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オオカミさんにご用心

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オオカミさんにご用心
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リアクション

 樹月 刀真(きづき・とうま)は男湯の露天風呂で1人考え事をしていた。
(夏に行ったプールでは悪いことをしたよな……。いや、俺だって別にあいつらとそういう事になりたくないわけじゃない。むしろなりたい!!)
 刀真は力強く拳を握りしめた。
(でも……)
 拳の力を緩める刀真。
(一線を越えたら……あいつらに溺れちゃいそうで……。それでも良いって言われそうだけど、それは……自分が許せなくなりそうだしな。俺が手を出すのはあいつらの想いを受け止めてちゃんと応え続けられるようになってからだな……)
 刀真は温泉の縁に頭の乗せ、ぼんやりと月を眺めた。
 そこへやってきたのは呼雪だった。
 しばらく会話を楽しむ2人。


 一方その頃、女湯では漆髪 月夜(うるしがみ・つくよ)がぷりぷりと怒りながら体を洗っていた。
「私と刀真のことも起こしてよ! もっと早くに温泉入る予定だったのに」
「なんだ? 気持ちよさそうに寝ていたではないか。それを起こしては可愛そうだと判断しただけのこと」
 隣で体の泡を流しながら、玉藻 前(たまもの・まえ)がそう答えた。
「しかも2人で飲んでるし」
「そうぶーたれるな。ふむ……」
 玉藻はしげしげと月夜の体を眺める。
「胸も小さいから心も狭いのではないか?」
「心狭くないモン! 胸は関係無いでしょ!?」
「仕方ない、我が特別に胸が大きくなるようにマッサージをしてやろう」
「ま、マッサージ!? い、いい、いい! けっこうです!」
「まあ、そう言うな。自分でいうのもなんだが、我はうまいぞ?」
 玉藻は背後から月夜の胸をわしづかみにする。
「ちょっ……!!」
 月夜は止めようと、玉藻の手を掴んだが、玉藻に胸を軽く揺さぶられただけで力が抜け、失敗に終わってしまった。
「にゃ〜……いや、ダメ……んっ!!」
「ふふふ……良い声が出るではないか」
 玉藻は抵抗が弱くなってきた月夜の胸をさらにマッサージする。
 その様子をお湯に浸かってまったりと見ていたのは封印の巫女 白花(ふういんのみこ・びゃっか)だ。
「2人とも仲良しですね〜」
 お酒が入っているからか、のほほんとしたものである。
 玉藻は後ろからに飽きたのか立ち上がると、月夜の前に回り込む。
「さあ、ここからが本番」
「いやいやいや! もう良いから!」
 月夜は慌てて胸をガードする。
「…………ぎゃーーーーー…………うごっ!!」
 そこへ、落ちてきたのは隣の男湯にいたはずの刀真だ。
「いってー……って、ん!???」
 刀真はきょろきょろと辺りを見回し、ここが女湯であることを確認した。
「えーっと……失礼します」
 どうして良いのか分からず、とりあえず下腹部を手で押さえながら、そんな挨拶をする。
「失礼しますじゃないでしょっ!!」
 月夜は刀真に真空波を放つ。
 真空波は刀真のみぞおちにクリーンヒット。
「……みんな綺麗だねぇ……がくっ」
「き、綺麗だなんてそんな……もうっ!」
 刀真の言葉に照れる月夜。
「綺麗? 当然だろう? なんなら触ってみるか?」
 玉藻は自分の大きなバストをたぷんと待ちあげて見せた。
「綺麗ですか……? そういうセリフはプールで抱き着いた時に言ってくれればいいのに。あ、もちろん今言われても嬉しいですよ?」
 いつの間にか白花も温泉から上がって、刀真を覗き込んでいた。
「……って、なんだ寝たのか? 仕方ない部屋まで運んでやるか」
 反応がないと思ったら、どうやらさっきの真空波で気絶してしまっていたらしい。
 玉藻の言葉に2人とも頷くと、右手を月夜、左手を白花、足を玉藻が持ち、移動を開始した。
「なんだ……ちゃんと女を感じていたんだな」
 玉藻の視線を追う2人。
 そこには隆起した刀真自身が……。
「照れるし……なんか恥ずかしい」
「えっと……反応してくれてるってことは私たちに興味がないってわけじゃないんですね」
 頬を染める月夜と、嬉しそうにする白花。
 その様子をによによと眺める玉藻がいたのだった。