特異な行動を見せてくれた幾名かには、個人での称号を付与させて頂きました。

 ご参加くださったかた、リアクションにお付き合いくださったかた、今後もどうぞよろしくお願い致します。そして皆様の御参加、お待ちしております。ではまた、バトル系シナリオで!