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聖服機甲バスガイガー!

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聖服機甲バスガイガー!

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第一章 



「今日は一日空京ツアーに参加してくれてありがとう。バスガイドの朝霧 垂(あさぎり・しづり)だ。よろしく頼む」
「よろしくー!」
 バスガイドには合わない丁寧ではない口調で挨拶する垂にバスに乗っている観光客がノリノリで反応する。まだツアーが始まったばかりだというのに観光客のテンションは異様に高かった。
「さぁ、どうぞ。あ、こちらの食べ物はいかがですか?」
「次は誰が歌うかの? いなければわしが歌うじゃけんのう」
 そんな観光客達の中心になっているのが、みんなに飲み物やら食べ物を振舞っているガートルード・ハーレック(がーとるーど・はーれっく)とすでにカラオケなどで盛り上がっているシルヴェスター・ウィッカー(しるう゛ぇすたー・うぃっかー)の二人だった。
「うむ、賑やかなのは良いがあまり羽目を外し過ぎないようにな。度が過ぎる場合は俺が止めなきゃならないからな」
「分かっていますよ。あ、飲み物どうぞ」
「おぉ、すまないな」
 ハーレックは垂にも飲み物を提供する。垂はその飲み物を軽く口にして顔をしかめる。
「なんだ、もしかしてこれは酒か?」
「はい。せっかくですから盛り上げないと」
「まぁ、その心遣いは嬉しいが、最初からそれだと後でつぶれるぞ?」
「楽しければ良し! ささっ、親分も歌うじゃけんの!」
 会話に入ってきたウィッカーはマイクをハーレックへと渡す。
「それでは、僭越ながら一曲……」
 ハーレックはマイクを手に歌い始める。お客達も歌に合わせて合いの手を入れたりとノリノリである。
「では次は、先生どうぞ」
 歌い終わるとマイクを再びウィッカーへと渡す。
「親分の頼みとあらば!」
 ウィッカーも歌いだす。
「さぁ、朝霧さんもどうぞ」
 ハーレックがもう一つあったマイクを垂へ渡す。
「そうだな……よし!」
 垂もハーレック達に負けじと歌いだす。どんどんヒートアップしていくバス内。カラオケの後はゲームをしたりと観光ツアーとは思えないほどの盛り上がりを見せる。
「みんな! 今日はこの調子でとことん楽しんで行ってくれよ!」
「いえーい!」
 こうして、ハイテンションのまま一日ツアーが幕を開けた。



 一行を乗せたバスは最初の観光地、シャンバラ宮殿へと到着した。
「みんな、ちゃんとついて来てるかー?」
 ガイドとして先頭を歩くのはシリウス・バイナリスタ(しりうす・ばいなりすた)
「さぁ、到着だ。ここは……えーっと」
『ここはシャンバラ宮殿ですわ』
 シリウスが言葉に詰まっていると、最後尾にいるリーブラ・オルタナティヴ(りーぶら・おるたなてぃぶ)がさっとカンペを掲げる。
「そうそう、シャンバラ宮殿だ」
『地上三百階の高層建築物であり、その巨大な塔は大都会空京の象徴になっていますわ』
 ささっと次なるカンペを掲げるリーブラ。
「えーなになに……。このシャンバラ宮殿地上三百階の高層建築物であり、その巨大な塔は大都会空京の象徴になっているんだぜ」
「あの、質問良いですか?」
 レキ・フォートアウフ(れき・ふぉーとあうふ)がシリウスに質問する。
「お、良いぜ」
「シリウスさんはシャンバラ宮殿の中は見たことありますか?」
「いや、自慢じゃないが入った事はない!」
「本当に自慢じゃありませんわ……」
 シリウスの言葉に呆れるリーブラだった。
「あははは……。あ、そうだ。シリウスさん、良かったら記念写真撮りませんか?」
「良いねぇ! ほら、リーブラも来いよ」
 最後尾にいたリーブラを呼ぶシリウス。
「わたくしも……ですか?」
「ならば、わらわが撮ってやろう」
「お願いね」
 レキが、カメラをミア・マハ(みあ・まは)に渡す。
「ほれリーブラ。にっこり笑うのじゃ」
「あ、は、はい。こうですか?」
「リーブラもっと自然な笑顔だ!」
「ぅ〜……こ、こうですか?」
 ミア、シリウスからの指摘を受け、ニッコリと笑顔を作るリーブラ。
「うむ、ではゆくぞ。チーズじゃ」
 ミアの言葉の後パシャっとカメラのシャッター音が鳴る。
「よかろう。ほれ、カメラじゃ」
「ありがとね。ミア」
「今度はミアさんがどうぞ。レキさん、カメラを貸していただけますか?」
「はい、お願いしますー」
「では、お言葉に甘えるとしよう」
 今度はリーブラがカメラを持ちミアがシリウス達のほうに加わる。
「……」
 ミアの手がさりげなくシリウスのスカートの方へと伸びていく……が、レキにその手を掴まれた。
「もう……いたずらはダメだよ」
「ただのスキンシップではないか」
「それでもダメ」
「むぅ、しょうがないのぉ」
「ん? どうした二人とも」
「いえ、なんでもないです」
 シリウスは首を傾げるが、まぁ良いかとカメラのほうへと視線を戻す。
「お二人とも、よろしいですか?」
「はーい」
「よいぞ」
「ではいきます。はい、チーズ」
「ひぅ!」
 シャッター音と同時に声を上げたのはレキだった。
「ど、どうした変な声を上げて……?」
「い、いえ何でもないです……。ミアちょっと」
 レキはミアを少し離れた場所に呼び出す」
「なんじゃ?」
「なんでボクにやるのさ!?」
「いやなに、あそこでシリウスさんにやるなどお決まり過ぎてつまらんじゃろう。だからあえて身内をじゃな……」
「そもそもやろうとしないの!」
「あの、お二人ともどうかなさいましたか?」
 二人のやりとりが気になったのかリーブラがカメラを持ってやってきた。
「はぁ……。いえ、なんでもないです。あ、写真ありがとうございます」
「あ、はい。ではこちらを」
 レキはリーブラからカメラを受け取る。
「取り直さなくても大丈夫ですか?」
「はい。これも良い思い出かなって」
「そうですか」
「おーい、話は終わったか?」
 少し遠くで見ていたシリウスもやってきた。
「はい。大丈夫です」
「よっしゃ、じゃあ次の場所へいくぞ」
 シリウスの合図と共に次なる目的地へと向かった。



「こちらは起動エレベーター天沼矛ですわ。このエレベーターは地球上にある都市、海京に通じており、両世界の物流の大動脈となっておりますわ」
 ティセラ・リーブラ(てぃせら・りーぶら)が天沼矛について説明する。
「では、少し自由時間といたしますわ。ゆっくりご覧になってください。では解散ですわ」
「ティセラさん。おつかれさま」
 みんなが思い思いに行動を始めたところを見計らって宇都宮 祥子(うつのみや・さちこ)がティセラに声をかける。
「あら、祥子さん」
「いつも任務だったティセラさんがこういうアルバイトをやっているなんてなんか嬉しいですね」
「たまにはこういう事も良いものですわね。ちょっとした息抜きになりますわ」
「ふふっ、そうよね。たまにはゆっくりしないと」
 ティセラの言葉に微笑む祥子。ティセラも微笑むがすぐに顔を引き締める。
「でも、仕事であることは変わりありませんわ」
「もちろん、分かっているわよ。だから……バスガイドのティセラさん。良ければ一緒に記念写真とってもらえませんか?」
「そうね。そのぐらいなら良いですわ」
 この後も自由時間いっぱいまでバスガイドの範囲でティセラを連れまわす洋子。
「ふぅ、楽しかったよ。ティセラさん」
「こちらも楽しめましたわ。さぁ、みなさん。自由時間も終わりですわ。バスに乗ってください」
「こういうことがあったらまたよろしくね」
「えぇ。こちらこそお願いいたしますわ」
 祥子はそういってバスに乗り込んだ。ティセラも全員乗った事を確認して自分もバスへと乗り込むのだった。


 みんなの乗ったバスは次なる目的地、シャンバラ宮廷料理の用意されている空京ホテルへと到着。
「みなさん、こっちですよー」 
「あまり列を乱さないようにお願いします」
 小鳥遊 美羽(たかなし・みわ)ベアトリーチェ・アイブリンガー(べあとりーちぇ・あいぶりんがー)が観光客をホテルのホールへと案内する。ホールには様々な料理が並べられていた。
「これがシャンバラ宮廷料理です! 沢山ありますのでゆっくり味わってくださいね♪ では解散ですー」
 美羽の言葉に我先にと観光客達が料理へと向かっていく。
「走ると危ないのでゆっくり慌てないでお願いします」
 小走りしているお客にベアトリーチェが注意を呼びかけていく。
「バスガイドも大変だな……。お、これはいけるな」
「そうだね……。あ、刀真それ貰うね」
「おい、わざわざ俺のところから取るなよ……」
 樹月 刀真(きづき・とうま)漆髪 月夜(うるしがみ・つくよ)の二人は料理を食べながら二人の仕事ぶりを見ていた。
「あ、刀真君に月夜ちゃんだ♪」
「こんにちわ、刀真さん月夜さん」
 一仕事終えた美羽とベアトリーチェも刀真達の姿を見つけ声をかける。
「よっ、二人ともお疲れさま」
「お疲れさまー」
「ありがとー♪ どう楽しめてるかな?」
「もちろん」
「私もだよ。このデジタルビデオカメラで色々撮らせてもらってるよ」
 月夜は手に持っているデジタルビデオカメラを二人に見せる。
「二人の仕事っぷりも撮ってあるから後でみんなで見ようね」
「うん! もちろんだよ♪」
「お前らも腹減ってるんじゃないか? ほら、食べようぜ」
 刀真は、皿に料理を取って二人に渡す。
「わー、ありがとう♪」
「ありがとうございます」
「気にするな。しかし、本当に美味いよなぁ……これ」
「そうだよね。あ、刀真貰うね」
 そしてわざわざ刀真の皿から料理を頂く月夜。
「だから、なんで俺の皿から取るんだよ……」
「まぁ、良いじゃない」
「別に良いけどよ……」
「こういうの毎日食べられるって良いよねぇ……」
「そうですね。どれもとても美味しいです」
 美羽の言葉に頷くベアトリーチェ。
「まぁ、偉くないと食えないから美味くないとな」
「そうだね」
「ということだ。食べられるだけ食べておかないと損だな。ガンガン食うか」
「良いねそれ♪」
「私も賛成だよ!」
「私もです」
 四人は、食べられるだけ様々な料理をたらふく食べていった。