葦原明倫館へ

空京大学

校長室

天御柱学院へ

オオカミさんにご用心

リアクション公開中!

オオカミさんにご用心
オオカミさんにご用心 オオカミさんにご用心 オオカミさんにご用心 オオカミさんにご用心 オオカミさんにご用心

リアクション

 部屋の露天風呂に神崎 零(かんざき・れい)と一緒に来ていた神崎 優(かんざき・ゆう)はさっさと体を洗うと、零より先に温泉の中に入ってしまった。
(もう夫婦だけど……やっぱりまだなんか恥ずかしいな)
 優は気恥ずかしさからか左手でパタパタと仰いだ。
 零も体を洗い終わると、持ってきたバナナクリップで髪をまとめ、静かに温泉の中へ入る。
「……優」
 そう言うと、零は体をぴったりとくっつけ優の横に座った。
「えっ、あっ、えっ!?」
 優は真っ赤なゆでだこのようになり、顔を背けてしまう。
「どうしたの優? 顔が真っ赤だよ?」
「だ、だって仕方ないだろ。零と2人きりで……その……嬉しいけど、恥ずかしいんだから」
 それを聞くと零は少し微笑み、優の背中にぴったりと抱き着いた。
「れ、零!?」
「聞こえる? 私の胸の鼓動……」
 そう言われ、零の胸が早鐘を打っているのを感じた優。
「あ……」
「私も嬉しい。こうやって優と一緒にいられるんだもん……。でも、私だってすごくドキドキしてるんだよ……」
「ごめん、零」
 優は素早く後ろを振り返った。
 そこには自分と同じく顔を真っ赤にした零。
「零……」
 愛しさを込めて名前を囁くと、零の唇に自分の唇を重ねる。
 触れるだけのキスだが、互い愛情が十分伝わった。
 顔を離すと優はやはりまだ顔を赤くしているが、さっきみたいに顔をそらしたりはしない。
 零はそんな優に柔らかく笑いかけた。
 そして、今度は優が零の隣に座る。
「月が綺麗だな……」
 優から零の手を繋ぐ。
「うん……」
 零は繋いでくれた手を握り返した。
「また、来年も一緒にこうやって月を見たいな」
「ふふ、私も今そう思ってたよ」
 2人は顔を見合わせると、にっこりとほほ笑んだ。
「こんなにも嬉しくて、幸せ……」
 零は静かにそう言うと、優の肩に自分の頭を乗せた。
「ああ……そうだな。この幸せは絶対に守るよ」
「うん……。私も……」
 肩の上に乗っている零の頭をぽんぽんと叩く優。
「ん?」
 なんだろうと、顔を上げた瞬間、優は零にキスを落とした。
 そんな2人だけの幸せな時間がゆっくりと流れていくのであった。