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平安屋敷の赤い目

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平安屋敷の赤い目

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 生存者を捜し静香と別れた後、アクリトは放送室に辿り着いていた。
 ここならば自分の考えや見てきた事を皆に伝える事が出来ると考えたのだ。
 そんな彼をここまで導き、守ってきたのは姫神 司(ひめがみ・つかさ)だ。
 元々アクリトが蒼空学園のイベントに行くので、護衛と後学の為にと同行したのだが事件の時やや出遅れたので、
アクリトと再び合流出来たのは彼が静香と別れた頃だった。
 放送室にたどり着くと、司は早速状況の分析を始める。
「あの図柄と鬼の言葉……
 件の鬼は元々女で、何らかの理由で鬼化したものを、陰陽師が封じた。
 と解釈して良いのであろうか?」
「あの鬼が現実に存在している以上、それは現実なのだろうが、
 その物語が本当に存在していたかは定かではないな。
 知っての通り地球側に魔法等の力が蘇ったのは、パラミタ大陸と繋がった時だ。
 あれ程古い時代に特殊な力を持ったものが居たのかというと」
「確かにどうにも怪しくなってくる」
「そうだ。
 だが例えば強い意思を持って作られたものが特殊な力を得る、等という場合もある。
 あの絵巻きの世界がどのように現実に現れたのか分からぬが……」
「まずは鬼を倒す方法」
「それが先決問題であろうな。さて……」
 アクリトはそこまで話すと、マイクの前の椅子に座ってスイッチを入れる。
 強烈なハウリング音にも動じず、アクリトは冷静に話し始めた。
『私の声が聞こえるか?
 私の名はアクリト・シーカーだ。
 今この学園は化け物に襲われている。これらについて分かっている事を今から放送で流す。
 何か他の情報が分かっている者があったら放送室まで内線を流して欲しい。
 さて、この化け物は展示室にあった絵巻から現れた鬼によって呼び出された……あるいは作り出されたものだ。
 便宜上……見た目から餓鬼とでも呼ぼうか。
 この餓鬼は影から現れ、通常の攻撃で破る事は可能だが影から無限に現れるものだ……』
 放送が続く間に、内線がかかってくる。
 司が取ると、海からのスパークル福豆についての情報だった。
「わかった、今からアクリト教授に伝える。
 では――」
 司が電話を切ろうとした時、放送室の床を影が這っているのを見つけたのだ。
「しまった!!」
 直ぐに翼の剣を抜くが、影はすでにアクリトの背に迫っている。
「アクリト教授!!」
 司がアクリトの元へ行こうとした時、目の前に金色の影が横切った。
 片手の剣は餓鬼の頭を抜き、片手の剣は銅を横薙ぎにする。
「ご無事ですか!?」
 ルカルカ・ルー(るかるか・るー)カルキノス・シュトロエンデ(かるきのす・しゅとろえんで)が寸での所で
やってきたのだ。