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ツァンダ夏祭り☆!

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ツァンダ夏祭り☆!

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◇第六章 ぼくのかんがえたすごいさくせん ◇

 ――場所は盆踊り会場。激しい音楽の後のゆるやかなメロディの太鼓の鳴り響く時間帯。皆は静まり返り、各々のパートナーとチークタイムを踊っていた。
「ベア、どうしたの?」
 マナ・ファクトリはベア・ヘルロットの僅かな変化に気づいたようだ。もちろん、マナも気づいてはいたが、気づきたくはなかったらしい。他に何人かの人々も動き出している。

 光臣 翔一朗
 藍澤 黎
 フィルラント・アッシュワース
 ウィング・ヴォルフリート
 宮辺 九郎
 皆川 ユイン
 佐野 亮司
 時枝 みこと
 フレア・ミラア
 ルーク・クレイン
 シリウス・サザーラント
 柊 まなか
 シダ・ステルス
 影野 陽太
 樹月 刀真
 漆髪 月夜
 クルード・フォルスマイヤー
 ユニ・ウェスペルタティア
 六本木 優希
 アレクセイ・ヴァングライド らがそうだ。

「わりぃ、マナ。 揉め事が起こっちまったみたいだ。いつも道りでいくぞ!」
「……仕方がないわね。せっかくのお祭りなのに……専守! 貴方を守る!」
 みんなが動き出すのは無理はなかった。

 なんと、このドサクサに紛れて、パラ実のOBであるスリ集団【鎌童魔(カマドウマ)】の連中が三十人ほどでスリを行っていたらしい。しかし、ここは蒼空学園の生徒と薔薇の学舎の生徒がワンサカいるお祭り会場だ。命は欲しくないのだろうが? いや、平仮名しか書けない【鎌童魔(カマドウマ)】の連中がそんな事を考えているとは思えない。

 この空気は喧嘩場……喧嘩の似合う男はやはりこの男である。
「俺と喧嘩をしてくれる言うンは、何処のどいつじゃあッ!! 今日は喧嘩祭りじゃあッ!!!」
 やはり、翔一朗にラブコメは似合わないのかもしれない。
「御影流の神速の剣【閃蒼剣】!!」
 神速の動きでウィングは奴らの喉元に潜りこんだ。そして、二刀の刃で敵を倒していくとそこに翔一朗の姿が見えた。
「お、お前は!!!?」
「あんたはウィング・ヴォルフリート!? ここであったが百年目じゃのう!!!」
「わわわっ、今はそれどころじゃ!?」
「手ごたえのない敵より、強敵を望むのが俺の生き方じゃあッ!!」
 翔一朗がウィングに襲い掛かると、ウィングは応戦するので精一杯になってしまう。
「お灸とは貴様等へのレクイエムだと思うがよい!!」
「あぁ、お祭りももう終わりやねぇ。やってまえ、黎!!」
 酔っ払いの対応、けんかの仲裁、揉め事の解決などはお手の物、黎が奴らの動きを封じると、フィルラントは黎の応援を開始した。
「フィルラントも手伝ってくれるとありがたいのですがね……」
「兄ぃ! この戦いに勝ったら告白してやる!!」
 ドキッとするユインの声援に九郎は思わず体勢を崩し、敵の拳を食らってしまった。だが、効いてないとばかりに威圧的な雰囲気を放ちながら言うのだ。
「いい度胸だ。喧嘩のイロハを教えてやるよ!!!」
「兄ぃ! 頑張れ!!」

「貴様らぁぁ!!! 俺は闇商人じゃなくて、自称パラミタ一の商人だぞ!!! 食らえ、ワサビ入りのクレープを食らえ!!!」
 売上金を盗まれた亮司はキレていた。このワサビクレープのブームがいずれ来るとはこの時、誰が思っただろうか?
「俺はこんな事で簡単に諦めたりはしない! 食らえ、ヒートブレイド!!」
「はーっ、せいや! ドンドコドンドコ!!」
 みこととフレアのコンビは他の人に危害が加えられないようにサポートしている。フレアはお祭り気分が抜けていないようだ。
「わかってる……もう俺の虜、なんだよね? 脱がしたくなるな……」
「こんの万年発情吸血鬼! 時と場所を考えやがれぇッ!!」
 こんな状況なのにナンパをしているシリウスに対して、ルークは怒りの鉄拳を振り下ろした。しかし、シリウスはスルリと避わしてしまう。
「りんご飴は絶対買うし、集合写真も絶対に撮るの!!」
「まなかがいいなら、それでいいが……後でだな。友達を救うのが先だからな」
 まなかを必死に護ろうとするシダの態度に、まなかの小さな胸がキュンとなる。
「シダ……」

「戦っても、戦っても強くなれない人だっているんだ!!」
 陽太はカマドウマの連中にボコボコにされている。
「何をやってるんでしょうね、俺は」
「刀真……武器が本に化けた」
「何をやってるんですか!? 月夜ォッ!!!」
 刀真と月夜は何かをしている。
「……【閃光の銀狼】の爪牙……見せてやろう……その身に刻め!」
「……クルードさん、今日は本当にありがとうございました。凄く楽しかったです。またいつか、私とこうして二人でお祭りに来てくれますか?」
「……今はそんな事を言う時では……ないが……機会があればな……」
 クルードはそう言って、剣を振るった。

「あぁ〜、自分はこんな事をする為にお祭りに来たわけじゃないのに……」
「ベアには私が居るでしょ、駄目なの?」
「駄目じゃないけど、俺は携帯の友達登録二桁を目指してるんだよな」
「クスッ、さっき、後輩の女の子達が手紙を持ってきてたわよ。ちょっと嫉けるけどね……」
「嘘っ!? それじゃあ、頑張るぜ!!!」
 ベアの動きが活発になっていく。
「アレクさん、危ない!!」
 アレクセイの敵の凶刃が襲う。だが、アレクセイは優希の声に反応し、敵の攻撃をかわすとエンシャントワンドをその醜悪な顔面に叩きつける。
「大丈夫だ。俺様がユーキが成長するまで死なねーよ」
「そ、そう……」
「どうした?」
「心配したの……本当に……」
 ギュッとアレクセイの袖を掴む優希に対して、彼は思った。
(またこんな風に一緒に楽しめる時間が出来る様に頑張らねーとな……)

 ――その頃、蒼空学園が存在するツァンダに巨大な振動を思わせるような祝砲があがった。
 それは一発、二発と続き、辺り一面に降り注ぐ光の雫を降らせていく。いつもならこの時間、蒼空学園の校舎内には誰も居ない。しかし、今日は違った。一際、大きなざわめきの後の静寂、そして、再び大きな祝砲があがるのだ。
 ドドドドドォォーーーーン!!☆
 そして、戦いは終焉を迎える頃に花火も終わり、お祭りもフィナーレを迎えたようだ。