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リアクション
「11回戦、イルミンスールかるた会 フォン・ユンツト著 『無銘祭祀書』さん対海京かるた会 安徳天皇さん。前に出て下さい」
出てきたフォンは、葵に無理やりエントリーされ正気度も最低値のままで挑むことになっていた。
「なぜ我の正気度も主と同じなのじゃ……」
「初戦で負けるようなわらわじゃないよの。さて、おぬしに本場の百人一首を教えてやるかのぅ」
平安出の安徳は優雅に、そして静かに素早く札を取っていく安徳。
フォンも葵にクトゥルフを叩きこんだ張本人の為、札を取っていくのは雑作もなかったが何の因果か呪いなのか、札に込められているオーラに当てられ試合半ばで発狂してしまう。
「立ち……な。石だら……砂漠……の……埋蔵……。……夕焼け……悪夢……塔……る所に」
石碑の民の一節をぶつぶつと呟きだすフォン。
「この勝負、わらわの勝ちよの」
サイコロの出目は3。
安徳は第二試合へコマを進める。
「12回戦、鬼龍家カルタ会 鬼龍 貴仁(きりゅう・たかひと)さん対海京かるた会 ケイ・ピースァ(けい・ぴーすぁ)さん。前に出て下さい」
辺りに漂い始めた不吉な不穏な雰囲気を肌で感じ始めた貴仁。
「んー徐々に元々漂うだけであったモノが肌に触るようになってきましたね」
「……そうだ、このまま、これを乗り越えたなら俺は、俺は完全な『強化人間』になれるかもしれない」
口を開けばうわ言ばかりのケイがはっきりとした言葉を紡ぐ。
狂気に当てられ、ケイは正気に戻り始めていた。
それを観客席から見ている北條 あげは(ほうじょう・あげは)とチェータナー・チトラパタンガ(ちぇーたなー・ちとらぱたんが)。
「ケイさんいつもとちがいますか?」
「違うのはいつものことだろ。試合前にも言ってたが、大丈夫だ問題ないってそういうケイが一番問題ありなんだよ」
「んーん、あげははしってますよー。きっとーカードの影響で壊れちゃったのくっつきかけてるんです。だから大丈夫なのです」
「まあ、あげはが大丈夫っていうんなら大丈夫なんだろうが」
「でもどうなってもケイさんはケイさんだから、マイペンライマイペンライ」
蝶の姿であるチェータナーはこの姿では何もできないからと、見守ることにした。
「(誰かに迷惑かけてしまったら一応回りに謝っとくか。あーなんか我ほんと保護者みてえ)」
「ひともおし ひともうらめし あじき」
―――パン
「よをおもーゆえに ものおもーみわ。……さびしさに やどをたちいでて」
―――パシン
お互い普通にカルタを取っていく。
ただし、どちらも若干唇がめくれるような笑いを浮かべながらだが……。
不気味な札の取り合いの末、発狂判定となる。
「7か……なら俺は『女の子の体のヒミツ』を借りるぞ」
出た目に完全な強化人間になる為にと、『女の子の体のヒミツ』を借りるケイ。
「あははハハハハ!!」
突如大声で笑い出す貴仁。
呼び声に答えるように何もない場所と会話をしだす。
「わかってますよ……ふふ。置いて行きませんから」
「貴仁さん、試合続行不可能! 発狂を回避したケイさんは第二試合へコマを進めます!」
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