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少年探偵と蒼空の密室 A編

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少年探偵と蒼空の密室 A編

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ANSWER 20&2 ・・・ 師弟&暗殺者の問題 ニコ・オールドワンド(にこ・おーるどわんど) 茅野 菫(ちの・すみれ)斎藤 ハツネ(さいとう・はつね)

「マジェスティックの事件では、ノーマン・ゲインの名を騙る者が複数人からんでいる。結果として、いまや、それら全員とメロン・ブラックは戦っているのだよ」

 同じ日のほぼ同じ時間に、マジェスティックのそれぞれ別の場所で、斎藤ハツネたちと、ニコ・オールドワンド、茅野菫らは、ノーマン・ゲインを名乗る人物から、似たような言葉をきいていた。

「ノーマンもメロン・ブラックもどうでもいいんだよ。俺たちと手を組むなら、俺たちの身の安全を保証しろ。つまり、協力者に背後から殺されるなど勘弁だ、という意味だ。そして、大量に「殺し」「壊し」のできる仕事を回せ。わかっていると思うが、戦いたいわけじゃない。殺したいだけだ。奇襲、不意打ち、待ち伏せ上等なんだよ。俺たちを裏切ったら、相応の覚悟はしてもらう。俺は、粛清はそれこそ得意分野なんだ。くくく。どうだい、俺と仕事の約束はできるかい」
 ハツネのパートナーの元新撰組諸士調役兼監察の大石鍬次郎(おおいし・くわじろう)は、ジョン・ドーことノーマン・ゲインに条件をだした。
「・・・別にハツネは、誰を壊してもいいの。でも、鍬次郎の言うことはきくの」
 今日一日の「仕事」で血に汚れたドレスのまま、ハツネはニタリと笑う。
「条件は飲む。きみらとこちらの共通点は、敵が同じだということだ。きみらには、こちらが把握したメロン・ブラックの親衛隊の位置を逐一連絡しよう。そして、我々と協力して彼らを殲滅する。それでどうだ」
「あんたらがいてもいなくても、俺らは殺るぜ。親衛隊以外でも、殺りたいやつは殺るからな。邪魔をするなよ」
 握手もなく、同盟は成立した。

「なんか違う気がするのよねえ。あんた、本当にノーマン・ゲイン?」
 茅野がいきなりおかしなことを言いだしたんで、僕、ニコ・オールドワンドは、こいつを殺そうかと思ったよ。
「せっかくだけど、あんた、私が知ってるノーマンと違うわ。今回の話、私はパス。じゃあね、ニコ。せいぜい、がんばってね」
 空飛ぶ魔法を使って飛んでいった茅野に、先生は、なにもしなかった。だから、僕もただ見ていたのさ。
 僕らが相手にするほどの得物じゃないってことだからね。
「僕は、先生をメロン・ブラックになんか殺させません。探偵たちの捜査もメチャクチャにしてやります」
「頼もしいな。私は、この異形のものたちとロンドン塔へむかう。きみは、市内にいて、ここの状況を私に伝えてくれるかい」
「はい。使い魔の猫と鴉をロンドン塔に放って、そちら方面の情報も収集して、お伝えします」
「この連携は、きみに利が少ない気がするのは、私の気のせいかな」
 先生は、生徒の僕にこんなことを言ってくれる。僕のことを考えてくれてるんだ。
「いいえ。勉強になります」
「キシャシャシャ。お勉強ですかぁ。ほうー」
 パートナーのナイン・ブラック(ないん・ぶらっく)が耳障りな笑い声をたてた。ナインは、うるさいよ!
「では、ニコくん。よろしくな」
「はいっ」
手下たちと去ってゆく先生を見送って、さっそく、ナインに作戦を持ちかける。
「ねえ、ナイン。スパイになれよ。弓月流に言えば、「ミッション・インポシブル」いや「インファイナル・アフェア」かな」
「なんだそりゃ、さっそく、うさん臭いぜ。キシャシャシャ」