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リアクション
「チクショーっ! 俺の何が悪いってんだ! べらんべーッ!!」
国頭 武尊(くにがみ・たける)は参拝するために長い行列に並んでいた。
そしてようやく自分の順番が回ってきたと思ったら突然大きな声が聞こえてきたので後ろを振り返る。
するとなにやらおかしな事が起こっていた。
「ああん? 何だアイツ?」
どこから出現したのかわからないが巨大な熊のゆる族が暴れまわり、境内はパニックに陥っていたのだ。
後ろにあったはずの長い行列もいまは崩れ、逃げようとする人と人とがぶつかりあっている。
「何だ何だ何だ何なんだ? 初詣で混雑してる神社で騒ぎなんか起こしやがって……」
「おい、武尊! なんか怪しい奴を見つけたぜ! あそこを見てみろ!」
そういって遠くを指差すのは三毛猫姿のゆる族猫井 又吉(ねこい・またきち)。猫の目を鷹の目のように変えて見つめる彼の視線の先には、小さな魔女ミストラル・アリエティの姿があった。
「あん? あのちっこいのが何をしたってんだ?」
武尊も又吉と同じようにホークアイでアリエティを見つけていった。
「俺はさっき見たんだよ。あいつがあの熊の近くにいたんだ。そんでなんか飲ましてた!」
「なんかっておまえ……んっ?」
武尊はアリエティが甘酒コーナーに何かを置いて逃げるところを見て眉をひそめた。
「アイツ逃げる気かよ」
「どうすんだ、武尊?」
「そーだな。訳はわからねーが新年早々騒ぎを起こすのはどーかと思う。それにあの巨大化した熊を元に戻さないと騒ぎは収まらねぇだろうな」
「ってことは……やるか?」
「ああ、そーするか!」
武尊はそういうとその目を鬼のように変えた。
「オラッ! 邪魔だオメーらっ!!」
そして怒号一喝。
逃げ惑う人々はそんな武尊の気迫に動きを止めて、道を開ける。
「よっしゃ、いくぜ!」
気合と共に武尊がアリエティを追って駆け出したその時。
境内の屋台でたこ焼きを買ったばかりだった非不未予異無亡病 近遠(ひふみよいむなや・このとお)は、突然起こった騒ぎに驚いてたこ焼きを地面に落とした。
「何事ですか?」
「見てください。大きなクマさんですわ」
そういって近遠の腕を引くのはユーリカ・アスゲージ(ゆーりか・あすげーじ)。大きな金色の瞳をさらに大きくしてもっくんを見上げる。
「これはまたずいぶんと……大きなゆる族の人ですね」
「ええ、本当ですね。とても大きいお方でございます」
近遠のつぶやきに答えたのはアルティア・シールアム(あるてぃあ・しーるあむ)。彼女も二人と同じようにもっくんを見上げている。
「貴公ら、何をしている!? 早く逃げるぞ!」
と、ひとり声を荒らげたのはイグナ・スプリント(いぐな・すぷりんと)。彼女は混乱している現状を見てすぐさま逃げるという選択肢を選んでいた。
そんなイグナの意見を聞いて近遠はうなずく。
「そうですね。イグナさんのいう通りです。ここからすぐに逃げましょう」
「でも、逃げるといってもどこへ行けばいいのかしら?」
ユーリカはそういって小首をかしげる。
「そうでございますね。踏み潰される心配はなくなりますし、とりあえず高い所に逃げるのがよろしいかと」
アルティアはそう提案した。それを聞いた近遠はさっと辺りを見回してこの位置よりも高い場所を探しはじめる。
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