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飲みすぎにはご用心!?

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飲みすぎにはご用心!?

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「君たち!」

 と、そんな近遠たちに誰かが声をかけてきた。
 4人が声のした方に視線を向けるとそこにはシャンバラ教導団の軍服に身を包んだルーク・カーマイン(るーく・かーまいん)の姿があった。
 そしてルークは小高い場所を指差すと近遠たちにいった。

「ここは危険です。すぐにあそこへ避難してください!」
「あっ、確かにあそこへ避難するのが良さそうですね」

 近遠はルークの指差す方を見てそういった。

「しかし貴公はどうするのだ?」

 と、イグナがルークにそう聞く。するとルークは苦笑いを浮かべた。

「俺はご覧の通り軍人ですから、皆さんを避難させ終わるまで逃げるわけにはいきません」
「なるほどな……貴公、見た目よりもなかなか骨のある男のようだ」
「えっ、そうですか? そう言われると照れますね」
「気に入った。我もお主に協力しよう」
「いや、しかし」
「遠慮はいらん。それに一人ではこの状況を変えることは難しいであろう」
「――そうですね。ではお言葉に甘えさせていただきます」

 ルークはそういうと自分の名を名乗り、近遠たちも名前を名乗った。

「では、俺と皆さんで手分けをして事にあたりましょう」

 ルークがそういうと、近遠たちはうなずいて逃げ惑う人たちに向かって大声で呼びかけ始めた。
 それを見ながらルークはHCを取り出して、軍へ通信を入れた。

「こちら戦災復興部隊「PEACE WALKER」のルーク・カーマイン。空京神社で事件発生。大勢の参拝客がいますので大至急避難誘導のための人員を派遣してください」

 ルークが通信をしていたちょうどその頃。
 初詣をしたいというノア・セイブレム(のあ・せいぶれむ)に連れられて空京神社へと向かっていたレン・オズワルド(れん・おずわるど)は道の途中で足を止めた。

「なんだ……あれは?」

 サングラスの奥に隠れたレンの瞳が大きく見開かれる。その視線の先には巨大化した熊の姿。

「もっくん!?」

 と、ノアがその巨大熊を見て声をあげた。

「知ってるのか、ノア?」

 レンがそう言いながらノアを見ると、彼女はなぜか少し悲しそうな顔をしていた。
 そんなノアはもっくんについて話し始める。
 なんでもノアは昔放送されていて好きだった子供向け番組でもっくんを見ていたのでよく知っているという。

「悪い人だけどマヌケな森の悪者役のもっくん……たまに出てくるだけだったんですけど、なんだかそのもっくんが憎めなくて私はよく応援してたんです」
「そうなのか」
「はい。でもその後はあまりテレビなどで見ることもなくなって、どうしてるのかなって思ってはいたんですけど……」

 ノアは言葉を濁して、なにやら様子のおかしいもっくんへと視線を向ける。
 そんなノアの頭をレンの手がそっと撫でた。

「心配するな」

 ノアの不安そうな瞳がレンを見つめる。
 レンは笑みを浮かべ、「いくぞ」とノアを促すと空京神社へ急ぐ。
 そんな彼のサングラスの奥からは紅い光芒が零れ出ていた。